なにもないぼくら
年末です。前回の記事の続きはまた今度書くとして(決して忘れていた訳ではないよ…)
年の瀬にとても嬉しいニュースが届きました。
撮影監督として参加させて頂いた映画『莉の対』が第53回ロッテルダム映画祭、タイガーコンペティション部門にノミネートされました。映像業界に疎い自分にはどのくらいすごいことなのかいまいちピンときていないのですが世界各国、何千という作品の応募の中からの14作品だけのノミネートということでとても栄誉あることのようです。国内では過去10年間でノミネートされたのは2作品だけなのでいかに快挙なことかわかります。
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詳しくはこちの記事をご参照下さい
監督は「僕たちの最大の武器はなにもない」ことだと言っていました。
僕も含め撮影、製作クルーはほとんどが舞台を主戦場にしてきた人間です。映画のノウハウなんてなにもない。だからこそ出来上がった今回の作品なのだと思います。
僕がこの作品に参加した経緯なのですが。
コロナ禍により時間を持て余した僕は独学で撮影と編集の勉強をしていました。そして役者仲間に協力して貰ってたまにYouTubeでVlogを撮ったりMVを作ったりほぼ趣味として映像に触れていました。そこからブライダル業界に足をつっこんで仕事として映像にも触れ出した矢先、監督補の池田くんから「映画作るんで一緒にやりませんか?」と声を掛けて貰い田中監督と出逢いました。
池田くんは僕が以前舞台の演出協力として関わった作品に出演していたのですが、そこから特に深い関わりもなかったので(たまに連絡は取ってた気もするけど)久しぶりに連絡が来た時は「ねずみ講にでも誘われるんじゃないか?」とちょっと警戒してましたw
そんなこんなで映画に参加することになり。
監督のトシさんから「なかしーには撮影監督をお願いしたいんだけど大丈夫」と電話を頂き、撮影監督がなにをする人かもよく分かっていないまま「あ、分かりましたー。了解です」と二つ返事。電話切った後に『撮影監督』でググったのはここだけの秘密。ほんと業界の人からするとなんだコイツって話だと思います。
集まった撮影クルーに関しては本業がメイクさんだったり舞台の制作さんだったりとガチプロは一人もいない。まぁでも自主制作だし、と思っていたらどんどん規模が大きくなってきて北海道にいくまでに。まぁ監督の中では最初から思い描いていたことなんでしょうが僕としては青天の霹靂でした。
そしてなにもないチームが結成された。
映画業界にいる人間からしたらきっともうめちゃくちゃだったと思います。めちゃくちゃだったのかどうかすら未だに分かりかねてる部分もあります。だって正解なんて知らないから。なんでそーなる?の連続だったんじゃないかなと。
でも技術がどうとか効率がどうとかじゃなくて、そこには間違いなく【熱】がありました。
畑違いの人間がわざわざ一年も撮影に参加するんですよ。当然本業もある。みんな生活の為に仕方なくやってる訳じゃなくやりたくてやってる訳です。そりゃ熱が生まれますよ。
ちなみに最初に話を頂いた時、僕は別にギャラはいらないって話してました。結果ちゃんとお賃金は頂いたのですが、まぁつまりお金がどうのこうのじゃなくてただただ映画を作ってみたかったんです。
なにもない僕ら
監督から詳しく話を聞いた訳ではないのであくまで自分なりの解釈になりますが。
なにもないからこそ踏み出せた。
なにもないからこそ色々な人が協力してくれた。
なにもないからこそ皆で一致団結した。
なにもないからこそ走り抜けた。
なにもないからこそ心底楽しめた。
きっとそんな意味が込められているんじゃないかと思います。
なにもない僕らを【情熱】が突き動かした。
少し青くさいかもしれませんがモノ創りには欠かせない大事なものを僕たちは持っています。
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作品は観る人に伝わってはじめて意味を持ちます。引き続き『莉の対』をよろしくお願いいたします。
予告編はこちらから