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人生戦略としてのアジア就職 ー キャリア・シフト
本の紹介者:よし
こんな人に読んで欲しい
・自分のキャリアが現在不明確な人
・アジアに興味のある人
・人生戦略を改めて再考したい人
1.自分のキャリアが戦略的であり、かつ明確になっているか?
もし今「自分のキャリアが戦略的であり、かつ明確になっていますか?」と質問された場合、どれ程の方が「YES」と答えられるでしょうか?大抵の方が口ごもってしまうかもしれません。「YES」と答えられる人は本書を読む必要はなく、是非そのキャリアを戦略的に突き進めて頂ければと思います。
本書は上記の質問に「NO」、もしくは何となく明確になっているかもしれないけど、まだそう言い切れないという人にとっては、自分のキャリアを再考する良いきっかけになると思います。
さて、「キャリア」というワードも人によって捉え方が異なる事がありますが、私の中では、働くことに関わる「生き方」と咀嚼しています。結婚や子供など、プライベートに関わる「生き方」とは一線を画しており、あくまで働くことにフォーカスした「生き方」をキャリアと捉えています。
では、戦略とは何でしょうか?本書では“現在と目指すべきゴールを明確にして、そこまでのルートを決めること”と定義されています。
これらを総合すると、以下の3つがキーになる質問となります
・働いて生きていく中で、ゴールは設定出来ているか?
・自分の現在地とそのゴールとのギャップはどの程度あるか?
・そのギャップを埋める為に、どのような道順をたどるべきか?
ここまで質問をブレークダウンすると、ゴールは答えらるけど、ギャップが分かっていない、あるいは、ギャップまではわかっているけど、何をすべきか(道順)が分からない、など打ち手が見えて来ます。
2.新たなオプション提案。アジア就職の可能性について
上記のように、単純にキャリアのゴール、ギャップ、道順を問うだけのものであれば、似た類の自己啓発本が存在します。本書が異なるのは、新たなオプションとして「アジア就職」の可能性を提案しているところです。
つまり、自身のキャリアを考える際、最初からそれは「日本限定」になっている傾向が多く、その時点でキャリアのオプションが限定されてしまうことに警鐘を鳴らしています。
著者の岡本琢磨さんご自身も日本で元々キャリアを積んでいたのですが、そのキャリアを捨てフィリピン及び日本に会社を立ち上げ、現在はアジア各国を何度もまわり、アジア就職の可能性を大いに感じています。
また、海外で働く多くの人達のインタビューを行いながらそのメリット・デメリットをまとめて紹介しているのも、本書の大きな特徴だと思います。
3.3ヵ国7年目の駐在を経た、私が感じるアジア就職の可能性
私は駐在員という立場で現在3ヵ国(シンガポール・ベトナム・タイ)の駐在経験があり、海外生活通算7年目に入っています。本書と共通する点もありますが、私の視点でアジア就職の可能性を考えた場合、メリットは大きく3つあると思います。
・自分自身が大きく成長できる
・英語力を含むコミュニケーション能力が向上する
・どこでも生きていける力を養える
●自分自身が大きく成長できる
自分自身が大きく成長する為の最も効率的な方法は、「成長している国」で働くことです。昇りのエスカレーター(経済成長している国)に乗れば、自然に昇って(成長)いきます。降りのエスカレーター(経済が鈍化している国)では、いくら頑張っても昇る(成長)することは出来ません。アジアは「成長している国」がまだまだ多く、自分自身が大きく成長できるチャンスが日本よりも多いと思います。
●英語力を含むコミュニケーション能力が向上する
既に訪れているボーダレスな社会では英語力は必須です。英語と聞くとネイティブ英語を想像しがちですが、グローバルで使用されている英語は非ネイティブの英語が多く、アジアはその一つになります。ご自身の英語能力を向上させ、異文化環境下の中でコミュニケーション能力を向上させる事が出来るので将来間違いなく役に立ちます。
●どこでも生きていける力を養える
とは言え、アジアで働くことは日本で働く以上に苦労が多いのは間違いありません。言語の観点もそうですが、文化や宗教、そして価値観の違いから簡単な仕事ですらうまく進まないケースが発生します。しかしそれらを一つ一つ解決していく事で、自分でどこでも生きていけるという「自信」がつきます。
私は自分の駐在経験を含め、そこでの気づきをブログにまとめ外部に発信しています。その中でも度々書いていますが、「海外で働く」というのは言うほど簡単ではないのです。一方、自分自身に明確なゴールがあれば確実に「成長」することができ、それが将来への大きな「資産」になるとも確信しています。
本書を読んで改めてアジア就職について考える事が出来ましたし、私も著者の岡本琢磨さん同様、これまでの駐在経験を「今後海外に挑戦したいと思っている人」に対して何か還元できるよう、日々取り組んでいきたいと思っています。