那智勝浦町昔懐かし話 第40話

第40話『生まぐろ1本付き出前解体プレゼントキャンペーン』
 
記念すべき第40回である。やはりここは、那智勝浦町の観光の歴史、そして我が観光協会の約60年の歴史に燦然と輝くキャンペーン、そう「生まぐろ1本付き出前解体プレゼントキャンペーン」のことを書かざるを得まい。後世のために。でわでわ第40話であります。
 
「あかんわ~。課長受け入れてくれへん。どうしよう」それは、平成22年の 11月末の話である。行政の方は分かると思うがこの時期は来年度の予算獲得のために必死になり来年度の事業を明確にし予算書を作成するタイムリミットの時期なのである。僕は次長として予算書の作成をまかされ当時の会長や理事、職員等と相談し来年度の新しい企画を取り入れた予算書を作成し局長と一緒に観光産業課のT課長に説明にいっていたのである。
「う~ん、この企画で観光客呼べるか、今までとほとんど同じやないか、悪いけどもう一回考えてくれんか。」町民の方の税金である、取る方も必死なら決める方も必死である。
何回か皆で検討し直したあと僕が「毎月まぐろ1本当たるのどうやろ、今まで裁いてブロックとかプレゼントとかあったけど、1本ってなかったんやない。」皆は、「そうやなぁ~。ええかもしれん。企画書作ってくれるか」「分かりました」そして、なんと僕は5分で企画書と予算書を作り上げ局長と共にT課長の所へ。「毎月生まぐろ1本プレゼントか。おもろいかもしれんなぁ~。う~ん。そうや、どうせ生まぐろやるんやったら解体できるやろ、解体もプレゼントせぇ。」とT課長。「生まぐろの解体プレゼントですか。たとえば全国どこでも行きますとか。」「そう、それや、今までどこにもないぞ。マスコミ飛びつくぞ。それやれ。よっしゃ~、ええぞ。来年は生まぐろ1本付き出前解体プレゼントキャンペーンや、ええぞ。」と言う風にこれも何と5分で決まった。子供たちよ、良く聞いて置いてください。「ええアイデアは時間かけたら出るんやないんやで。ひらめきなんや。」そして平成23年4月から1年間このキャンペーンを行うこととなった。でも案の定、周りからは「そんなもんで、観光客よべるかい。あかん、あかん」ってぼろくそ言われたりした。またまた子供たちよ、よう聞いて置いてください。「正しいものほどけなされたり、批判されるんやで~。そこであきらめるのか、最後までやるのかなんやで~。」このキャンペーンは、簡単に説明すると那智勝浦町の宿泊施設に泊まると一人につき1枚応募券がもらえそれをフロントにある箱に入れる。そして全宿泊施設の応募券を毎月初めに観光協会職員が集めに行きマスコミの前で抽選会をし1名当選者を決め希望日に自宅等にワゴン車にスタッフとまぐろを積んで出前解体をやりに行くという物だ。生まぐろは、キハダかメバチで約20キロを氷詰め。平成23年から平成25年まで3年続いた。非常に好評で多いときは月に2万枚の応募券数のときもあった。3年間なので合計36回だが、あの台風の被害でこちらから行けなかった、またどうしても当選者が出前解体を断る等で計32回全国を廻った。和歌山市の和歌浦の旅館にも湯浅町のお宅にも行った。スタッフは、解体、助士に漁協の2人ないし3人、協会より僕ともうひとり、また当選した方が宿泊した宿のスタッフ1人で 4人から6人で北は埼玉、西は岡山、また徳島まで朝まぐろを積んでその日の夕方に現地に着くよう走り廻った。東京へも2回10時間かけていった。雪の時もあり、高速で事故があり仕方なく国道を走りつつけた時もあった。僕は全回参加した。つまり32回全部担当者として走り廻った。
平成23年の第1回目の時、大阪のお宅だったが実は和歌山の地元のNHKの記者が同行し取材、また関西テレビ、読売テレビも取材、ラジオも3社取材にきて後日同じ日の午後5時ころその出前解体の様子がNHK、読売テレビ、関西テレビのどのチャンネルを回しても放送されているというすごいことが起こった。後日僕ら観光協会の職員と観光産業課のT課長はこういったものである。「やったなぁ~、マスコミに勝浦のこと取り上げてもらってPRしてもらい観光客を増やすのが目的や。俺らが正しかったんや」と。後このキャンペーンの終了時平成26年の3月に平成25年全国の中から1年間プロモーションに優れていたと言うことで、特別賞をいいだき、東京での授賞式に出席した(ちなみに大賞は九州新幹線の企画だった。サントリーとかもノミネートされていて大手企業の企画と並べられたのである)。記念の盾は、観光協会に飾っている。昔懐かし話というか、ついこの間の話だが、記念すべき40話にふさわしいと思ったので書きました。 
                          第40話終わり
 

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