いつか見た星
小学校の時だったろうか。
立山かどこかの大きな山に、学校で登らされた。
野球をしていたから体力には自信があった。でも山を登るのは億劫になる。
ましてや何千メートルもの山を登るのは。
「頑張ったら報われる」
なんて言葉は、小学校の私は信じることができなかったけれど、先生にそう言われて頑張っていたことを覚えている。
ああ、なんて純粋なんだろう。何周りも年上の先生の言うことだから、その時の私は正しいと思ったのだろう。
実際、頑張って中継地点の宿に着いたときは、今まで感じたことのない種類の感動を味わうことができたのも事実なのだが。
夕食を食べ終えた私たちは、星を見るよと先生たちに言われ、外にでた。
ただ外に出るのではなく。ずっと下を向いたまま外に出るのだ。
全生徒が外に出たのを確認し、先生は上を向くように私たちに言った。
上を見た私たちは、圧倒された。
そのどこまでも広がる夜の空に。無数に輝く星たちに。
山の上だとこんなにも輝いて見えるのかと、当時の私は感動した。
今大人になって思うのは、あの星を見れてよかったということ。
実家は田舎にあるけれど、普通の平地からはあんなに輝いた星を見ることはできないし、
なにより、小さいころに何かに圧倒されるという経験は、大人になってから生きるものだ。
その経験から、宇宙飛行士になりたい、絵を描く人になりたい、研究者になりたいなどの、将来の夢ができる子供も少なくないだろう。
実のところ平凡な私は、ただ綺麗だなと感じただけだけれど。
ただ、今でも思い出せる景色に小さいころ出会えたことは、嬉しく思う。
だった、こうやって自分の経験を誰かに伝えることができ、それがきっかけで飛躍できることもあるのだから。
例えば小説家だったり、ライターとかに。
いつか大きな翼を手にして、あの夜の空に飛躍したいものだ。
そして、星の輝きや感動を、また誰かに伝えるとしよう。
それが私の生きがいであり、輝き方なのだから。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?