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「仲の町3バカトリオどたばだ奮闘記」 第2章 町立 勝浦小学校23


第2章 町立 勝浦小学校23

 

 

小学6年生の秋になった。僕らの勝浦小学校もご多分に漏れず秋に運動会があった。運動会の目玉種目に6年生のクラス対抗100m走があった。僕のお父ちゃんは、若い頃短距離で国体へ何回も出てて和歌山で一番早かったらしくその血をひいて僕は、短距離走は幼稚園のときから小学校卒業までほとんど1番だった。勝浦町民体育大会でも、うちの仲の町は子供が少なかったのでリレーで一つ上の学年の子供と走ってもぶっちぎりで抜かすぐらいだった。(自慢たらっしくてすいません。でも事実です)。話を元に戻そう。そのクラス対抗100m走だがクラスで1人選ばれる訳だが、5クラスあり1組は大勝浦に住んでいたトシヤ君(彼は造船所のボンボンででもそれを決して自慢せずええ奴やった。今も友人である。彼も走るのが速かった)2組山ちゃん。(僕と友人で空手仲間、電気屋の息子で壊れたラジオの修理なんか朝飯前。彼も速かった。)3組ケイちゃん。(旧勝浦地区の外、朝日町に住んでいた。昔からスポーツ抜群、勉強もできて女の子に、もてもてだった。現在某役場の某課の課長。偉なったなぁ~。僕の中では勝浦で2番目に速い6年生)そして4組。タケちゃん。5組N戸君。昔から野球ばっかりスパルタ教育を受けていた。まるで星ひゅうまみたいな男。(なんか女の子にもてたし偉そうやったんで僕は嫌いやった。ごめん。でもぶっちぎりで速かった。僕の中では勝浦の6年生で一番速い男。勝浦のボルト。)つまり何故か勝浦で速い6年生が5名集まったのである。多分テレビ中継があったらリオオリンピック男子100m決勝までは、いかないが(あたりまえやん)おもろかったと思う。スタート前に本人達を前にしてN戸君が「この競争、俺が1番、ケイちゃんが2番、3番はトシヤ君か山ちゃん、そして吉村はビリやね」と大きな声で抜かしやがった。

他のみんなも「そうやなぁ~。」と言って頷いた。「吉村はビリ」他のメンバーは君付けやのに俺だけ呼び捨て。「許さん。見とれや。N戸。他のメンバーに負けてもかまんけどおまえだけには絶対負けへん。見下す奴は絶対ゆるさへんねで~。」とタケちゃんは、大魔神の様に変身したのである。

そしてスタート。「いちについて~。用~意」バーン。ピストルの音と同時にゴール目指して駈けだした。僕の横には人がいない。気配で分かる。ぶっちぎりのタケちゃん1番。2番ケイちゃん。3番トシヤ君。4番N戸。5番山ちゃん。僕は、1番の旗の所に座った。N戸が近づいてきて「吉村、速いなぁ。すごいね~。」「まあね。」と僕。ここでもまだ吉村である。「吉村様と呼べ。吉村様と」と心の中で思った。最後に一言「人を見下す奴には天罰がくだされるんやで~。正義は必ず最後に勝つんやで~。」運動会でも仲の町3バカのひとり、タケちゃんはどたばた奮闘したというお話です。  つづく。   

 

 

 

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吉村 剛
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