幾何分布の例題と無記憶性
確率分布の無記憶性
幾何分布と指数分布には「無記憶性」という性質がある。これは「ある事象が発生する確率は、その事象が発生する前の情報の影響を受けない」というものです。例えば「100回ガチャではずれを引いた人が次のガチャで当たる確率」と「同じガチャで当たりを引いた人が次も当てる確率」は同じですよね。たまに「確率は収束するから!」と言ってる人がいますが、ガチャで「当たるまで回す」場合は幾何分布なので100回引いたからといって当たりやすくなることはないです(無慈悲)。大人しく天井しましょう。
確率分布が無記憶性を持つかどうかは厳密に数学的な定義があり、幾何分布と指数分布がその定義に当てはまる証明も存在します。下の記事に載っているのでそちらを参照してください。
問1.打率の問題
解答
(1)
打率は$${\dfrac{1}{4}}$$なので$${p=\dfrac{1}{4}}$$とする。幾何分布の無記憶性よりヒットを打つ確率は$${\underline{\dfrac{1}{4}}}$$。
(2)
幾何分布の式$${p(1-p)^{k-1}}$$に当てはめると、
$$
\dfrac{1}{4}×\Bigl( \dfrac{3}{4}\Bigl)^3=\dfrac{27}{256}\simeq0.105
$$
となり約10.5%です。
(3)
確率分布における平均は期待値を計算すればよい。よって$${k}$$の期待値$${E(k)}$$は
$$
E(k)=\dfrac{1}{p}=4
$$
(4)
分散は$${V(k)=\dfrac{1-p}{p^2}}$$で求められるので
$$
V(k)=\dfrac{\frac{3}{4}}{\frac{1}{16}}=12
$$
問2.じゃんけんはいつまで続くか
解答
じゃんけんを2人で行う場合、勝負が決まる確率$${p}$$は$${\dfrac{2}{3}}$$であり、k回目で決まる確率は$${P(k)=p(1-p)^{k-1}}$$である。そしてその平均、すなわち期待値は$${E(k)=\dfrac{1}{p}=\dfrac{3}{2}=1.5}$$であるため、平均で$${1.5}$$回で勝負がつくことになる。
例題は以上です。ちょっと寂しい気がするので面白い問題を見つけたら追加します。