那智勝浦町昔懐かし話 第69話
第69話『公衆温泉洗濯所』
はい、しばらくぶりでございます。知っている方もおられると思いますが、何とタケちゃんが3/1から3/7日までZTVの「Iloveくまの」に登場し、そして3/8から1週間ぐらい我が吉野御殿とお母ちゃんが登場し、お茶の間の笑い(話題やないで)となっておるのであります。現在親子でサインの練習しとります。いつでもどうぞっていうわけでまたまた、前置き長くなりましたが、今回も書きますぞ。今回の話は今は無きことでは、ないのですが、めずらしかなというものでございます。でわでわ69話いってみよう。
、
「A子ちゃん、こんにちわ。きょうもええ天気やね。」荷台に大きなタライを乗せその中に洗濯もんをいっぱい乗せたB代おばちゃんがこっちへ向かいながら話しかけた。
「こんにちわ、ほんまやね。ちょっと風あるさか寒いけど、洗濯せな、たまるもんのう、女は、つらいわ。あっそうそう、今日の昼から桟橋のとこで、もち堀りあるって、なっちゃんいうてたで。」B代おばちゃんは、荷台に乗せた大きなタライを降ろしながらそう言った。「ほんまかん、そりゃ、いかなあかんやん。餅ひらいおばさんの名にかけても絶対いかなあかんわ。」A子おばちゃんは、温泉で子供の服をごしごし洗いながらそう言った。ここは那智勝浦町の北浜にある公衆温泉洗濯所(実際こんな呼び名ではなく、なんて呼びやるかしらんのですが、書きやすくするため、あえてこう呼びます。)である。小阪山の方から湧き出ている温泉をパイプで引いていて金網の下のセメントの壁に長いパイプを横に壁に沿って1本取り付けてありいくつかの穴がそのパイプの下の部分に空いている。その穴から勢いよく温泉が流れ出来ているのである。そのパイプの下は溝になつており何カ所か板が渡しておりその上にタライに乗せた洗濯物を置いて一枚ずつごしごし洗う。もちろんかけ流しの温泉で誰でも無料で使える。毎日洗いにくるおばちゃんもいる。こんな公衆温泉洗濯所が那智勝浦町にはここ以外にも何カ所かあると思う。「まあ、A子ちゃん、派手なパンツ洗いやるのう」「当たり前やん、これ、おとうちゃんのお気に入りやで。がはははっ」とA子おばちゃん。「その大きなお父ちゃんのパンツ洗うの大変そうやのう。」とA子おばちゃんが、B代おばちゃんに話しかける。けと゛、B代おばちゃんは、無言で洗い続ける。「どしたん、B代ちゃん」ともう一度A子おばちゃん。「このパンツおとうちゃんのやなしに、あたしのや、大きてわりかったのう」とB代おばちゃん。「えっ、それあんたのかん、ぐははははっ、ごめんごめん。」A子おばちゃん笑いながらなんで言葉にならん。大爆笑である。
「あんたのより、かわいいのもあるんやで~」と憮然とB代おばちゃん。まあ、このような会話がこの北浜公衆温泉洗濯所で交わされているのである。(すいません、あくまでも僕の想像であります)。でも勝浦のおばちゃん達の社交場であり、井戸端会議の場所であり、情報収集場所であり、かわいいパンツの自慢場所でもあり、つまりおばちゃん達のストレス発散の場所である。この公衆温泉洗濯所は僕の子供の時からすでにあったので、少なくとも50年くらいは続いているのであろう。その間先に書いたような会話が何度も交わ
されたのであろう。これも温泉の町那智勝浦町ならではのものであろう。
今は、洗濯物と洗剤入れてボタンをポンと押すと自動で脱水までやってくれるが、洗濯粉とタライと洗濯板を使ってごしごしと愛情込めて家族の洗濯物洗っているおばちゃん達の姿は、ええもんじゃないですか。これこそ温泉の町勝浦のおばちゃんの姿ではなかろうか。
でも普段もようしゃべる、うるさいおばちゃんばっかりやけどね。いつまでもこの光景が残りますように。
第69話終わり
ここから先は
¥ 100
よろしければ、応援ありがとうございます。いただいたチップは、活動費として使わせて頂きます。