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雑談の小径001

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音姫

昭和も終わり近く、私が高校生の頃、女子のおしっこをする音が恥ずかしいといって、出している最中に水を流して音を掻き消すという習慣が流行りはじめた。
だがそれは2度も水を流すことになるので勿体無いと、1988年に「音姫」なる似ても似つかない水洗の音を再現する機械が個室ごとに設置されることとなった。

音なんて自然で当たり前のことなのに恥ずかしがるなんて馬鹿馬鹿しいし、水が勿体無いと最初から思っていたので、何の影響も受けることなく1989年にアメリカの大学に留学した。
帰国して日本社会で生き始めてからも、習慣づいていなかったのでもちろん気にするはずもなかった。

今の会社の事務所は畳二条分くらいのスペースに給湯室とトイレがあるタイプで、給湯室の入り口についたアコーディオン型の三枚扉は常に開けてある。誰かがトイレにいる時は給湯室に近づかないし、給湯室に誰かがいる時はトイレには行かない。3人しかいない社員の間でそんな暗黙の了解がある。
少しだけ年下の事務系女子はいつもわざわざその三枚扉を閉めてトイレに行くのだけれど、ある日、いつも閉めない私に、「Yavieさんってちょっと無神経ですよね。」と言った。
意味がわからないと思ったが、そんなことで無神経と言われるのなら、一生無神経でいいやって思った。

音姫発売から34年後の2022年、大学時代の友人の娘ちゃん、国外で生まれ日本に住んだことのないまま成人した彼女に数年ぶりに会って一緒にトイレに行った時に、音姫の由来を説明してみたら、「馬鹿じゃないの? 何しにトイレに来てんの?」って鼻で軽く笑われて、あーやっぱりそう思うよねー良かった良かったって、軽く溜飲が下がったw

今も当たり前に設置されてることが多い音姫、みんな実際に使ってんの? たまに入ったら流すまでずっと自動的に音が鳴っているタイプもあるけど、もうそろそろやめない? いつまでもそんなことやってるから、子供が学校でトイレに行けなくなっちゃうんじゃないの? おかしいって思った方がいいと思うよ?

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