「仲の町3バカトリオどたばだ奮闘記」 第3章 うれし悲しき那智中学校2
女の子に出会ったタケちゃんだが、もうひとつ僕たちは素敵な物に出会ったのである。この年代に男の子は車に興味もったり、カメラに興味持ったりし出すのだが、僕たちはギターという素晴らしい物に出会うのである。僕の家には、お父ちゃんが大学生の時に買ったガットギターがあったけど、今まではあまり興味が無かったが、中学に入学した頃に僕は、さだまさしに、はまり当時流行っていたヤングフォークという雑誌で雨宿りという曲を練習しだした。初めは当然全然弾毛無かったが、毎日練習していて少しずつ弾けるようになるともうあかん、のめり込んでいくのであります。時同じくして、イサオ君もギターに興味を持ち出し、ナカシゃもギターに興味を持ち出した。原因は僕たちの前に現れたキッスというバンドだ。とげとげしいメイクと衣装の4人組だ。中学1年生の夏休み前にイサオ君とナカシャの家に遊びに行った時だ。当時僕はイサオ君とナカシャとで良くナカシャの家でレコード聞いたりして遊んでいた。ある日イサオ君がキッスのデビューアルバムを抱えてナカシャとこへやってきた。「なんや、これ。このメークなんなん。」「このバンド、キッスいうて今洋楽ではやってるらしいでー、俺初めて聞いてぶっとんだもん。テレビでもこの前やりったて゜ー。もんごいかっこええでー。」とイサオ君。「ほんまかー、まあ、はよきかせてよー。」ナカシャがイサオ君からLPを受け取りターンテーブルに載せた。テンポのいいドラムのリズム。合わせて底をはうようなベース。歯切れのいいギターのカッテイング。シャウトするボーカル。僕たちは手にファンタグレープの缶をもったまま蝋人形のように固まってしまった。「か、かっかこええ。なんや、これ。もんごいええやんかー。」1曲で打ちのめされた。僕たちはキッスのファンになってしまった。すでにキッスはデビューしてから何年か経っており僕たちは何枚かのLPとライブ盤を手に入れ聞きまくった。たまに僕はガットギターをナカシャ宅に持っていきギターをかき鳴らしながらキッスの曲を唄ったりもした。これが僕たちの洋楽への入り口だった。他の人はビートルズとかだったが、僕たちはキッスだった。また、ある日ナカシャが「おい、これもすごいデー。ディープパープルいうねん。」「なんや、パープリンって」と僕。「ちがう、ディープパープルや。かけるでー」とナカシャ。バッキューーーン。やられた。イサオ君と僕はまたもややられた。「か、かっこええ。ギターうまいし、なんやこの高い声は」あかん、ディープパープルにも冒された。イサオ君は、なんかしらんが、オーディオ好きでステレオセットもっていてレコードをカセットに録音してもらっていた。僕もナカシャもレコードプレーヤーとラジカセはもっていたが、レコードをカセットに録音する事が出来なかったためだ。中学1年生の秋、なんとナカシャとイサオ君はエレキギターを手に入れるのである。この後のことは次回に。 つづく。