海外の転職事情。「なぜ転職したの?」と聞く日本人。「以前は何をやっていたの?」と聞く外国人。その背景にある価値観の違いとは?
こんにちは。よしです。息子が中学受験を予定しているのですが、英語の「国際クラス」とやらの問題がやたら難しく、私も過去問すると間違えてしまいます、、、で、凹みます。学びに終わりはありませんね、、、
さて、本日は海外での転職事情について触れてみたいと思います。海外駐在を始めて「採用」も仕事の一つになった方に是非読んで欲しいと思っています。
「なぜ転職したの?」と聞く日本人。「何をやっていたの?」と聞く外国人
海外で働くと日本とは異なる「違い」が多く存在することに気づきます。その一つが仕事に関する考え方、その中でも「転職」に対しての考え方には大きな違いがあると思っています。
今でこそ日本でも転職は珍しくなくなりましたが、それでも日本人の転職割合は海外のそれと比べるとまだまだ圧倒的に低い状態です。
出典:総務省「労働力調査」
そんな私はこれまでに2回転職を経験し、現職が3社目となるので、海外でも時々転職経験の話をすることがあります。そんな中、少し面白い傾向に気づきました。
日本人に対して転職の話をした時には「なぜ転職したのですか?」と転職理由を聞かれる傾向があったのに対し、外国人からは「以前は何をやっていたのですか?」とキャリアを聞かれる傾向が圧倒的に多かったです。
質問の良し悪しを問いたいのではなく、質問の傾向にも「違いがある」という事です。その背景には何があるのでしょうか?少し深堀りしてみました。
「やりたいこと(Will)」を尊重する日本人。「できること(Can)」を尊重する外国人
すべてのケースに当てはまるとは言いませんが、総じて日本人は仕事に対し「やりたいこと(Will)」を尊重している傾向があると思います。なので、「なぜ転職したの?」と聞いて、その人が「やりたいこと」を確認する傾向があるのだと思います。
一方、「何をやっていたの?」と聞く外国人は仕事に対し「できること(Can)」を尊重している傾向があると思います。
私がこれまでの駐在先で一緒に働いた外国人上司の問いはいつも「何をやっていたの?」とキャリアを問うものでした。上司以外の外国人の同僚も同様です。
「ジョブ型雇用」が主流の海外では、仕事とのミスマッチを防止する為、「この人は何が出来るのか?」を正しく理解することが重要で、その為に以前のキャリアで「何をやっていたのか?」を確認し、その人が「できること」を見極めているのだと思います。
海外での採用面接で留意する点は何か?
私は人事のプロでもないので偉そうなことは言えませんが、とは言え海外駐在で採用する立場となり、100回以上の面接に立ち会って来ました。
ド素人として採用面接をし始めた頃は、日本で自分が受けた面接のように「当社に入って何をやりたいですか?」「なぜ今の会社を辞めて、当社を希望したのですか?」などの質問を投げかけていましたが、10~20回くらいの面接を重ねるうちに、これらの問いがあまり有効でない事に気づきました。
彼らの立場からすると、JD(Job Description)に基づいて応募している訳ですから、「何がやりたいって、そのJDに書いてある仕事をやる為に応募してるんだよ!」「なぜ当社を希望したのかって、今より給料がいいからじゃねーか!」ってな具合に、彼らにとって当たり前のことを質問していると思うのです。
なので、採用も「ジョブ型雇用」に基づき、以前のキャリアを通じ、彼らが「何ができるのか?」を適格に判断できるような質問の投げかけをしなければなりません。以下は質問の一例ですが、だいたい3つの質問をして最後に「できること」を答えさせるようなパターンを構成します。
「これまで一番困難だった仕事は何ですか?」
「それをどのように克服して来ましたか?」
「それらの経験を通じ、どのような事が出来るようになりましたか?」
こんな「できること」を確認する質問の引き出しを多く持っておく事が、海外の採用面接では必要だと思います。
とは言え「やりたいこと(Will)」も大事。「やりたいこと」は採用後一緒に醸成する
では海外で転職を多く経験している人達が「やりたいこと(Will)」を持っていないかと言えば、そうではありません。もちろん「やりたいこと」を明確に持って転職に臨んでいる方もいますが、転職が頻繁な海外において採用時にそれが明確になっている人の割合が少ないだけです。
とは言え、「やりたいこと(Will)」は仕事にやりがいを持たせる為に大事なポイントです。駐在員としてその人達の上司になった場合などは、特に彼らが今後どのようなキャリアを積みたいのかを聞いて、「やりたいこと」を一緒に醸成したり、あるいは駐在員自身の「やりたいこと」を正しく伝えて共感してもらい、それを一緒に成遂げるように仕向けるなど、採用後のフォローが欠かせません。
つまるところ、同じ職場で働く仲間とは「やりたいこと(Will)」が一緒の状態で突っ走りたいものです。それがやっぱり駐在員の私にとって彼らと共に働く事の意味とやりがいなのです。
人事に唯一無二の正解はないですが、採用時は「できること(Can)」をしっかり確認し、採用後は「やりたいこと(Will)」を一緒に醸成するようなプロセスが、現時点で私が思う王道のプロセスです。
(注)
上記はあくまで私が駐在経験のあるシンガポール、ベトナム、タイという転職率の高い国を見て来た中で得た意見です。日本同様終身雇用に比較的近い雇用体系を持っている国も存在するので、「海外」と大きい主語で書いてますが、全てには勿論該当しませんので、優しい目で読んで下さい🥺
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