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イルミネーション
今日は、ミクと行く初めてのイルミネーション。
「うわぁ〜すっごぉ〜い!」
絵に描いたような大きなリアクションをとるミク。それを微笑んで見る僕。
「やっぱカップルいっぱいいるね〜」
僕がそう言うと、
「え、見るとこそこじゃなくない?カップル目的で来たんじゃないの!今は2人だけの空間なの!!」
と怒ったようにミクは言った。
僕はふとミクの顔を横目に見た。
寒さなのか怒ったからなのか、顔を赤らめていて、その顔にクスッと僕は笑ってしまった。
「なんで私の顔見て笑ってんの?サイテー」
余計にミクは怒ってしまった。
少し早歩きで僕をおいて行こうとするミク。
僕はスマホを取りだして、そんなミクをビデオで撮る。
「ミク!ごめんね!今日はとびっきりのデート用意したからさ!楽しんで欲しいんだ!」
そう僕が言うと、彼女はすぐ振り返って、
「え!?なになに!?」
と嬉しそうに僕に駆け寄った。
その笑顔はまるで僕の心をくすぐるように輝いていた。
カメラに気づいたのかミクは、
「ねぇ〜〜、また撮ってるじゃん!」
と怒って、ミクもスマホを取りだして、
「私も撮ってやるもん!!」
と僕の顔にスマホを近づけてきた。
「おっとぉー、撮らせないもんねーー」
と僕はミクの撮っているスマホの画面から逃げた。
「ねぇ〜、ずる〜い」
ミクは、そそくさと逃げる僕を追いかけた。
気づけば、お互いがお互いを撮りあっていた。
僕らにとって輝くイルミネーションはきっと僕らなのかもしれない。