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心理学系の本紹介②(マインドセット編)
学部生活には直結しないのですが、出会ってよかったな、心持ちを変える事ができたなと思える本を纏めます。
個人の感想です。
まず私のテーマについて
いきなり本の紹介から入るより、私がどうありたいと思って本を選んだかを書いた方が伝わりやすいと思って、まずテーマからお話します。元々、私は自分でいうのもなんですが生徒会をやるほど真面目でそこそこストイックに生きてきたのですが、社会に出てみると人にとっての正義はバラバラだし、情熱や努力の熱量は差があるし、利害が対立すると「これが正しい」だけではやっていけないし、努力しても必ずしも報われるわけでは無いという現実にぶつかりました。結局、個人の努力ではどうにもならない事って世の中多いなと30歳頃になって分かるのですが、どう自分の気持ちを着地させるべきかというところで色々本を読みました。
『ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力』
「ネガティブ・ケイパビリティ」とは、不確実なものや未解決のものを受容する能力、いわゆるどうしようも対処できない事態に耐えうる能力のことを指します。仕事をしていると「あぁ、この人苦手だな」という人とも付き合わなければならないですし、自分が一生懸命やっても他の要因に引っ張られて思うように結果がついてこなかったり、自分が悪いわけでもないのに顧客にクレームとして感情をぶつけられたり・・・。そういう事がある都度転職するわけにもいかないですし、感情の置き所によく悩んでいました。その時に出会った本です。学生時代は与えられた問題を素早く解く事がほめられましたが、実際に社会に出てみると解決できない問題の方が多いです。そういったときにどのように自分を納得させるのか、また他の人がそこで悩んでいる際にどうサポートできるのか、そういったヒントが描かれています。
私にとって心理学を学ぶという事もネガティブ・ケイパビリティの一環なのかもしれません。心理学の歴史や研究、多くの療法や学派を見ていると先人たちも我々と同じことで悩み、それを一生懸命解決しようともがいてきた歴史が思い起こされ、なんだか心が軽くなるのです。
『アサーティブネス:その実践に役立つ心理学』
アサーティブ・コミュニケーション流行っていますよね。今、私が働いている会社でも良く聞きます。「相手を尊重しながら自分の意見を伝える」というもので、建設的なコミュニケーションを築こうというものです。
私自身コミュニケーションに悩みを抱え、アサーティブコミュニケーションの本を色々読みました。私は、意見を言っても年長者が譲りたくない気配を見せれば「じゃ、それに従います」という感じで譲ってしまう事が多く、よく上司に「せっかく良い意見だったのになぜすぐ取り下げるのか、もっと相手に対し交渉して意見を変えさせよう等ないのか」と注意されるんですよね。そこで、アサーティブ・コミュニケーションの本を読んで改善してみようと思ったのですが、よく言われる「私(I)メッセージ」(「私は~思う」「私は~して欲しい」といった「私(I)」を主語にするメッセージ)を日本で使用してみたのですが「個人的な意見やあなたの感情は聞いていない!」と不評なんですよね…。「自分の主張を伝えよう!」という事は大事なのは分かるけれど、この理論が生まれたアメリカと日本の文化があまりにも違い「そうはいっても…」と頭を抱えていた時にこの本に出会いました。
この本は「主張しない事も選択の1つ」としてくれますし、「相手からの意見を受け止める時」にも役立つ様々な理論を紹介してくれます。アサーティブ・コミュニケーションって発信だけでなく、受け止める事も大事ですよね。ついつい嫌な事があった時には出来事や意見を悲観的に受け止めがちですが、実際に起きたこと「だけ」を冷静に受け止める。という視点は知る事ができて本当に良かったです。
アサーティブ・コミュニケーションの本に苦手意識を持った人にこそ、おすすめしたい1冊です。
『嫌われる勇気』
タイトルにネガティブなものを感じ敬遠していたのですが、よく読書談義する同僚に薦められて読んでみました。「自分の課題と他人の課題を分離する」という視点にはハッとするものがあり、下記の境界(バウンダリー)の話を思い出しました。
ガタガタの境界線と心理療法の話。(1/9) pic.twitter.com/7zqnACsny4
— 三森みさ@書籍準備中 (@mimorimisa) August 27, 2023
私は相手がやらなければならない対応を放棄してしまうと「私がなんとかしなきゃ!」と頑張ってしまう事が多いのですが、相手の課題は相手の課題。自分の課題は自分の課題。と切り分ける事の大切さを学びました。私がやらなければならないと思っているだけで相手にとってはそうでないのかもしれない。もし、自分にとってやらなければいけないのであれば「相手の為にやってあげた」のではなく、「自分にとってやらなければいけない事だったから私がやった」とちゃんと納得する必要がある。
結局自分で決められるものは未来の自分の行動だけであり、他の人をコントロールすることはできないし、するべきではないという事が腑に落ちた本でした。
『「人のため」にばかり頑張ってきたあなたへ』
結構直球なタイトルですよね。でも、当てはまる人って多いと思うんです。「世の中助け合いだから」といいながらも、結局は人を助ける事が多い人には是非読んでほしいです。自分の事よりも他人の事を優先してしまう、ついつい助けを求められると援助せずにはいられないSHS(スーパーヘルパー・シンドローム)について書かれた本です。
私自身、人を援助したり支援する事は良い事だと考えてきました。自分は援助できるのだから、そうするべきと信じていまし、頼りにしてくれる人を見捨てる事に罪悪感を感じるので援助は惜しみなく与えるタイプでした。でも、長期のボランティアに参加したり、会社の仕事がやたら自分に集中したりするときに「あれ?」と違和感を感じました。まず自分の為の時間がどんどんなくなっていくし、すべてに共感して介入していくと疲弊するし、それに伴い自分の周囲の人(恋人や家族、近しい友人)も少なからず影響を受ける。援助を受ける側の人も最初は感謝してくれたり「次は私が!」とやる気を見せていましたが、段々「あなたは私を援助して当たり前」と自主的に課題を解決しようとしなくなり、あまりよいループに思えなかったんです。結局「みんなを救う事はできない」、「自分にその能力はない」、「それは自分の仕事ではない(上記の『嫌われる勇気』でいう課題の分離)」、「そもそも援助が必要とされていない」といった自分なりの線引きを理解した上で、「良い人である自分」以外に自尊心を満たす方法を見つける必要があると本を読んで学びました。
この本で「良い人である自分」に拘る理由の1つとして幼少期の体験が挙げられていました。その部分を読んだ時、私は下記の『母は不幸しか語らない』を思い出しました。ちょっと重めの本なのですが、もし興味がわけばこちらも併せて是非。