545条1項ただし書の「第三者」の意義(直接効果説) 民法 債権各論 論証5 Aランク
問題提起
545条1項ただし書の「第三者」は、いつまでに利害関係に入ることを要するか。また、解除の効果をどのように解するか、関連して問題となる。
規範定立
まず、契約の解除により、契約は遡及的に消滅すると解する(直接効果説)。
主張理由
なぜなら、このように解することが、契約関係がなかった状態に戻すという解除の目的を達するため、もっとも端的で簡明な法律構成といえるからである。
趣旨
545条1項ただし書は、解除の遡及効によって害される「第三者」を保護する趣旨と解される。
規範定立
そうだとすれば、545条1項ただし書の「第三者」とは、解除された契約から生じた法律関係を基礎として、解除までに新たな権利を取得した者をいうと解する。
そして、545条1項ただし書の「第三者」として保護されるためには、善意・悪意は問題にならないと解する。
主張理由
なぜなら、善意を要求する明文がなく、債務不履行状態にある場合でも債権者が解除するとはかぎらず、善意・悪意の対象が定かでないからである。
規範定立
一方で、545条1項ただし書の「第三者」として保護されるためには、権利保護要件としての登記を具備することを要すると解する。
主張理由
なぜなら、解除権者には何ら落ち度が認められないため、登記を具備しない第三者を解除権者の犠牲において保護する必要性に乏しいからである。
メモ:この論点は解除でよく使う。
出題:S.50-2、S.63-2、'08
備考:解除後の第三者は、復帰的物権変動論で対抗関係とするのが判例の見解となっている。