効果的な叱り方
「①やりたかったことを認める②その行動が望ましくない理由を具体的に説明する③能力や人格を否定する言い方を避けて解決方法を一緒に見つけていく」
叱る場面で望まれる大人の姿勢は、子どもの目線に立って行動の理由に想いをはせることです。環境整備が足りないからそうなったのか、それとも禁止する理由が大人の都合なのか、あるいは本当に駄目と伝える必要があるのかを改めて見直すのです。これを踏まえて、叱り方のポイントは三つあります。
第一に、まずは「〜したかったのね」と子どもがやりたかったことを認めます。癇癪を起こしている時こと、子どもの「助けて」のサインです。もちろん、「駄目」「やめて」という声かけは安全に関わる緊急時には必要かもしれません。しかし、「こんなことで泣かない」などと子どもの気持ちを否定・極小化するような叱り方は、一番助けが必要な時に「そういう気持ちを感じてはいけない」と子どもに伝えることになってしまいます。どんな感情も、親が受け止めてくれるのだという安心感を子どもに与えることが必要です。ただし、子どもの気持ちを受け止めることは、全ての行動にOKを出すことでも、全ての要求をのむことでもありません。大事なのは、子どもの怒りや不安を抑えつけたり、無視したりするのではなく、どうやってこういう気持ちに向き合えば良いのか、どういう行動を取れば良いのかを大人が見せて上げることです。
第二に、子どもが話をできる状態になったときに、なぜその行動が望ましくないのか、具体的に説明します。因果関係が不透明な罰や脅しを使わずに、対話の中で理由を具体的に説明するのです。「次叩いたら誕生日プレゼントあげないよ」という代わりに「自分のおもちゃを取られて嫌な気持ちになったのかな。叩いたらお友達が痛くて悲しむからやめようね」と伝えるのです。
第三に、能力や人格を否定する言い方を避けて、過程・やり方、つまりプロセスにフォーカスしたフィードバックをしながら、解決策を一緒に見つけていきます。例えば、「お友達を叩くなんて意地悪な子だね」という代わりに「お友達のおもちゃをとったらお友達が悲しそうだったよね。どうしたら笑顔になるかな?」あるいは「泣いているお友達にどうしてあげたら良いと思う?一緒に考えよう」というふうに声かけてみましょう。一方的に大人目線で裁くのではなく、対話のチャンスと捉えて、コミュニケーションを図りたいところです。
「自分でできる子に育つ ほめ方 叱り方」 島村華子 「教育新聞」 2021.6.14