第四章 ただの偶然か・・・
家に着いた時には、やはり夜になっていた。
それからは普段通り、絵の練習とミステリー三昧。
食事は自炊が多い。その方がお金がかからないのもあるけれど、
いつか食べてもらう誰かのために。
ご飯を食べてすぐに、私は横になった。
明日も朝から試験があるから、早めに寝ないと危ない。
なぜなら、明日の試験は苦手なデッサンなのだから。
でも試験は一つしかないから、助かった。
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朝目覚めると、カーテンから差し込む光が眩しかった。
同時に、夏を感じさせる。
朝は必ずご飯を食べる。
その方が頭が回るからだ。パンも好きなんだけれど。
確か、図書館の前にパン屋があったな
そんなことを考えていたら、無性にパンが食べたくなった。
試験が終わったら買ってこよう
自転車を一生懸命こいだ意味がないではないか。
試験が終わったらそう思う時が、時々ある。
これは大学生あるあるだと思うのだけれど、
一限目に試験があって、その試験が意外と簡単で、しかもその試験で今日は終わり。
嬉しさもあるが、アパートからこんな暑い日に自転車をこいできたのに、
たった90分で帰るのは物足りない。
でも、図書館に行くからいいか
デッサンの試験は案外うまくいった。
日頃の練習と、ミステリーサークルでの息抜きのおかげかなと、心の隅っこで感じるのだ。
外に出ると朝より一層暑くなっていた。
早く図書館へ行こう。
あれ、図書館に行くことが目的たったっけ?
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自転車をこいで30分、ようやく図書館に着いた。
自転車で坂を上るのは少し疲れる。
程よい疲れが本当の目的を思い出させてくれた。
そうだ
パン屋行くんだった
でも暑いから図書館で涼もう
ただの偶然か、はたまた運命なのか。
そこで二人はまた出会うのだ。
初めて言葉を交わした、この場所で。
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