今やはり、集まりたがっている
書くことが好きな知り合いがいない。
というか、書くこと云々に関係なく、普通に知り合いがいない。沖縄で仕事以外のつながりが一切生まれないことに少し危機感を覚えている。自分が生まれ育った北海道を離れると、こんなにも友人や仲間と呼べるような人が増えなくなるものか。
あまり外交的な性格をしていないのもあってか、会って話をした人と連絡先を交換することはまずない。スナックで妙に盛り上がって見ず知らずの人とハモったりしたこともあったが、いつもその場限り。一期一会を繰り返している。
そんな生活が1年も続いて職場と往復しているだけだと、平和な日々ではあるが流石に行き詰まっている感が否めない。
そこで、ジモティーを使ってライティングや作家業に興味のある人はおらんかと呼びかけてみた。
どんなのを書いていますかとか、どんな本が好きですとか、そういうのをゆるく語る会になったらいい。もしも場が盛り上がったら、どうやったら美しい文章が書けるようになるかとか、ちょっと熱っぽい話をするのもいいかもしれない。
そういえば『パーティーが終わって、中年がはじまる』の中で、「男はなぜ集まりたがるのか」についての考察があった。男達で集まるとプライベートなことを開陳せずとも、例えばバンドとかゲームといった共通の目的で集まっていられるので、妙な安心感があるように感じる…… ということだ。
関係性の機微をある程度無視して楽しいことを一緒にやれる人たちだと考えると、確かに楽だなと思う。
ただ、いま私が作ろうとしているのは「書くこと」について話そうという場だ。個人的な作家性の好みといったプライベートな部分をある程度開示しないことには話が進まないかもしれない。もしかすると、もう少しイデオロギーを帯びた主張や、哲学や宗教にまで話題が及ぶことだってあり得る。
そういう意味では気楽な集まりとはならない可能性もある。ややすると場のモデレートが難しいかもしれない。性別も年齢も特に制限していないので、ある種の厄介な人が入り込んだら一発で場が崩壊することすら考えられる。
そうした面倒さや危うさを孕んでいても。北海道を離れて「いつものメンツ」の集まりが無くなって、今やはり、私もまた "集まりたがっている" のだと思う。
職場の人とだけ話をしていると別の視点やアイデアが得られなくて、行き詰まるというか、息が詰まってしまうところがある。酸素が無くて窒息しはじめている。
さて、急ぐものでもないし気長に待つかと思っていた矢先、思っていたよりもすぐに反応がもらえた。トントンと話が進み、明日、さっそく第一回を開催する運びとなった。
いったいどんな風になるか、ほとんど予想できない。その予想できなさを楽しんでいる節がある。
騒がしくならない程度に、とにかく好きなことについてじっくり話あう時間になるといい。