ドメインネームはマーケティングツールになり得るのか?
ドメインネームはマーケティングツールになり得るのか、と言うタイトルですが、答えは『なる』だと思います。
Domain Inciteと言うドメインネームのニュースサイトに「Bank spends $800,000 to move from a .bank to the exact-match .com」というニュースがありました。.BANK(ドットバンク)で登録していたドメインネームと類似する文字列の.COMドメインを800万ドルで購入したと言うニュースです。現在のレートだと、約9,200万円です。.COMドメインの購入に1億円弱を使った訳です。ドメインネーム自体には売買を目的としたマーケットプレイスも有りますが、高い認知が見込まれるドメインの文字列等は、高額取引がされることもあります。
今回のケースは、米国ウィスコンシン州の小規模な銀行が、これまで使用していた「bankfirstwi.bank」からブランド再生を目的として「bankfirst.com」を他の金融機関から買い取ったというものです。
興味深いのは、現在bankfirst.comにアクセスすると、bankfirstwi.bankに転送されるという事です。.BANKは、2012年以降マーケットに出てきた新ドメイン(新gTLD)の一つですが、銀行業による登録と使用に限定されているため、登録者の信用と高いセキュリティが「売り」のドメインだと認識しています。上記ウィスコンシン州の銀行の場合、現在もbankfirstwi.bankに転送されているのは、セキュリティ面等から理解できます。では、なぜbankfirst.comを1億円弱も掛けて獲得したのか私なりに考えてみました(まあ、答えは1行目にありますがw)。
2021年12月に、F1レースの最終戦が行われました。観た方は「HONDAエンジンが年間チャンピオン」とか「あー、あの数十年に一度の激戦」とか「色々疑問」等の感想があると思いますが、今日はレースの話ではないんですね。
2021年F1レースの最終戦はアブダビで行われました。サーキット自体は新しいため、建物のデザインやサーキットの構造自体が非常に近代的です。サーキット内にフェラーリ・ワールドというテーマパークがあり、コース上に大きな屋根が掛かっている部分があります。
そうです。上記イメージで確認出来ますが、大きな屋根の部分に 『crypto.com』とありますよね。
どこかの企業のドメインネームだな、という事は直ぐに分かると思います。さらに掘り下げると、F1レースのスポンサーを出来るほどの大きな企業、「Crypto」なのでおそらく金融商品を扱っている(Cryptocurrency=暗号通貨)関連の会社のドメインネーム/ウェブサイトだという事が分かると思います。
襟元の「SATOSHI」と言うのが気になりますがw
中学・高校の時に観ていたF1レースを出来る限り思い出しましたが、当時はインターネットも無く、当然看板替わりにドメインネームを大きく掲載する事はありませんでした。良く何の会社か分からず雑誌で調べたりしていましたが、今はスポンサーとして掲載されたドメインネームを視れば、直ぐにアクセス出来ますね。細かい説明など必要なく単純に『ウェブサイトにアクセス』という形になると思います。また、ドメインネームを見せる事で、F1放送中とその後のアクセスを分析する事が出来ます。
ここで考えるのが、マーケティングとしてのドメインネームです。
お客様に良く聞かれるのは、ドメインネームが長いのはいかがなものですか、という質問です。技術的な面や、検索エンジンの事を考えると、長さは特に問題ではないと思います。また、既にある音声入力に関してもドメインネームの長さは重要性の低いファクターだと思います(もちろん長すぎると、私の様に多少訛りがあれば検索エンジンが聞き取れないかも知れないですけどねw)。
マーケティングとして、直観的に視覚に訴えるのは、簡潔で認知の高いドメインネームかも知れません。そういう意味で解釈すると、crypto.comはマーケティングツール/広告として高く機能するドメインネームだと考えます。
冒頭のウィスコンシン州の銀行においても、「bankfirstwi.bank」が「bankfirst」として短くなり、.COMとのコンビネーションになりました。現時点で、.BANKより市民権を得ている.COMの方が直観的な理解が出来るので、ドメインネームを見た人により直接的に訴える事が可能だと思います。この銀行のCFOも、ドメインネームを購入したのはブランド再生(rebranding)が目的だと言っているので、一定の効果は得られると思います。
ドメインネームは、ウェブサイトとメールを稼働させるためだけの物ではありません。ビジネスの状況を考慮し、戦略的なマネジメントをしていくものであると私は考えます。
法人ドメインネームに関するお問い合わせは、Com Laude株式会社まで!