将棋・先手番の「ひねり飛車」の復活は、ないのでしょうか・・・
「詰みがあったかな・・・」挑戦者の森けい二九段が投了後、絞り出すようにつぶやいた。相手はこの一局を勝った後手番の羽生王座。「そうですね。詰みでしたね」と、静かに答えた。1995年の王座戦の第一局、森けい二九段は「ひねり飛車」を駆使して、挑戦者に上がってきた。当然、先手番となった第一局、森けい二九段は「ひねり飛車」を採用、当時のひねり飛車は「完全将棋があるとすれば、それは、ひねり飛車ではないか」と言われるほど有力な先手の戦法だった。そして、後手番の羽生王座は、正面から「ひねり飛車」受けて立つ。これぞ王者の矜持。AIの無い時代、試行錯誤の「ひねり飛車」対策として、羽生王座は、2筋の歩を一手一手、進めていった。当時の森けい二九段のひねり飛車は、5筋の歩を伸ばし、銀を繰り出しながら、優位を築く。詳細な内容は、覚えていないが、最後に盤上は森けい二九段の勝ちになった。控室の内藤九段は「森の勝ちだ」と詰みを見切っていた。しかし、画面は森けい二九段の苦しい表情を映し出していた。「まさか、詰みを読めていないのか・・・」。そして、次の一手が敗着、内藤九段は「何をしているんだ」と語気を強めたが、このミスを羽生王座が見逃すはずもない。羽生王座を土俵際まで追い詰めた「ひねり飛車」は、最後に詰めを逃してしまった。その後「ひねり飛車」はあまり指されなくなっていった。後手番の対策が進んだのが要因で、きっかけとなった対局が、森下九段と羽生九段の対局と記憶している。(ここでの後手番が、羽生九段であることが驚愕である)
あの対局から約30年、棋士の先生方に聞きたい「ひねり飛車」の復活はないのでしょうか。私は今でも、将棋ソフトで対戦するとき、時々「ひねり飛車」を採用するのですが。当時の森けい二先生の著書「ひねり飛車」の本を思い出しながら・・・。