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オークション落札されたドコモドメインネームのその後

過去ドコモが登録していたドメインネームが、登録削除後のオークションにより4,020,000円で落札された件ですが、すぐにその後の進展があり、ドコモが権利を有するドメインネームのなったようですね。

詳しい経緯はIT Mediaの記事「ドコモ口座で使われていた「docomokouza.jp」ドメインがオークションで競売 現在はドコモの手に戻る」にあるので、そちらで読んで頂きたいのですが、僕は僕なりの見解を述べようと思います。

ドメインライフサイクル https://archive.icann.org/en/registrars/gtld-lifecycle.jpgより抜粋

ドメインネームは、意図せず、誤って削除してしまう登録者等の救済策として、Redemption Grace Periodという45日間の猶予期間があり、それでも更新申請が無い場合は、次の30日間Pending Delete(削除保留期間)となり、最終的にDelete(削除)となります。.COM等のGeneric Top Level Domain(gTLD)は、5日間の削除期間のどこかのタイミングで削除されますが、JPドメインは削除保留期間終了の翌日に削除されるようです。

ドメインネームが削除保留期間に入ると、gTLDの場合はネームサーバーが自動的に変更されるので、ウェブサイトもメールも使えなくなることから、多くの人は「あ!何もできない」となり、誤って削除申請をしてしまった場合は慌てて再登録を試みます(僕も日本時間で日付か変わる頃に再登録対応のため海外に問い合わせをした経験があります)。

今回問題となったドコモのドメインネームは「docomokouza.jp」ですが、実はJPドメインと.COM等その他のドメインとは、大きな違いがひとつあります。.COM等は更新前に更新費用の支払いが必要であり、支払いが確認されない場合は自動的に削除となります。
他方、JPドメインは、全てのドメインネームが自動更新処理される仕組みとなっています。何も連絡がが無ければ自動更新、つまり、削除を希望する場合には「削除申請」が必要です。

今回の「docomokouza.jp」も削除申請をしたから削除対象となったものです。

ドコモが言う不備がどのようなものであったのか分かりませんが、削除申請をしたのは事実なので、おそらく「再登録+オークションによる再販」がされるとは夢にも思わなかったのではないでしょうか。

ドメインネームの再販自体は、違法もなんでもなく、本やゲームのレベルで再販されていますが、ドメインネームの場合、ウェブサイトへのアクセスやメールアドレスとして使うため、再販後に偽サイトに使われたり、フィッシング詐欺のメールに使われたりと、特に法人にとってはドメインネームの削除と再販は、皆さんが思うよりも大きなリスクがついて回る事になります。

IT Mediaのこちらの記事では、『オークション自体にドコモが参加していたかについては「回答を差し控えさせていただく」と明かされなかった。そのため、ドメインを402万円で落札したのがドコモ自身だったのかについては不明のままだ』との記載があり、誰がどのようにして当該ドメインネームを取り戻したかは不明ですが、実際に402万円を支払った可能性もゼロではないですね。

ドコモが、当該ドメインネームを削除しようと判断した理由ですが、こちらは僕が個人的に思い付くところ、2つの考えられます。ひとつ目ですが、ウェブサイトの運営とドメインネームの登録を、まるっと代理店等に依頼していたケース、2つ目は使わないまま3年くらい経ったから削除したケースです。

エンタープライズであれば稀だと思いますが、代理店にドメインネームの登録も含めてオーダーする法人は一定数いると思います。このようなケースで注意したいのは、ドメインネームの権利有無に関わらず、代理店との契約が終了した時点で、代理店にはドメインネームの維持管理や係る連絡をする義務はなくなります。
「使わなくなって3年経ったからもういらない、削除しよう」というケースは以外と多いかも知れません。僕は法人ドメインのマネジメントを20年やっていますが、20年前くらいに当時のコンサルタントが言っていた方法論ですね。当時はオンラインの網を潜り抜けれたかも知れませんが、技術が大きく進歩した現在、「3年経ったから削除しても良い」なんて全く通用しないですね。もっと技術的側面を考慮して、ロジカルに行う必要があります。

法人であれば、レジストリとEPP接続されたプラットフォームやレジストラサーバーを自身で管理する「法人専門のドメインレジストラ」に業務依頼をするのが良いのではないでしょうか。僕が思い付く限り、自社でEPP接続プラットフォームを持つ法人専門ドメインレジストラは、世界で2~3社ではないですかね~。弊社もその1社だったりして(笑)

村上

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