採用面接マスター #1 あなたはどんな物語を持ってますか?
30年以上、3社で採用面接官をやっていて、多くの学生が面接を失敗していて、もったいないと感じます。
一言でいうと他の学生と差別化がなく、抽象的な内容に終始しているからです。
逆に言うと、少しのコツで大幅に改善出来るということでもあります。
平均的な面接はこんな感じです。
学生時代はスポーツサークルの副部長をやっていた。もしくは塾講師かカフェのバイト。自分の強みは粘り強いこと。その経験を活かして御社に貢献したい。だいたい2人に1人はこんな感じです。
残念ながら「粘り強い」というのは何も語っていないのと同じです。「自分の強みは何か?」という質問は、あなたは何が出来ますか?という質問です。
Googleの面接では自己PRも志望理由もなく、「書けるプログラムは何か?」だけだった、と言っていた人がいましたが、これに近い質問です。
例えば、コンビニには100種類以上のドリンクが売られてますが、その中に特徴の無いドリンクが置かれてていても誰も手を出さないでしょう。一方で「午後の紅茶」は、CMを通じて、ただの紅茶が、目黒蓮や中条あやみがサーフィンをした後の夏の午後に飲むドリンク、という圧倒的な差別化の物語を作り上げていて、毎年売上を更新しています。
ではいきなりですが、「あなたは自分の人生にどんな物語を持っていますか?」と問われたらどう答えるでしょう?
実は優れた自己PRと志望理由とは、この問いに答えるられるかどうかです。
私が今まで1500人以上面接に関わってきて、一番印象に残っている面接はこんな内容でした。
学生時代は貧乏との戦いだった。
新聞奨学生で終わりたくなかったので、箱根駅伝に挑戦。困難な状況でより大きなことにチャレンジしたいので、それが出来そうな御社にどうしても入りたい。
彼はどこの企業にでも入れる面接でした。
またテレビ局の最終面接で、選考に残った本人を含めた3人について、3人を競争馬に見立てて競馬アナウンサーを真似て、実況中継をし、「早稲田がリード、その後を追う慶應…」というようなプレゼンをして選考された有名なアナウンサーもいます。
いずれのケースも圧倒的な差別化と、具体性を持っているのが分かると思います。
面接する側からすると、コンビニに入って迷ったら特徴的なドリンクに手を出すように学生を選びがちです。
アメリカの人材採用の研究や論文等で、採用プロセスと本人のその後のパフォーマンスで、有意な相関があるのは、筆記テストだけだとあります。面接はネガティヴチェック(社会時としてのマナー等)のみに有効で、その後の能力を測る手段としてはほぼ無効、とのことです。
これを逆手に取れば、面談を上手くこなせば、本人の実力以上の会社に入れるということでもあります。
今から難易度の高い資格を取ったり、短期でTOEICの点数を900に持って行くことは難しくても、面接のコツをマスターすることは比較的容易です。
以降、私の経験が少しでもお役に立てるように書いていきたいと思います。
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