ある夜のこと。
開けっ放しのカーテンの向こうに、
綺麗な月が見えた。
こんな素敵な夜に、
布団に潜ってるなんてもったいないわ。
そう思い立った私は、
だらだらとベッドに寝転がるのをやめ
コンロに火をかけ、お湯を沸かし始めた。
もし私が映画に出てくるヒロインだったら、洋風のバルコニーで夜風に当たりながら、グラス片手にオシャレにワインなんか飲んじゃったりして。
そんな妄想をしながら、カップラーメン片手にベッドへ向かう。
ふぅ、っと庶民の味に満足した私は、なんとく枕元にあった読みかけの小説を開く。
ぱっと開いたページから、栞代わりにしてた1枚の写真がひらひらとこぼれ落ちた。
私は床に落ちたその写真をじっと見つめた。
しばらくして、また元のページに写真を挟んで本を閉じた。
その勢いのままごろん、と寝っ転がった。
私の目からは、ごぼごぼ音を立てて、
熱い水がこぼれ落ちていた。
月はより一層輝きをまし、
まるで燃えているかのようだった。
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