サッカーワールドカップ@ロシアで見えた価値観の違い。ゴミ拾いを自発的に行うことは正しいか?
ロシアサッカーワールドカップで話題になった、日本人のある行動
2018年にロシアでサッカーのワールドカップが開催されたのは、まだ記憶に新しいかもしれません。その開催の最中、メインのサッカーではなく、日本人のある行動が賞賛されていたのを覚えているでしょうか?そうです、日本人サポーターが試合後に行っていた「ゴミ拾い」です。
日本人がゴミを拾う習慣について。5Sの精神
日本人は幼少期から整理・整頓・清掃・清潔・しつけの、いわゆる「5S」を家庭や学校で教育されており、ゴミを拾う習慣や後片付けをしっかり行う習慣が根付いていると思います。職場においても、楽天のように週に一度自席周辺の清掃を三木谷社長のような役職の方も含め行う企業も存在し、このような清掃習慣は日本国民全体に広がっている「当たり前の習慣」だと思います。
よって、ワールドカップの会場で日本人サポーターがとった行動は、我々日本人にとっては「当たり前」の事であり、これらが賞賛されたというのは、日本の習慣が賞賛されたとして素直に喜んでも良いと思います。ただ、賞賛の一方でシビアな意見も噴出していたのもご存知でしょうか?
「ゴミを拾われると仕事が奪われる」という現地清掃スタッフの声
そのシビアな意見とは、「ゴミを拾われると仕事が奪われる」という意見です。そうです、日本人サポーターは現地の清掃業者の仕事を「奪っていた」のです。
日本人感覚で言うと、「奪った」感覚は勿論なく、「手伝った」という感覚だと思いますが、そう思わない国や文化も存在するという事です。
私も東南アジアでの生活が長くなって来たので理解出来ますが、ゴミ拾いを含む清掃や、トレー片付けなどの残飯処理を仕事にし、生計を立てている方々が存在します。その方々にとって、清掃や片付けは「仕事」であり、それを他の人達にやられてしまうと「仕事を奪われた」と感じるのです。
異なる二つの正義に直面した時に、どのように行動すべきか?
このような“二つの正義”に直面した際に「どちらが正しいか?」を議論しがちですが、二者択一の短絡的ジャッジや多数決的な決め方はNGだと思います。我々がすべき事は、違いを文化的背景も含めまずは正しく理解し、尊重し、その上で自分の判断を下す事が重要だと思います。
ちなみにあくまで私の場合ですが、海外でゴミ拾いや残飯処理の方が明らかにいると分かった時は自分で片付けを行いません。その方にお任せするようにしています。勿論これが「正」と言っている訳ではなく、海外やいかなる場所でも、「片付けは自分で行います」と言い切るのも一つの「正」だと思います。
一つの答えを導くだけでなく、複数の正しい答えが存在することを理解する
今回は「ゴミ拾い」を題材にし考えをまとめましたが、「異文化」の中では「複数の正義」が存在する分、その答えにも「複数の正しい答え」が存在すると思います。「どちらが正しいか」という議論よりも、背景を理解した上で「自分はどのように行動するか」という「軸」を持っておく事が、より重要だと思います。