坂本龍一 Playing the Orchestra 2014に寄せて
正直、坂本龍一とオーケストラという組合せは期待感低めで観に行った。
そもそも坂本龍一とオーケストラという違和感もあり、本人曰く特に指揮に自信や経験が深い訳でもない。
また例えばJAZZでオーケストラ付き(with strings/ヒモ付き)で良いものがあるだろうか?私が大好きなWes MontgomeryですらほぼCM状態だ。
しかし結果は期待を大きく大きく裏切られる素晴らしいものでした。
先に観た「OPUS」が坂本1人の静寂なモノクロ映画だとすると、こちらは80〜90人近い演者によるフルカラー作品。
OPUSがソロでミニマムな中に豊かな表現を求めたのとは対極的に、こちらはオーケストラでなければ表現出来ない豊かな世界感をどこまでも追求している。もうこれでもかという音色の重なりと調和、音の迫力。
1曲目からノックアウト状態。東京フィルのプロ達をミニマムに贅沢な使い方をする。
そして「kizuna world」は初めて聞いたが、何だか分からない中で感情に突き刺さる。震災後、最初に作った曲だということを後から理解する。
坂本龍一の温かなトークと東北のエピソード、そしてもう2度とライブには参加できないということを想いながら、美しすぎる「八重の桜」で泣かされた。
「シェルタリングスカイ」は一通り耳にしているが、こんなにも美しい演奏は初めてだ。
ファイナルの「戦メリ」は、本人はやりたくなかったがオーディエンスへのサービスなのだろう。もう飽きるほど聴いているのに、それでもオケの映像と併せて改めて新鮮な演奏だ。
至福のひと時。
もしも都内にお住まいであれば、是非歌舞伎町タワー内にある映画館で観て欲しい。音響は坂本龍一監修。日本一音の良い映画館です。
映画館で坂本龍一の映画2本に加え、美術展も同時に開催されている幸せ。
同日に、東京都現代美術館に坂本龍一展2回目訪問します。