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トランプには凄腕の師匠がいた!

ドナルド・トランプがその独特な政治手法や交渉術を身につける上で、重要な影響を与えた人物がいる。それが、弁護士ロイ・コーン(Roy Cohn)だ。ロイ・コーンは、赤狩り時代のジョセフ・マッカーシー上院議員の側近として知られ、その後もニューヨークの政財界で強大な影響力を持った人物である。彼の手法や哲学が、後のトランプのスタイルにどのように影響を与えたのかを詳しく見ていこう。

ロイ・コーンとは何者か?

ロイ・コーンは1927年に生まれ、ハーバード・ロースクールを卒業後、若くして弁護士としてのキャリアをスタートさせた。彼は1950年代初頭、マッカーシー上院議員の下で共産主義者の摘発を進める「赤狩り(マッカーシズム)」の中心人物として活躍し、激しい反共産主義者としての名を馳せた。

彼の特徴は、攻撃的で冷徹な戦略を駆使し、敵を徹底的に排除することだった。法廷での手腕も鋭く、敵対者を公然と非難し、巧妙な情報操作で世論を動かす術に長けていた。

トランプとの出会い

1970年代、ドナルド・トランプがニューヨークで不動産ビジネスを本格化させていた頃、ロイ・コーンと出会う。トランプの父フレッド・トランプはすでに不動産業界で成功していたが、若きドナルドはさらに大きな成功を収めるために、法律や交渉術に長けた人物を必要としていた。

当時、トランプの会社は人種差別的な住宅差別訴訟を受けていたが、その弁護を担当したのがロイ・コーンだった。コーンは、激しい反撃とメディアを利用した巧みな戦略でトランプを擁護し、訴訟問題を最小限のダメージで切り抜けた。この事件を通じて、トランプはコーンの戦術を学び、彼を師匠のように慕うようになった。

ロイ・コーン流の戦術とは?

ロイ・コーンがトランプに与えた影響は多岐にわたるが、特に以下の三つが顕著だ。

  1. 決して謝罪しない
    コーンは、「謝罪は敗北を意味する」と考え、絶対に自分の非を認めなかった。この哲学はトランプにも受け継がれ、大統領時代に数々のスキャンダルが報じられても、一貫して強気の姿勢を崩さなかった。

  2. 攻撃は最大の防御
    コーンは敵を徹底的に攻撃し、守勢に回ることを嫌った。トランプも同様に、批判者やメディアに対して積極的に反撃し、逆に相手を悪者に仕立て上げる戦略を取った。

  3. 法廷とメディアを活用する
    コーンは法廷戦術の天才であり、世論を動かすことにも長けていた。トランプもビジネスや政治の場面で法的手続きを巧みに利用し、メディアを通じて自己アピールを行う手法を学んだ。

コーンの衰退とトランプの台頭

1980年代に入ると、ロイ・コーンは自身のスキャンダルや不正行為の追及を受け、弁護士資格を剥奪された。さらに、彼はエイズを患い、1986年に亡くなった。

トランプは、コーンの晩年には距離を置くようになり、彼の名声が衰えていくにつれて、関係を整理していった。しかし、コーンの影響はトランプの行動様式や政治戦略に深く刻み込まれ、その後の彼の成功に大きく寄与した。

ロイ・コーンの遺産

ロイ・コーンは「冷酷な弁護士」「無慈悲な策略家」として歴史に名を残したが、その戦略や哲学は今なお政治やビジネスの世界で活用されている。特にトランプ政権時代には、コーンの影響が随所に見られた。

トランプは「私にはロイ・コーンがいない」と嘆くこともあったが、彼のスタイルには師匠の痕跡が色濃く残っている。トランプの強気な交渉術や対立構造を生み出す戦略は、まさにロイ・コーンの手法そのものだった。

まとめ

ドナルド・トランプの政治手法やビジネス戦略の背後には、ロイ・コーンという存在があった。コーンは冷酷かつ狡猾な手法で敵を排除し、自己の利益を最大化する術をトランプに伝授した。その結果、トランプは不動産王としての成功を収め、大統領にまで上り詰めた。

コーンの手法が全て正しいとは言えないが、彼の影響なくしてトランプの成功は語れない。現代の政治やビジネスにおいても、彼の戦略は多くのリーダーにとって学ぶべき点があるかもしれない。

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