教育のユニバーサルにチャレンジ〜授業で育てるソーシャルスキル 上手な断り方〜
「相手の気持ちを考えた上手な断り方には、①相手の気持ちを受け止め、②自分の立場を主張し、③代案を伝えるという3つのポイントがある」
友達に「この本を貸して」と言われ、「だめ」「いやだ」「貸さない」といった一言で返してしまう子は、相手に不快な気持ちを与え、ギクシャクした関係になりがちです。相手の気持ちを考えた「断り方」には、3つのポイントがあります。
まず「この本、話題だよね」「○○さんもこの本、興味あるんだね」と相手の気持ちを受け止めます。次に「でもね、これ今読んでいる途中だから貸せないんだ」と自分の立場を主張します。それにプラスして「来週には読み終わるから、そしたら声かけるね(貸すね)」と代案を伝える。
こうすると、誤解を受けにくい、トラブルに発展しにくいという訳です。
このような理由づけは、日常でも重要であり、また論理的に話すための第一歩であるとも言えます。理由を添えた話し方には3つの種類があると言われています。
①頭括型【主張+理由】で話す 例)「私はAです。なぜなら〜だからです」
②双括型【主張+理由+主張】で話す 例)「私はAです。なぜなら〜だからです。
だから私はAです。」
③尾括型【理由+主張】で話す 例)「〜です。だからAです。」
授業における話し合いの場面では、頭括型、双括型の方が分かりやすく、スピーチでは尾括型を使うとよい、と言われています。理由づけでは「なぜなら」という言葉をよく使いますが、「なぜかというと」「だって」「それは」といった言葉でも理由づけを示すことができます。
理由づけだけでなく、相手に深く理解してもらうための説明の仕方にはコツがあります。説明スキルとしては、
①相手の理解を確かめながら話す
②問いを挿入しながら話す
③比喩表現を入れながら話す、視覚的な手がかりを提示しながら話す
というものがあります
子どもたちには、論理的に話すのが目的ではなく、論理的に話すことを手段とし、互いの関係を良好にすることこそが目的である、と理解してもらうのが重要です。
引用文献 星槎大学大学院教育学研究科准教授 日本授業UD学会湘南支部顧問 阿部利彦 「教育新聞」 2017.1.16