『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』(2016)
ロンドンの片隅に転がるジェームズは、いかにも関わりたくないという感じのストリートミュージシャンだ。そんなジェームズが人や猫に助けてもらって、人生を取り戻していく。
とってもかわいい猫のボブ。茶トラ猫は英語では「ジンジャーキャット」というのが勉強になった。このお話、「猫のボブがジェームスに幸運をもたらした」というのは間違いじゃないけど、それだけだろうか。
お金もなくてクタクタのズタボロ。それでもジェームスはボブのために献身的である。優しいなと思った。ジェームズの優しさは、なんといってもボブへの声かけににじみ出ている。なんやかんや話しかけている。まるで岩合さんのようだ。
ジェームズの優しさそのものが、彼自身の人生を変えたようにも見えた。ジェームズにとって、自分の持っている優しさを純粋に向けられる相手ができたこと、それが彼自身の救いになったように思える。きっと、ずいぶん長い間、そのまっすぐな優しさを、しまい込んでいなければならない状況にいたのかもしれない。
相手思いな優しさ、偽善な優しさ、孤独な優しさ、臆病な優しさ、そして、ただ単に嫌なやつ、この映画にはいろんな人のいろんな性格がさらりと描かれている。きれいなだけでも、きたないだけでもない世界の中の、小さな幸福の話であった。
PS
主演のルーク・トレッダウェイが『ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド』のバリーだと知って驚いた。
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