かわいいミラジーノくん
ミラジーノのブレーキランプが点きっぱなしになった。
無事にショッピングモールから帰ってきたはいいが、なんとか家に着いたところでエンジンがかからなくなったのだ。
慌ててロードサービスを呼ぶ。思えば、これまでの人生で、何らかの保険に加入しておいてよかったとことなんて一度も無かった。
これから1年間は無料で呼べなくなるそうだ。路上で立ち往生してレッカーなんてことにならないよう祈るしかない。
電話してほどなくツナギを着た二人組が来てくれた。
彼ら曰く、ブレーキスイッチのプラスチック部品が破損したことで、後ろの赤いランプが点きっぱなしなっていたようだ。
湿気の多い沖縄ではよくあることらしい。
「ミラ…… かわいいっすよね」
何やらブレーキのあたりを調べ終えたらしい整備士のお兄さんが、ふと呟く。
つい嬉しくなって、
「へへ、そうでしょ。駐車場に停めるとき、いつも自分の車がいっちばんかわいいなと思うんです」
などと調子に乗ってみる。
鮮やかな手際で、バッテリーに電源をつなぐ。起電力を得たエンジンはすぐさま点火した。
「ま、こんなもんっす!」
歯を見せながらにかっと笑う。あぁ、沖縄の風が似合うな、と思った。