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2024.3 往復JALファーストクラスで行くNY・WDW旅行の記録(その5;NY観光2日目(メトロノース鉄道・イェール大学 etc.)編)

前回の記事はこちら

その1はこちら

今後予定しているコンテンツ

  • 日単位旅行記

  • JALについて

    • そもそもファーストクラスとは何か

    • ファーストクラスに乗るにはどうすれば良いのか

    • 今回活かせたJGCの特典とJGC修行の話

  • WDWのカテゴリ別まとめ

    • 予約について

    • アトラクションについて

    • ショー・パレードについて

    • キャラクターグリーティングについて

    • フォトパスについて

    • パークホップについて

  • ぶっちゃけこの旅行は幾らかかったのか……

閲覧へのお礼

ところで、その1やその2を中心に、思った以上に閲覧数が伸びており、ありがたい限りです。当初はTwitterのフォロワーの一部が読んでくれるかな、と思っていた程度だったんですが、noteからの方も多いようで嬉しいです。
記憶の全部を書き留めようとしているので非常に長いんですが、お付き合いいただければ幸いです。最近転職したのもあってなかなか執筆時間も取れず……
こんなことを詳しく教えてほしい・まとめてほしい、というご要望があれば、お気軽にコメント頂ければと思います。

2024/3/2(土)

NY以外にも足を伸ばしたい

その1くらいでも書いた気がするが、アメリカでディズニー以外に行くのは今回のニューヨークががほぼ初めてである。であれば、少しは観光地らしい観光地にも行ってみたい、と思った結果が、ニューヨークへの4日間の滞在である。(この他、ファーストクラスの往路旅程が確定しないためのバッファという意味もあったのだが、その辺はまたファーストクラス搭乗決定までの前日譚の記事で)
さて、ニューヨークに4日間も居るのであれば、ニューヨークだけでなくその近隣にも足を伸ばしてみたい、そう考えた。そもそも筆者は交通・旅行オタクである。というよりは、距離感がバグっている移動オタクと言ったほうが適切かもしれない。1日1,000km運転するのは余裕であるし、1週間で47都道府県全てを踏んだり1日で宗谷岬から与那国島まで行ったりするような人間である。そんな人間が、4日間もマンハッタン島の中で収まっているほうが難しい。いや、流石に初NYだし今回は移動が本質ではないので、常識的な範囲にするんだけど。

アメリカの古い大学を見てみたい

そう思って、手頃な距離で、なおかつ行った先でもその土地ならではの体験が気軽に1日程度でできる場所、というのを考えた。その結果が、電車で2時間少々行った先にあるNew Havenという街である。ここにはイェール大学という大学があり、そのキャンパスツアーに行ってみることにした。
日本での知名度で言えばハーバード大学には劣るだろうが、同じアイビー・リーグと呼ばれる東海岸の名門大学群の1つである。他のアイビー・リーグだとハーバードはNYからだとイェールの倍以上の距離があり流石に日帰りは難しく、コロンビアは近過ぎて小旅行には向かない。プリンストンは同程度の距離であるが、イェールには留学中の先輩がいることもあって以前に少し話を聞いていたことから、イェールに行ってみることにした。
何しろアメリカ独立前の植民地時代から正式に学位を与えることを認可された大学(ハーバード、ウィリアム・アンド・メアリーに続いて3校目)で、創立は1701年というから驚きである。1701年と言えば日本は元禄14年、江戸城松の廊下の刃傷事件が起きた年であり、時の将軍は5代綱吉。暴れん坊吉宗はまだ紀州藩主にすらなっておらず将軍になるのは15年後と、江戸時代もまだ前半という時代である。
そんな時代から、現代まで続いている「大学」という概念を体現し続けているというだけで、見に行ってみたくなるものだ。どんなキャンパスでどんな学生が学んでいるのか。現場を見てみたい。

キャンパスツアーは公式サイトから簡単に申し込める。無料だし、日程が決まっていればとりあえず申し込んでしまうと良い。金曜はカーネギーホール、日曜はやっていなかった、月曜は午後からフロリダへ移動なので、必然的にこの日になった。

メトロノース鉄道

もう一つの動機がこちらである。鉄オタ・乗り物オタクでもある筆者だが、これまでアメリカでの滞在で乗ったことがある鉄道と言えば、ディズニーの敷地内のものを除くと、ニューヨークのJFK空港からマンハッタンと、マンハッタン内の地下鉄だけであった。このため、何らかの鉄道に1,2時間は乗ってみたいという思いがあった。
NYからNew Havenへはメトロノース鉄道というのが走っており、日本で言うと東海道本線や東北本線や中央本線の普通列車のような感覚である。1時間に2本程度の運行で片道2時間、値段も片道18.25USDと(概ね2,800円なのでやはり物価と円安で高いは高いがアメリカにしては)お手頃である。このことも、行先にNHを、イェール大学を選んだ理由である。

駅までは2時間強、日帰り旅行にちょうど良い距離感

Grand Centralから乗車

さて、9:02にGrand Centralを発車する列車に乗るべく、8:00過ぎに起床し、8:35過ぎにホテルの自室を出る。この日はNYもNHも生憎の雨であり、滞在中で唯一傘を使うこととなった日である。キャンパスツアーで雨なのは残念だったが、仮にどこか一日雨が降るとしたらこの日が一番マシだったのもまた事実なので、よしとしよう。
8:40には駅舎に到着し、まずは乗るべき列車の発着する19番線の位置を確認する。発着番線は勿論アプリで確認できる。(MTAアプリの有能さについてはその3の記事でも大いに述べたが、今回乗車するMetro Northも、Long Island Rail Roadと同じくMTAの傘下のため、MTAアプリが利用できる。)
乗車場所が確認できたら、発車まで20分ほどあるので少し構内を散策。歩いてみて&航空写真を見てみてわかったが、100年以上続く石造りのターミナルの東側に比較的新しい駅ビルが連なっていて中で繋がっているようで、この駅ビルの中に、コンビニ的な売店や、パン屋などがあった。この日の朝食は時間的に車内で食べることになるので、パン屋でサンドイッチとクロワッサンを購入。この2つで16.38USD、ざっと2,500円……
さて、日本であれば秒単位で電波時計を見て発車ギリギリまで用事を済ませることもあるが、何があるかわからない海外なので、8:50にはホームに戻り、車内へ。どの車両も座るのには困らないが、見える範囲には必ず他の人が居る、というような混雑具合だった。快適さと治安とを考えると一番良い。
自分の横や前後には誰もいない左窓側の席(右側通行で、すれ違う列車が見える側である)を選んだが、最終的に前の列には30代くらいの夫婦?が乗ってきた。犬を連れて。Grand Central駅でもそうだったのだが、駅構内に普通に(盲導犬等ではない)飼い犬を連れている人がおり、車内にも連れて良いようだった。しかし座席を歩いたり座っていたりするのはどうなのか…とも思った。筆者は特に犬嫌いではない&大人しい犬だったので殆どその存在を感じることは無かったが、アレルギーの人がいたらどうするんだろうか……
列車は9両編成で、1番前が締切回送扱いのため乗車できるのは8両だった。基本的には運転台付き車両を背合わせにした2両1組が固定編成のようで、これを4編成繋ぎつつ、前から3両目にはバラした1両を組み込んでいた。

この日は終日雨
停車駅の一覧が出ている
乗換駅での接続も案内してくれている
路線別の案内もしっかりしている
朝食を買いに立ち寄ったパン屋
先頭車どうしの連結部での転落対策はかなりしっかりしている
2両1編成を組み合わせて使用している
この辺りの見た目は日本とほぼ変わらない
車両連結部
この列車では先頭1両が締切になっていた
車端部は配席が異なる
欧米にありがちな車両中央を向いて固定されたクロスシート
先頭部
右がこれから乗るNew Haven行
左はその次に発車する、途中のStamford止まり

Grand CentralからStamford;運行形態や設備の話

New Haven行の列車は定刻に発車した。暫くは徐行もしながらPark Avenueの地下を走行し、9:10過ぎにセントラルパークの8割ほどの97th Streetから地上へ顔を出した。地上に出て少し先にある、マンハッタン最後の停車駅であるHarlem-125th Street駅へ1分延で停車した。

乗っている列車は、この駅を出ると50kmほど先のスタンフォード駅まで40分以上停まらない列車である。ただ、日本で言う快速や急行といった「種別」のようなものは特に無いため、自分が行きたい駅に停まるかは、予め自分で調べる必要がある。アプリで簡単にわかるのだが。この辺りでパンを食べていたのだが、買ってから冷静になって気付くと、かなり巨大である。
Harlem-125th Street駅を出てすぐ、ハーレム川を渡った先で、ハドソン川に沿って北上するハドソン線を左に分ける。ハドソン線を分けてもなお複々線が続いており、外側線(4線の最も右側)を走行していく。乗っているニューヘイブン線が快速線、同じ区間を走るハーレム線が各停のようなイメージだが、途中の(ハーレム線しか停まらない)駅のホームは外側線の外側に相対式で設けられている。本来はNH線は内側線を走行するのだろうか。そう言えば、保線作業員のような姿を何ヶ所かで見かけた。
各停にあたるハーレム線の駅を通過するのは勿論のこと、乗っているニューヘイブン線の駅であるFordham駅も通過し、ハーレム線のWoodlawn駅を過ぎた先でハーレム線を左に分け、ニューヘイブン線単独の区間に入る。ちょうどNY市ブロンクス区の北端であるWakefield地区であり、Grand Centralからの距離は20km強、近隣にはNYの地下鉄の最北端の駅であるWakefield-241st Street駅もある。

分岐の先、NY市を出てすぐにMount Vernon East駅があるが通過し(因みにWestは分岐したハーレム線にある)、次のPelham駅を境に電化方式が変わる。
ここまでは、日本でも地下鉄の一部を中心に採用されているサードレール方式だった。即ち、線路2本の横に更に電気を流した第三軌条(サードレール)を設置し、車両からL字形に伸びた集電靴で電気を得る方式である。直流750Vらしい。
Pelham駅からは、柱から吊るして張った架線に屋根上のパンタグラフを押し付けて集電する架空電車線方式(交流12,500V)に変わる。日本では、交流と直流に対応した車両はあれど、第三軌条と架空電車線の2方式を1車両に搭載して途中で切り替えるというのは無いはずである。本記事では後から調べて解説しているが、予習していた訳ではなく現地では「あれ? サードレールだったのに架線に変わってる!」とふと気付いた。Pelham駅も通過しながらの切り替えだったようでセクションがどうなっているかはわからなかったが、かなり興味深かった。
Pelham駅の次のNew Rochelle駅の少し手前で、全米の長距離鉄道ネットワークであるAmtrakの、北東回廊を走る高速列車の線路が合流する。

日本ではあまり無いが、別の会社が運行する列車が共通の線路を走る(所謂日本の相互直通運転とはまた違う)というのは欧米ではよくある。Amtrakは、マンハッタンのGrand Centralと並ぶもう一つのターミナルであるPennsylvania駅を発着しており、ここまでLong Islandを経由する東寄りの別のルートでやってきて、New Rochelle駅でMetro Northの線路に合流する。そういう訳もあってか、まだまだ複々線が続く。
さて、列車はNew Rochelle駅をはじめ10個ほどの駅を通過する間にニューヨーク州からコネチカット州へ入り、Stamford駅で定刻の9:55に久しぶりの停車となった。ここからは各駅に停車することになる。
ニューヘイブン線の運行形態は遠近分離の30分ヘッドであり、Grand Centralを出た後Harlem-125th Streetに停まったらStamfordまで無停車でそこから各停のNew Haven行と、ニューヘイブン線の各駅に停まるStamford止まりが、それぞれ30分に1本出ている。

コンセントは非常にありがたい
冷静になって見るとパンがデカい
相変わらず優秀なMTAアプリ(その1)
相変わらず優秀なMTAアプリ(その2)
クロワッサンもデカい
Grand Centralを出て最初の停車駅
前の列に犬がいる
保線基地みたいなところ
Stamfordまで暫く停まらないのが地図でもわかる
混雑状況がわかる他、オタク的には車番がわかるのも嬉しい
前から3両目が編成をバラした1両単体だというのは車番からもわかる
改札済の人はシートの前にこれが差し込まれる

StamfordからNew Haven;並走する高速道路の話

ここコネチカット州のStamfordは、州第二の大都市であるが、あの「スタンフォード大学」とは全く異なる都市である。スタンフォード大学は西海岸カリフォルニア州にある。そしてあちらは綴りがStanfordとnとmが違う。
そんなここコネチカット州のStamford駅ではちょうど停車するAmtrakの列車と行き違う形となり、窓越しではあるものの、走行中にすれ違うよりもその様子をよく見ることができた。
さて、Amtrakと合流したNew Rochelleから終点のNew Havenまでは、州間高速道路95号線と何度も交差しながらつかず離れず走行していく。このため、アメリカの高速道路の様子を見ることもできた。印象としては、右側通行ではあるものの、標識の表示もわかり易く、たぶん走れそう、というものだった。

高速道路は全て動画で撮ったので写真が無いが、例えばこの辺りはインターのランプ部も含めて車窓からよく見えた。
さて、州最大の都市である(が州都ではない)Bridgeportを過ぎ、その次のStratford駅の少し先、フーストニック川を渡った先で複々線は終わって単複線(3線)となる。日本語版Wikipediaではその更に次のMilford駅まで複々線となっているが、Google Mapの航空写真を見る限り、路盤はあるものの線路が撤去されたようだ。(現地はそこまで意識して見ていなかったので確認できてはいない。)

Milford駅、2013年に開業したWest Haven駅(こちらも日本語版Wikipediaには無い)と停まり、終点のNew Havenには定刻11:18のところ11:09の到着だった。ということは途中駅早発してる…?ということには、この時はまだ気付いていない。

Stamford駅
ホームの様子は日本とそう変わらない
Amtrakが入ってきた
日本ではほぼ無くなってしまった食堂車もついている
New Havenに到着
Grand Centralからの直通の終着駅ということもあり広大な留置線があった
発車案内
改札口という概念は無い
Amtrakも同じ空間内のホームに発着する
駅舎とホームを結ぶ地下通路
地下通路を過ぎて駅舎へ上がるところ
駅舎内
駅舎外観

駅から大学へ初Uber

さて、New Havenには、今回終点だったUnion Stationの他、もう一つ先にState Streetという駅がある。大学の敷地・キャンパスツアーの集合場所には後者の方が近いのだが、そこまで行く列車は朝の通勤時間帯のNH行と夕方のNH発しか無いらしい。つまり、NH近隣からNH中心部までの通勤通学用なのだろう。
このため、駅からキャンパスツアー集合場所までの1.5kmほどを移動する必要がある。大きな荷物はNYのホテルに置いており、20-30分程度なので、晴れていれば散策がてら歩いても良いと思っていた(この考えは間違いであるらしいことが後に発覚する)が、雨なので初めてのUberを使ってみることにした。
10分ほど駅舎を散策し、11:20過ぎにUberを呼ぶ。Uberは言わずと知れたライドシェアアプリで、タクシーとは違って(基準や審査をクリアした)素人が自分の自家用車で送迎をするサービスである。乗降地点を地図上でピンで設定し、いくつかあるプラン(相乗りが見つかれば安くなる、大人数乗れる大型車、等々)を選ぶだけの非常に簡単な操作である。
今回は相乗りがいれば安くなるプランを選んだが、自分1人だった。それでも特に待たされることは無く、呼んでから1分後にはドライバーが決定して過去の評価や車種・ナンバー等の詳細が通知され、7分後の11:28には乗車場所に到着した。
運転手のMohamedと、これが初めてのUberなんだという話をした。
モハメド「日本ではUberは無いの?」
福冨「Eatsはあるけど、ライドシェアが解禁されておらず、素人が送迎でお金を取るのが原則として違法なんだ」
モ「え? なんで??」
福「タクシー業界を守るためということになってるけど、まあ遅れてるよねw」
モ「タクシーより便利で安くて、そりゃタクシー業界は大打撃だよね。でもそれが消費者の選択なんじゃないの?」
何も言えねぇ。国交省早くライドシェア解禁してくれ~~~
11:37、10分弱でキャンパスツアー集合場所に到着した。支払いはアプリのクレジットカードで(余談だが日本でも使っているUber Eatsとクレカ登録情報は共通だった)、チップも後からなので、降車時はお礼を言って降りるだけである。非常に簡単で楽でわかり易い。

全然問題無く歩ける距離だな〜と思ったが……

Uberの画面(その1)
Uberの画面(その2)
Uberの画面(その3)
Uberの画面(その4)
Uberの画面(その5)
Uberの画面(その6)
Uberの画面(その7)
実際に来た車
全く迷わず問題無く乗車できた

キャンパスと街が一体化している

キャンパスツアー自体は13:00からなので、集合場所を確認したら、イェール大学に留学中の大学の先輩と待ち合わせて昼食へ。徒歩で5分ほど公園とOld Campusの間を南へ歩いたところに飲食店が立ち並んでいるエリアがあり、その中の1店を案内してくれた。
歩いてみるとわかるのだが、道路が通っておりその中にお店やキャンパスが混在しており、どこまでが大学の敷地でどこからが街なのかがわからない。恐らく、歴史が古く、街自体が学術都市として発展してきた経緯があるため、キャンパスと街が一体化しているのだろう。
先輩曰く、(街の経済は大学で成り立っているものの)大学関係者以外の「街の人」との関係を大学は非常に気にしている・重要視しているとのことで、ガイダンス等でもNHの歴史から教わるのだという。
また、大学敷地やその周辺は概ね安全らしいが、先ほど横を通った公園も夜はあまり治安が良くないらしく、駅周辺はNHでも最も治安が悪いらしい。Uberで行くという旨は伝えていたのだが、「雨だからとかじゃなくて、普通に歩かない方が良い」とのことだった。実際のところ「治安が悪い」のがどの程度なのかはわからない(例えば歌舞伎町は治安が悪いと言えるが、少なくとも昼間であれば歩くだけで危険な場所ではない)が、無意識に日本の常識で物事を考えてしまうのは危険だということを改めて思い知った。
店では料理が出てくるまで20-30分もかかってしまうという想定外の事態があり店を出たのがやや遅刻気味になってしまったが、アメリカ飯にしては野菜も多く美味しかったのでよし。先輩とはここで別れて、キャンパスツアーへ向かう。

海老オムレツ
アメリカ飯にしてはかなり良心的な野菜の種類と量

学生によるキャンパスツアーへ;Old Campus

13:00集合のところ2,3分遅刻してしまい既に屋内での事務連絡が少し始まっていたが、特段問題なくツアーに参加。高校生くらい(大学志望者?)から観光客らしき中年くらいまで30人ほどの参加者がおり、1人での参加者も他にも意外と多く(4,5人?)居た。多数派は2,3人組で20-30代に見えた。
5分ほど事務連絡をしたら、建物の外へ。ガイドの学生は男女2人組で、女子学生はNY出身で生物工学を専攻していると言っていた(男子学生は聞き取れず)。大きめの声で話してはくれるが、マイク等は無く30人ほどの参加者がおり、車の走行音等もする。雨も降っているので参加者は皆傘を差しているため、どうしても輪が大きくなり易いのもあり、少し聞きづらいところがあった。英語力不足への言い訳。
最初は集合場所であるVisitor Centerのすぐ隣にあるHendrie Hallの前で、New Havenという街の歴史を2,3分ほど話した後、先ほど飲食店へ向かったのと全く同じ公園の西側の道を南下して、13:15にはOld Campusへ。ここの門をくぐるところではセキュリティカードによる開錠が必要で、ここからはツアーに参加しないと入れない。
Old Campusは1701年の大学創立後、1718年にNew Havenの地へ移ってきたときからあるキャンパスで、現存する建物では最も古い1752年築のConnecticut Hallの他、築100-150年の建物がずらりと並ぶ。今は図書館や美術館として使われている建物の他、後述する「寮」の1年生の棟として使われている。
構内にある2つの銅像についても説明を受けた。1つめがConnecticut Hallの角付近にあるNathan Haleの銅像で、彼はアメリカ初のスパイとして活動し、独立戦争時にイギリス軍に捕まって処刑されたらしい。Wikipedia日本語版にも記事があるくらい有名な人らしい。13歳で入学して18歳で卒業して21歳で処刑って…やはり昔の人は凄い。
もう1つはDwight Hallの前にあるYale大学第10代学長Theodore Dwight Woolseyの銅像で、彼が大学のスポーツの試合を観に行くとYaleが勝ち、観に行かないと負けたことから、今でも幸運を願う人たちの信仰を集めているという。(Wikipedia調べだが、1852年にハーバードとイェールのボート部が対戦したのがアメリカ史上初の大学同士のスポーツの試合であり、Woolseyの学長在任期間が1846-1871年である。)ガイドの学生曰く、「信じるか信じないかは自由だけど、私も像を触ってから行った試合は勝ったし、触らずに行った試合は負けた」とのこと。
また、その年の初雪が降ったら雪合戦をする、という伝統(?)のことも教えてくれて、試験前日だったが真夜中に雪合戦をしたという話をしていた。

Hendrie Hall前で最初の説明
ツアー参加者は大学マスコットのブルドッグのシールを付ける
中には普通に公道がある
名大みたい
いよいよOld Campusへ
門の通過にはIDが必要
Old Campusに入ったところ
Nathan Haleの像
Dwight Hallと第10代学長Theodore Dwight Woolseyの像
靴の先を皆が撫でるので金色になっている
Old Campusを後にする
Old Campus 北側の縁
門を出ると公道
門の外から見たところ
大学と街が一体化している

寮と図書館

13:30にOld Campusを北へ出て、道路(普通に車が走っている公道)を挟んで北隣にあるBerkeley Collegeへ向かう。イェール大学には「College」と呼ばれる組織が14あり、これは「大学」ではなく「寮」と訳すのが正しいと思われる。詳しいことは知らんので誰か教えてくれ。
それぞれの寮には居室の他に談話室や食堂があり、学生(学部生)は皆14ある寮のいずれかに所属し、寄宿生活を送る。要はハリー・ポッターの世界である。(実際、イギリス植民地時代からの大学なので、まさにイギリスの大学のカレッジ制なのだと思う。)
皆愛寮精神が非常に強いそうで、ガイドの学生は「一番良い寮がどこなのか知ろうと思ったら、favorite collegeを尋ねても皆自分の寮しか答えないから、second favoriteを訊くのが良い方法だよ」と言っていた。なるほど頭良い、流石イェール大生。
寮を出た後は、13:40頃にはSterling記念図書館の前へ。学内に幾つかある図書館のメインとなる最大のもので、1931年に開館したそうだ。荘厳な建物だが、そこに出入りする学生たちの姿は日常そのもので、この空間での生活が日常である彼らを羨ましく思う。学外者でも夕方までは中に入ることができるとのことなので、ツアーの後で行ってみることにする。
図書館の前にはThe Women's Tableという石のオブジェがあり、その解説もあった。雨でかなり目を凝らさないと見えなかったが、中央から外側に向かって螺旋状に、幾つもの数字が羅列して彫られている。これはイェール大学の女子学生の数を表しているそうで、初めはずっと0だったことがわかる。今では普通にキャンパス内で女子学生を見かけるし(サンプルが少ないのでわからないが、東大よりも多いように感じた)、もはや男だから女だからどうという時代でもないと個人的には思っているが、それが話題にすらならないような世界が訪れるのを願うばかりである。
その後、13:55から5分ほど、大学の本部棟があるHewitt Quadrangleへ立ち寄った(屋根がある場所での解説が久々だったので助かった。なお学生2人は何故かずっと傘を差しておらず、かなりずぶ濡れである。)。この広場にも築100年超の建物が並ぶ。ここには第一次世界大戦の慰霊碑もあり、その背後の建物の柱の上の部分に、戦地となったヨーロッパの地名が刻まれていた。
14:00過ぎに広場を離れ、ロースクールの脇を抜け、日本で言う生協購買部のようなYale Bookstoreまで案内されてツアーは終了となった。所要1時間強であり、解散したのは14:10頃である。その後は(途中でも適宜あったが)自由質問タイムとなり、5分ほど残って話をした。

キャンパスツアーのルートと説明場所
https://conferencesandevents.yale.edu/sites/default/files/files/Capus%20Map.pdf に加筆
Berkeley寮へ潜入
こちらもIDが要る(その寮のIDしか有効でないのかは不明)
尖頭アーチはわかる!
大学の掲示板って(ピンが1ヶ所だと丸まってくることも含めて)どこも同じなんだね
寮の玄関
格好良すぎる
傘を差さずにずぶ濡れになるのも構わず解説するガイド学生
寮の中庭
寮の中庭にあたる場所の地下
閲覧室・自習室のように見えるが、奥にある図書館から地下で繋がっているのか、寮の施設なのかは不明
寮の北側
ここから右を向くと図書館が見える
Sterling記念図書館
図書館前にあるThe Women's Table
Hewitt Quadrangle
Hewitt Quadrangleの一角、前写真の左手前にあるBeinecke図書館の屋根の下で解説を受けた
Beinecke図書館
屋根下から見えるのはほんの一部で、広場下の地下一帯まで広がっているそうだ
ロースクールのメインの建物?
ロースクール200周年
200年て……
また街の一角のような場所を通る
ロースクールの西のYork Streetを南に向いている写真
右がMorse寮、左がEzra Stiles寮
この左手にある路地を少し行くと右がYale Bookstoreであり、この付近でツアーは解散となった

アップルストアを発見してVisionProを体験

さて、上述のとおり街とキャンパスが一体化しており、街を歩いているとBookstoreのすぐ横Broadway沿いに、アップルストアを発見した。やはりここでも目玉はVision Proである。筆者は特にこういう最新IT機器に強い訳でもApple信者な訳でもないが、身近にそういう人がいる(その人は発売日に渡米していた)。このため、「2月にアメリカのみで発売された、iPod, iPhone, iPadに次ぐ凄いウェアラブルデバイスがある」、「VRゴーグルみたいに装着すると、実空間にPCのウィンドウを出せる」くらいの解像度ではあるが、存在を知っていた。

現状アメリカでしか発売していないとなれば体験くらいはしたいのだが、NYで見かけたアップルストアの体験は予約でいっぱいだった。ここはどうかと見てみると、店舗設置のiPad上では満席表示だったが、店員さんが20分くらいで枠が用意できるという。時間にも余裕があったので、せっかくなので体験することにした。これはイメージ動画なのだが、結論から言うと、殆ど「動画はイメージです」ではなく、ほぼ本当にこの通りの体験をすることができた。
14:40過ぎに呼ばれて店舗内の椅子へ案内される。デモでどんなことが体験したいか?と訊かれたが、ぶっちゃけた話、購買意欲がある訳ではない単なるお試しなので、ほぼ正直にその旨を話した。興味はあるが流石に高いと思っていて、ただ日本で未発売なので、せっかくアメリカに来たのならば、と。どんなことができるデバイスなのかを教えてほしい、とお願いした。それでも快く受け容れてくれた。
製品がこの形状なので眼鏡を外す必要があり、専用のレンズを内部に装着する必要がある。自分の眼鏡を預けると、その場で度を測ってくれてデモ用に店舗が持っているレンズを装着した状態で体験させてくれた。担当の店員さんが、装着方法から基本操作まで教えてくれて、あとは言われるままに写真を開いたり動画を観たりした。ずっとmy friendって呼んでくるのはアメリカアップルストアの標準なのか、このお兄さんだけなのか。
物理的には遮蔽されたデバイスであるが、外側にある前方を映すカメラの映像が内側のディスプレイに表示されることで、現実空間と仮想空間とを重ね合わせている。映像も非常に綺麗でタイムラグも殆ど無いため、「映像を見ている」感はあまり無く、自然に感じた。デモ中は座ったままだったが、恐らく歩くことも普通にできる。
コンテンツの操作にやや癖があるため最初は苦戦するが、すぐに慣れる。基本操作は、選択したいアイコンに視線を向けて、手元で親指と人差し指をくっつける、という操作である。恐らく、内蔵されたカメラが目の動きを捉えて視線の方向を感知して、手元を捉えるカメラが手の形を認識している。無闇に首を動かしたり手を目の前に持ってきたり力を入れて指をくっつける必要は無く、軽く自然にで十分反応した。
また、首を回して頭を動かすと、現実の映像は当然視野が変わるが、各コンテンツのウィンドウは(本当にそこにあるかのように)視野の外に置いていかれる。
サンプルに幾つかの動画や写真を見せてもらった。凄い。iPhone14だか15だか以降で3Dで撮影した写真・動画は、3Dで再生できるという。特にパノラマ撮影されたものは、「まるで本当にそこにいるかのよう」という比喩表現が、これまでよりも確実に、現実に近付く体験だった。特に、スピーカから聞こえる音も立体になっており、頭を左右に向けても、きちんと「その方向から音がする」という体験ができた。
体験は20分強で終了。特に執拗な営業や押し売りをされることも無かった。ストレージ最小の256GBでもお値段3,499USD(52万円強)からという価格設定なので、凄いと思ったからと言って流石にすぐに買えるものではないが、iPhoneが2007年に発売してから世界が大きく変わったように、一つの時代の波が来そうな感じはした。

Bookstoreとは本当に目と鼻の先、すぐ隣

日本のアップルストアも全然行ったこと無いが、多分雰囲気も含めて一緒
右奥にVision Pro体験スペースがある
大学施設とVision Proと思って撮った写真だが、よく見ると教会で大学施設ではないっぽい
展示されていたVision Pro
お値段はこちら
実際に着装体験したVision Pro
奥に写っている店員さんのiPhoneに映像が同期されるため、こちらが今何をどう観ているかを把握してデモを進めてくれる

Yale Bookstoreを物色

アップルストアを出て、すぐ横にあるYale Bookstoreに戻ったのが15:14だった。bookstoreという名がついているが要は大学の売店であり、書籍の他にも文房具、簡単な雑貨・日用品があり、大学グッズも多数取り揃えていた。
ツアー参加者は参加証のシールを見せるとYaleグッズが10%OFFだと言っていたので、せっかくだからとボールペンを買った。が、帰国後ずっとバタついておりまだパッケージに入ったままである。
書籍は大学の売店なだけあって難しそうな専門書も多数取り揃えているが、一方で娯楽の本もあるのは日本と同じである。日本の漫画はやはり人気なようで、主要なタイトルはほぼ置いてあるような印象を受けた。読み比べるため、スパイファミリーの1巻を購入した。
また、外国の本屋に行ったときによく見るのが、日本語学習書のコーナーである。こうしてみると日本語の言語としての難しさはかなりのものだな、と思う。ひらがなカタカナでの単語帳があり、漢字は漢字で別冊になっているのが標準のようだ。
かなり上級と思われる学習書の中に、大学を舞台にしたページがあり、あまりに見慣れた地図が書いてあったので思わず店員さんに撮影とネット掲載の許可を得る。工学部一号館で学んでいた身としては、まさにそこが舞台になっている本にイェール大学で出会うのはかなりアツい。大きないちょうの木、あるよね…と思いながら読んでいると、「工学部一号館は正門の西にあります」だと……? よくあるんですよね、その勘違い。本郷キャンパスのよくある地図は、上が北ではなく東なんですよ。安田講堂がその向きだから仕方ない。

入ってすぐの場所にYaleグッズが並ぶ
大学グッズの品揃えはかなり豊富
豊富だが、(ディズニーもそうなのでアメリカはそういう文化なのか)自らが身に着ける・使うグッズが殆どで、人にお土産に買っていくようなものはあまり見当たらない
店内は半層が地下に埋まったような2階建てでかなり広い
概ね下層が書籍中心、上層が雑貨・日用品中心だが、厳密ではない
購入したYaleボールペン
漫画コーナー
日本語学習書籍コーナー
忙しい人のための日本語、表紙が面白い
見慣れた地図が…!
しかしそっちは北ではない

正しい方角

冷静に見てみると結構レベルが高い本だった
学生が好きそうなシャツ(その1)
学生が好きそうなシャツ(その2)

図書館を見学

Bookstoreを15:30過ぎに出てBroadwayを東へ歩き、Berkeley寮の東を回り込む形でSterling記念図書館の前に戻る。中庭を含む寮敷地は柵で囲まれセキュリティカードが無いと入れないが、寮の周囲の道は外部者でも歩くことができる。その分(?)こまめに監視カメラと緊急通報装置が設置されているのは、安心なんだか不安なんだか…とは思うが。

15:50に図書館の内部へ。入口を入ったところには監視カメラの映像を見ている守衛さんがいて、外部者は17時だったか18時だったかまでは居て良い(それ以後、どうやって外部者を見分けるのだろうか……勉強している学生に一人一人IDの提示を求めるのだろうか?)とのことで、写真撮影も学生や職員の顔が写らなければOKだという。
内部も、建物の外観に違わず荘厳で、これといった西洋建築の知識も持ち合わせていない者からすると、ただただ凄い、綺麗、格好良い、という小学生並みの語彙が滲み出してくるばかりである。本郷の総合図書館もかなり凄いが、こちらには勝てないな、と思った。
イェールには(日本ではあまり例が無いと思うが)医学・法学・工学等と並んで美術・音楽・演劇の専門職大学院があり、その関係の収蔵物も多数取り揃えているようだった。ベートーヴェンの交響曲のスコアで1868年に蔵書になったものが、普通に利用者が手に取れる開架の棚に置いてある。
幾つかの閲覧室に入ることはできたが、外から見て目立つ塔状の部分へは、IDが無いと入ることができないようだった。残念。
16:15過ぎに帰りのUberを手配し、イェール大学を後にした。

学内の結構至る所にある監視カメラ&通報システム
図書館前にあったもの
Bookstoreを出て左、Broadwayを東へ向いた写真
Broadwayを東へ歩いた後、西向きに振り返った写真
図書館南のElm Streetを東へ歩いたときに、Trumbull寮を南側から見たところ
ピントが合っていないが、中には大広間の食堂があった
左がBerkeley寮、右がGrace Hopper寮(2017年まで旧称Calhoun寮)
北向きに撮った写真
寮の周囲にある緑地
改めてSterling記念図書館を訪れる
入ってすぐのところ
入ってすぐ左
詳しく見ていないが、恐らく蔵書の検索スペース
入って正面奥の左側
奥に見える扉の先は閲覧室
入って正面奥の右側
この左奥は増築された?近代的な建物に直接つながっていた
上の写真から真っすぐ奥へ進んだ右側の中庭
繋がっていた近代的な建物にあった
カセットはともかく、VHSやMDも既に歴史の品なのか……
あちこちに自習スペースがある
音楽図書館にあったベートーヴェンの楽譜
こういうの、IMSLPでしか見たこと無い
少なくとも150年以上この譜面(物理)を見てきた人がいて、今も世界中で演奏され続けている、という事実がアツい
第九初演は1824年でこの本が収蔵されたのが1868年
現代で言うと44年前の1980年は山口百恵が引退、ピンクレディーが翌年解散、松田聖子がデビューした年らしい
めっちゃ最近の曲じゃん
1階正面奥左の閲覧室(だったと思う)
Okinawan-English辞書が面白かった

Uberを使ってみた感想

帰りのUberも問題無く利用したが、往路に比べると全体的に悪い印象で、運転が荒く、しかし広い道で特に理由なく遅くなったりもして、お世辞にも快適なドライブとは言えなかった。
しかしだからと言ってタクシードライバーが必ずしも運転が丁寧かと言えばそんなことはない。日本での話だが、絶対に自分よりも下手で遅いのに危険、というような運転をするドライバーや、恐怖心を感じるほど飛ばすドライバー、明らかに周囲に迷惑をかけて危険なドライバーにも、何度も遭遇してきた。
そう考えると、Uberの場合はそういうドライバーには低評価を付けてチップを減らせば良いだけなので、仕組みとしても非常によく出来ていると思う。タクシーと比べて悪いところが(消費者目線では)ほぼ全く思い付かない。
ディズニーも含めて感じたが、アメリカは個々人が適当な接客対応をするリスク・人によって差が出てしまう要素を、技術の力で殴って解決している気がする。個人的にはとても良いと思う。日本のおもてなしも、「最低限の常識」のレベルが世界に比較して高く、更に(適切な対価が無くても……)接客に丁寧な人が多いという点は良いことだしそこが外国人にウケるのだろうが、一方で当たり外れがありそれが事前にあまり可視化できないのは事実。

評価できる豊富な項目(その1)
評価できる豊富な項目(その2)
評価できる豊富な項目(その3)
評価できる豊富な項目(その4)
評価できる豊富な項目(その5)

復路のNew Haven駅

16:30には駅に戻り、16:38発のGrand Central行を待つ。この地で1つの事件が起こる。今回のWalt Disney Worldも含めた14日間のアメリカ旅行で最も焦った瞬間と言っても良いかもしれない。だが、その前に少しだけほっこりエピソード。
駅舎には長いベンチがある広大な待合スペースが広がっており、壁際にはGrand Centralと違って有人の窓口も幾つかあった。また、Subway等の売店も2,3あった。
ふと見ると、往路では気付かなかったが、案内所のような窓口があったので近付いてみた。ちょうど16:30で閉めたところのようだったが、ガラス張りだったのもあって、中の様子を眺めていたこちらに気付いて声を掛けられた。日本から来たタダのrailfanで特段の用事がある訳ではないが、紙の時刻表があれば欲しい、と伝えたら、「Amtrakのは無いんだけど…ちょっと待って」と路線図をくれた。Amtrak専用の案内所では無かった気がするが、え、俺Amtrakが欲しいって言ったっけ。railfan = Amtrak fanなのかもしれない。まあ良いや。

貰った路線図
好意でくれたのは非常にありがたいし勿論文句は無いのだが、その割に端がボロボロだったり(写真ではあまりわからないが)結構細かく擦れ・俺があったりするのはアメリカクオリティ
(真ん中の半分の折り目はカバンに入らなかったので自分でつけた)
駅舎
左側が外への出口、右奥がホームへの地下道入口
案内所は右奥に並ぶ窓口の更に右にあった
ちょうど対角線位置から見たところ
左に並んでいるのが窓口、右奥の壁沿いに売店
各ベンチの上に鉄道模型があった

この旅行最大の事件が発生

始発駅なのでもう列車はホームに停まっているのではないかと思い駅舎から地下道を通ってホームへ向かうが、そこに列車の姿はなかった。近くに留置線があったのでそこを眺める等していたところ、16:35過ぎにGrand Central側から列車が入線してきた。案外ギリギリなんだなと思いながら入線の様子を動画で撮影している辺りから、無意識に日本での鉄オタムーブに入り込んでしまったのが良くなかった。
折り返しの出発後の先頭車両付近で待機していたため、車内へ入って往路と同じ理由で左側の窓側席を確保して(とは言っても流石に荷物放置はしないので、日本から持ち込んだ生茶のペットボトルだけを座席に置いた)すぐに列車から降り、サッと先頭車両を撮影して席へ戻ろうとした。次の瞬間である。日本でも聞き慣れた、ブレーキ緩解で空気が抜けるあの音がして、モータがゆっくりと唸り始めたのである(因みにこの車両は川崎重工業製らしい。そりゃ聞き慣れた音がするわ。)。扉が閉まった音にも全く気が付かなかったし、発車ベルや放送や笛なんてものは無い。
幸いだったのは、列車の運転台が右側にあり、ホームも右側だったことと、先頭車付近にいたことである。反射的にNo, no, no!!と叫びながらゆっくりと滑り出した乗務員室の窓をノックし、数十センチ進んだところで列車は停止し、再開扉してもらって事なきを得た。30分に1本の路線で、車内に置いたのはペットボトルのみ、最悪Uberでも十分帰れる距離なのではあるが、やはり置き去りは辛い。一安心した。
当然発車時刻は確認していたつもりだったが、どうやら時計を見間違えていたようである。それに、(結局この列車はきちんと定刻か遅れ発車だったようだが)往路では早発もしていたようだったし、異国で常識が通用しないということが、無意識にすっかり抜け落ちていた。冷静に考えれば、3分5分の余裕が無い限りは席に座っているべきであった。
乗務員さんや他の乗客の皆さまにご迷惑をおかけしてしまったことも含め、とても反省している。

留置線群
ホームから撮影できる
反対のホーム
駅舎の裏側とホーム
乗車する列車が入線してきたところ
画面奥がGrand Central方向なので、折り返しとなる
外に出て一瞬撮った写真
この後すぐに戻ろうとしたが、よく見ると既に扉が閉まりかけている
帰りは初めはガラガラだった
運行情報にデモ情報
途中にあった、船舶通過時に昇降すると思われる橋
現役かどうかは不明だが動きそう

ここ

複々線の外側にある緩行線が一時的に使用停止となっている様子
小田急の下北沢地下化の工事の途中で似たような事例があったが、あちらはホーム全体を仮設で前に出していた

メトロノースでGrand Centralへ戻る

帰りの列車は疲れもあってか、17:30過ぎころから少し眠ってしまった。海外なので治安的にも寝ない方が良いのは間違いないが、窓側の席で荷物を抱えていた。
ただ、すぐに車内がかなり混雑し始め、その喧噪で目が覚めた。行きと同じくStamfordまでは各停、Harlem-125th Streetまで無停車、最後にGrand Centralという停車駅であるため、暫くはずっと乗降がある。若いくらいから30代くらいまでの女性7,8人組が皆真っ黒な服で揃えて乗ってきており、爆音で喋っている。3人掛けに座っている自分の隣とその隣も、彼女らの一団である。何繋がりなのだろうか。
更には、隣の女性はアメリカ人の例に漏れず、ずっと画面の中の友達と喋っているようだった。アメリカ人は公共の場でも平気でビデオ通話や電話をする、というのは、今回の旅で学んだことの一つである。前日のカーネギーホールで日本よりスマホを見ている人が多かったのも、こういう背景がありそう。
まあ、彼女らは何か悪いことをする人たちには見えなかったし、こうして無理やりにでも起こされている方が、結果としては良かったのかもしれない。
結局Grand Centralには定刻の18:49より少し早い18:45頃に着いた。MTAアプリには、Grand Centralでデモがあって通行経路が規制されるかも、と出ていたため心配していたが、自分の通ったホテルへの最短経路では、特に何も見なかった。もしかして皆で黒い服に合わせていた彼女らは、デモに参加しに来たのだったのだろうか? 真相はわからない。
朝と昼がボリューミーだったこともありそこまでお腹は空いていなかったのと、疲れていたのとで、18:50にホテルに着いた後は、すぐに風呂に入って寝た。
これでNY滞在もあと2日弱だが、まだ観光パスが5箇所分残っている。明日はこれを消費しなくては。

2024.3 往復JALファーストクラスで行くNY・WDW旅行の記録
その5;NY観光2日目(メトロノース鉄道・イェール大学 etc.)編 おわり
その6;NY観光3日目(ブルックリン橋・9.11記念館・エンパイアステートビル etc.)編 へ続く

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