ほつれ

ほころび 2006/9/2

撫でながら 笑顔がこぼれる
その場所はいつのまにか それが住み着いた

どれだけゆっくり歩いてきたのかな
どれだけ長く歩いてきたのだろう

もしかしたら あの猫が気持ちよさそうに通っていた路地裏を
肘をついて 膝をついて 後についていったときだろうか

いや もしくは 僕の嫌いなあいつに挑みかかって
何度も 何度も 倒れながら ぶつかっていったときだろうか

あっ あれかも

まだ太陽がすっかり目覚める前の あの時間
一滴の 朝露がこぼれ落ちてしまわないように
滑り込んで 両手で受け止めたときだろうか

どれも それが住み着いた理由だろう
どれも ひとつひとつが輝きを放つ 理由だろう

あの時ついた 路地裏の少しにおう汚れも
あの時ついた くちびる や 手足 から流れた 血も
あの時ついた 受け止めきれず 僕ににじんだ 朝露も

きれいなままの 服よりも すす汚れた服が好き
それは僕が生きて歩いてきた証

ほころび  は  よろこび

生きてるって 唄うよ 生きてるって 叫ぶよ

ほころんだ場所から気持ちのいい風を感じるよ

ほころび  は  よろこび

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