那智勝浦町昔懐かし話 第76話

  
           第76話『ダンシングクイーン』
 
はい、少し間が開きましたが、皆様お元気でしょうか。新年度が始まり新しい生活の場所でこれを見ていただいている方はおられますでしょうか。新しい生活頑張ってくださいね。タケちゃんも応援してますよ。もし上京された方がおられましたら、是非新宿のアルタ裏にあります「アカシア」という洋食屋へ行ってみてください。なんでもおいしいですが、中でもロールキャベツが絶品です。おいしいよ。タケちゃんが東京で暮らしていたときよく行ったお店です。と言うわけで今回は中学校の時の懐かしい話です。僕たち勝浦の子供は中学校の時は、こんな事をしたよと言う話です。
てわでわ第76話です。
 
「きりーつ。礼、よろしくお願いします。」「はい、おはよう。皆今日はラジオを作るぞ。 はい、列の前のもんは、ラジオのキット取りに来てくれるか」中学3年の夏休み前の技術の時間のことである。技術の越やん先生(先生は生徒の皆から越やんと呼ばれていた)は、そういって前に皆で注文していたラジオキットを配った。「はい、この3時間目と4時間目で完成させるように皆頑張って作るように。はよ出来たもんは、遅いもんの手伝ってもええぞ。それでは列ごとに作業台に分かれて」僕らは列ごとに6つの作業台に分かれた。各作業台には、ペンチやニッパー、半田こてや色んな道具がそろっていた。僕らの列は、サルくん、いさお君、アンちゃん、三浦っち、山ちゃん、そして僕の6人だった。僕らは箱の中身を四角いプラスチックの箱に入れ作業台を囲む様に座り説明書に沿って組み立てて行く。山ちゃんは、家が船関係の電気器具の修理店で、小さいときから色んな電気器具を分解したり修理して遊んでいたので、ラジオづくりなんて朝飯前であっというまに組み立ててしまった。組み立て行程は、まず磁石にコイルを何回も巻いてそれを基盤に取り付け、部品を基盤に半田付け、スピーカーやイヤホンを取り付けその基盤をラジオの箱に収めると簡単に書くとこんな物である。この最初のコイル巻きがなかなか時間がかかり大変だった。なんとか、やりきり少しずつ完成に近づいていった。山ちゃんは、組み立ての遅いサル君を手伝った。4時間目終了までに6人とも出来上がりクラスの皆もほとんどの者が出来上がった。4時間目終了のチャイムが鳴った。「きりーつ、礼、ありがとうございました。」「皆できたか。ラジオ持って帰って家で使えよ。はい、ごくろうさん。」僕らは、自分たちの教室に戻りでっかい弁当を取り出しフタにやかんに入っているお茶を入れ弁当にむしゃぶりついた。僕はいつも、いさお君と山ちゃんと3人で弁当を食べていた。「なあ、山ちゃんといさお君、弁当食うたら体育館の階段のとこでラジオ聞かへん。たぶん12時位やから音楽番組しやるかもしれんで」と僕。「そうやな。まだ、音楽きいてないもんな。さっきは、なんかアナウンサーのしゃべりだけやったもんな。キッスの曲とかかかったらたまらんぞ。」といさお君。「ええなあ、俺帰ったら夜これで鶴光のオールナイニッポンきくんや。もんごいええらしいぞ」と山ちゃん。「よっしゃ。弁当くうたか、ラジオもっていくぞ」と僕。僕ら悪ガキ3人はラジオを手に体育館の階段の所に行き、階段に腰掛けた。
「それでは、3年5組タケちゃんと山ちゃんといさお君のラジオ局の開局でありまーす。」 僕らは、ラジオスイッチを入れボリュームいっぱいにし、チャンネルを合わしていった。なんか音楽らしきものが聞こえてきた。チャンネルを微調整する。「ダンシングクイーン、ダンシングクイーン」「おお、アバやん。ダンシングクイーンやないか。」僕ら悪ガキでも大ヒットしているアバのダンシングクイーンぐらい知っている。3人とも同じこの曲にチャンネルを合わした。「お~、お~、お~、なんとかかんとかダンシングクイ~ン」
英語はわからんが、ダンシングクイーンだけは、分かる。「ええぞ、ええぞ」3人は、訳わからんダンスをしだした。ディスコ状態である。「なんとかかんとかダンシングクイーン、なんとか~、かんとか~、お~、お~」知らん人が見たら学生ズボンはいた坊主あたまの中学生3人が余りの暑さにくるって踊っているみたいだ。「お~、お~、ダンシングくい~ん。」「はい、アバでダンシングクイーンでした。いや~、いい曲ですね」とアナウンサーがいった。僕らは、自分たちの作ったラジオがうまく聞こえた事は元よりそのラジオから洋楽が流れてきたことに感動した。「もんごい、ええげ、アバええやん。」僕らはそれからしばらく他の洋楽も聞いたが、やはりダンシングクイーンが一番だった。体育館から教室に戻るときも、もちろん3人そろつて歌いながら戻った。
「お~お~お~お~、なんとかかんとか~、ダンシングクイ~ン、お~お~お~」
夏休み前の懐かしい中学校生活の話であります。
 
第76話 終わり
 
 

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