信号待ち
僕の景色だった彼女は気怠げに座り込んでいる
寒くて背中を丸め猫のよう
僕の人生を最初から足してもまだ足りない
とても長くて とても短い 時の早さ に掴まって
過去へ過去へ 心の時間旅行をしているように見える
次の景色に向かおうとしている 眼の端からこぼれそうな彼女
ひと呼吸が聞えるように立ち上がる
踏ん切りをつけたのか 何かを見つけたように
集めていた落ち葉を拾い始めた
彼女の景色にもなっていない僕
若さという鎖に縛られている自分を強く意識する
そして 等しく与えられた時間に怯えながら
その恐怖のなかに愛しさの温もりを見つけた