未だに選択的夫婦別姓に反対する人へ

挑発的なタイトルですみませんが、選択的夫婦別姓をアンパンとカレーパンで例えたりしてもなかなか社会が動きませんので再度書きます。

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人類は、生きていくために様々な制度や慣習を作り、それを集団で守ってきました。

私の祖父母の世代になると、結婚相手は自由に選べなかったし、結婚したら住む場所も決まっていたし、職業に選択の余地はありませんでした。私も子供のころ、祖父に「お前が大人になったら、あの土地に家を建てて住むんだよ」と言われた記憶があります。結局そこには住んでいませんが、祖父が自分の将来のことまで考えてくれているのがうれしかったです。

この慣習は、生きていくために重要だったのだと思います。もし家族に不幸なこと(例えば、突然の病死や戦死など)が発生しても、結婚した両方の家(いえ)のメンバーで支え合います。実際、祖父の弟は、戦争で未亡人になった祖父の兄嫁と結婚しました。当時は結婚相手も住むところも職業も選択できないのですから、発生した問題は自己責任ではなく、結婚を進めた双方の家の責任だと覚悟をもって対処してきたのでしょう。

しかしながら、時代は変わります。戦後、憲法には居住や職業選択の自由が盛り込まれました。当時は反対意見も多かっただろうと想像しますが、今では当たり前のことであり、個人として守られるべき人権になっています。社会保障が発達し、家同士ではなく社会として支える仕組みもできました。そして昭和34年、皇太子(現天皇)は初めて華族ではない民間人と結婚しました。皇族であっても結婚相手を選べる時代が来ました。

で、夫婦同姓制度について考えます。同姓を全夫婦に強制する必要はまだありますか? 同姓にしたい人はすればいいし、したくない人は別姓にすればいいんじゃないでしょうか? 未だにすべての夫婦に同姓を強制したい人は、別姓にしたかった人が払うコストや問題を背負う覚悟までもっているのか聞きたいです。

私は結婚して姓を変更したので、銀行口座・クレジットカード・免許証・健康保険証・パスポート・マイレージカード(変えないとポイントが付かない)・病院の診察券・図書館の会員カードのなどの名前変更コストを払いました。財布とカード入れに入っているカードほぼすべてが対象です。そして、新姓の印鑑の作成、株式の名義変更、病院などで「西端さーん」と呼ばれて反応できるようになる訓練、出張するとき先方に「飛行機やホテルの予約は青野じゃなくて西端でお願いします」と伝える手間、子供に「お父さんは会社では青野だけど保育園では西端なんだよ」と説明するコスト、「どうして苗字を変えたの? 養子?」という質問に答えるコストを払い、精神的苦痛を感じながら生きてます。

また、独身時代に旧姓で作って放置していた銀行口座を解約できないトラブルが発生したこともあります。正式な印鑑を持って行っても、旧姓から新姓に変わったことを証明する戸籍謄本がないと解約できませんでした。(2016/10/14 追記)

時代は変わりました。同姓に変更するコストは昔より高まっています。部分的に旧姓を使い続けることにもコストとストレスがかかります。そろそろ夫婦同姓を強制せず、別姓も選択肢として認めてはいかがでしょうか。私もあなたが同姓を選択することを認めます。別姓で通すことだってコストや苦痛を伴います。私にはそれを背負う覚悟はないので、どうぞ選択的に同姓をお名乗り下さいませ。

国連は、夫婦同姓制度の廃止勧告を繰り返し行っています。

 記事:「男女が同じ選択肢を」 夫婦同姓、国連は改善勧告(日経STYLE)

タイも、フランスも、トルコも、フィリピンも、ロシアも、ドイツも、オランダも対応済みです。皮肉なことに、リオ・オリンピックの男子400メートルリレーで金・銀を取ったジャマイカと日本が、夫婦別姓リレーでは未だにゴールできずに最下位争いをしています。

自民党にはさっさと進めていただきたく。さもなくば、数多くの人たちが今までに、そしてこれからも払い続けるコストと苦痛の代償の肩代わりをお願いいたします。

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