一般社団法人で協会をつくる際の設立費用
一般社団法人の設立を考えはじめたころに気になるのが、「設立費用にいくらかかるのか?」ということではないでしょうか?
株式会社を設立することを思い浮かべてください。
株式会社を設立する際には、登記などの手続きに費用がかかります。
一般社団法人も株式会社と同じく法人になります。一般社団法人を設立する際にも、登記などの手続きに必要な費用がかかります。
同じ一般社団法人の設立でも、すべて自分で設立する場合には、費用を抑えることができます。
士業の先生に依頼して設立する場合には、登記などに関する費用以外に、士業の先生への手数料がかかります。
(個人的には、行政書士や司法書士に頼まずにご自身で定款をまとめられたほうが勉強になり、費用も抑えられるのでおすすめしています。)
では、実際に一般社団法人を設立する際にかかる費用はいくらなのか?具体的な数字を用いながらご紹介していきます。
1. 一般社団法人の設立費用とは?
そもそも一般社団法人とは、平成20年12月1日施行の「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」に基づいて、新たに誕生した社団法人のことです。
「一般社団法人を設立する」ということは、法務省法務局(登記所)に対して、法人登記簿に記載するために、定款やその他必要書類を登記官に提出することを言います。
一般社団法人設立にかかる費用とは、それにかかる手数料や税金に関することを言います。
2. 一般社団法人の設立に必要な費用は?
一般社団法人の設立は、拠出金は0円からできます。
一般社団法人の拠出金とは、株式会社に例えると、資本金のことを言います。
しかし、一般社団法人設立の手続きには、おおよそ12万円程度の費用がかかります。その設立費用を大別すると、以下の3点になります。
定款認証時の公証人費用
設立登記の登録免許税
設立後の証明書類の取得
すべて自分で設立する場合にかかる費用
一般社団法人の設立に必要な費用は、少なくとも12万円程度必要となります。
法定費用として、以下の2つがかかります。
定款認証手数料:5万円
登録免許税(登記手数料):6万円
それ以外にも、以下が必要になります。
定款の謄本費用:2千円程度
印鑑証明書交付手数料:1千円程度(設立時社員や理事の人数等による)
代表者印の代金:1千円くらいから(販売店や印鑑の材質などによる)
士業者に依頼する場合にかかる費用
一般社団法人設立の手続を司法書士に依頼した場合には、上記のほか、依頼先への報酬が必要となります。同じく、行政書士に定款の作成やその他書類の作成を依頼した際にも、依頼先への報酬が必要となります。
報酬額は事務所によって大きく異なります。そのため、依頼する予定の事務所から予め見積もりを取り、比較検討すると良いでしょう。
書類作成のみ:2~5万円程度
書類作成から申請まで:5~10万円
交通費や宿泊費などの諸経費が生じる場合には、別途請求されることが多いです。
3. 一般社団法人の設立後にかかる費用は?
法務局で登記後には、銀行口座を開設し、税務署へ届出しなければなりません。その際に、登記事項をすべて記載した『履歴事項全部証明書』を請求する必要があります。これは1通500円かかります。
また、法人の印鑑証明書も必要になります。これは1通500円になります。
4. 一般社団法人と株式会社の設立費用の違い
以下、一般社団法人と株式会社の設立費用の違いになります。
一般社団法人の設立の場合
一般社団法人の設立は、拠出金が0円からできるとしても、一般社団法人設立の手続きには、別途、約12万円程度の費用がかかります。
一般社団法人設立には定款の作成が必要ですが、定款は「文書」による定款の作成と「電子定款」で作成する方法があります。いずれも、公証役場で認証手続きを受けることになります。公証人役場でかかる定款認証手数料は、5万円です。
株式会社の設立の場合
株式会社の設立には、最低21万円が必要になります。
また、株式会社の「文書」による定款には、収入印紙を貼って、印紙税を納めなければなりません。印紙税は、4万円です。(電子定款の場合は印紙税が不要になります)
一般社団法人の定款は、印紙税法で定められている課税対象にはなっておりません。印紙税は不要となります。
5. 一般社団法人設立の期間
一般社団法人設立にかかる期間は、定款を作成し、認証を得るのに数日。法務局に書類を提出して2週間。合わせて20日間程度かかります。
ただし、法務局に定款を申請した日が一般社団法人の設立日になりますので、実際には、公証役場の認証がおりて、その日に法務局に赴けば、ほんの数日で設立ということも可能です。
ちなみに、しばしば一般社団法人と比較されるNPO法人(非営利特定法人)ですが、NPO法人の場合には、設立までおおよそ6カ月程度の期間が必要となります。
6. 一般社団法人の設立費用の留意点
最近、一般社団法人設立の「代行手数料0円」の広告を目にします。士業の手数料にも、デフレの波が押し寄せています。
しかし、これには当然、公証役場に支払う定款認証手数料や、法務局に収める登録免許税などの法定費用は含まれていません。別途、費用がかかりますので、ご注意ください。
またその際に、一般社団法人設立後には、その税理士などとコンサルタント契約を結ぶことが条件であることが多くあります。十分お気をつけください。
尚、一般社団法人設立の登記に関しては、その代理権を有する司法書士に依頼をした場合には、その報酬が必要になります。しかし、行政書士は申請の代理を業務として行うことができません。
行政書士ができる範囲は、定款作成や認証手続き、会社設立関連書類の一部作成に限られます。税理士および行政書士は、登記申請の代理業務によって報酬を得ることは認められていません。
まとめ
一般社団法人設立に関する費用は、独自で行う場合には、おおよそ12万円かかります。従って、これを下回って法人格を取得することはできません。
その際に、司法書士に登記を依頼したり、行政書士に定款の作成をお願いする場合には、その他に書士の先生への報酬が必要になります。数万円から10万円程度が妥当です。
一般社団法人を設立する設立時社員や理事の方は、その法人が発展し、滞りなく運営できることが大切なことなので、運転資金に多くを回せるよう計画することをお勧めします。
逆に、忙しい中一般社団法人を設立する場合には、行政書士などの専門機関にお願いすることで、大変な定款の作成や申請書類を揃える時間を省略できます。これは費用には変えられないものという考え方もできます。
いずれにしても、一般社団法人設立に関する費用がいくらかかるのか、確認しておいてください。
一般社団法人については「一般社団法人とは?|13のポイントをわかりやすく解説」こちらの記事で徹底的に解説しているので、より詳しく知りたい方は是非ご覧ください。
協会ルネサンス
吉岡岳彦