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さよならの日に、ラジオから流れてきたBad Dayの話
それはいつもとは違うけれど、どこかありふれた光景だったと思う。
みんなが黒色の服を着て、見慣れない景色やいつもとは違う道を走っていて、少し増えた家族の人数に合わせて借りた大きな車の中。
時折揺れては聞こえるラジオの音に耳を傾けながら、こちらはまだまだ秋で紅葉しているんだなと、地元とは季節が違う都会の午後の少し暖かい日差しと空模様を眺めていた。
聞いているような聞いていないような、身体に入っては抜けていく言葉たちが入り乱れる中、その曲は流れ出した。
パーソナリティの人が、Daniel Powterの「Bad day」と曲紹介をしたその時は、あ…懐かしいなぁ、何年くらい前だっけ?と思っていた。
でもいざ曲が流れ出して、曲が流れ始め歌詞が聞こえた時に、溜め込んでいたような、我慢していたような気持ちがブワッと溢れ出た感覚があって、流れていた景色や車の中の景色は走馬灯のようにいろんな思い出の映像が流れ出し、身体からたくさんのものが流れ出ていく感じがした。
最後のその時間の中で目に映った母と子の別れの時間や、普段あまり目にしない感情を表に出している姿とか、その昔まだ小さかった頃に異国で一緒に遊んでもらった記憶とか、つい最近会って話をした時のこととか、たくさんの景色が一気に蘇っては消えていった。
いつだって知っている人や身内の別れを経験するのは、その場に居合わせるのは、とてもつらく、その都度生きている意味や、人の生死のことを否応なく突きつけられて、処理しきれない感情を前に途方に暮れてしまう体験をもう何回も繰り返しているけれどその答えを見つけ出せないし、時間が過ぎていく中で少しずつ向き合っているような気がする。
Bad Day、というニュアンスの言葉の日ではもちろんないけれど、その曲が流れてきた時に、いろんなことが突然起きて本人はとてもつらかった日々をどうにかこうにか生きてきたんだよね、と、それでもこの日まで精一杯生きたんだよね、と自己満足なのかもしれないけれど思ったことが共鳴したのかもしれないと思う。
いつもは静かにゆっくりと命の重みを噛み締めることが多い中で、こんな体験は初めだと思った、師走の初めのこと。
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