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YOSAKOI SORAN NEWS_Vol.8


学生チームが地域で存在感を発揮!

北海道内では、多くのYOSAKOIソーランチームがイベント参加やボランティア、副施設の慰問などの地域活動を行い、まちの賑わいづくりを担っています。その中で、学生チームならではの活動を長年続け、地域で大きな存在感を発揮している2チーム「テスク&祭人」「北海道大学”縁”」に話を聞きました。

鉄西秋祭り(2023年)

 9月8日(日)、札幌市北区の「鉄西(てっせい)地区」である祭りが開催されました。祭りを主催したのは「鉄西まちづくり学生推進委員会」。会場となった公園にはこどもから大人まで地域のひとたちが集まり、YOSAKOIソーランの演舞や様々な出店でおおいに賑わいました。

続く地域との連携

 「鉄西まちづくり学生推進委員会は北大のYOSAKOIソーラン2チームで構成しています」そう話すのは、「テスク&祭人」の代表 竹内さん。2007年に設立された同委員会は、連合町内会の会合にも参加し、年間を通して鉄西地区での活動を続けています。
 鉄西地区とは、北6~11条・西1~11丁目という札幌駅の北側に広がるエリアで、北海道大学も含まれます。
 「全国様々な地域の祭りに参加しますが、鉄西地区はホーム。活動の基盤として、大切にしています」と北海道大学”縁”の五十嵐さん。「鉄西はホームタウン。本祭前の5月には、まちづくりセンターが地域住民向けの披露会を用意してくれたり、いつもよくしてもらっています。北大生は道外出身者も多いので、“学生の間だけでも自分たちの住む地域を盛り上げるために活動をしよう”というのが発端ではじまりました」(竹内さん)

5月に行った披露会
夏祭りのお手伝い

年間を通して地域とともに活動する両チーム。鉄西夏まつり、秋まつり、冬まつりといったイベントから、地区内の小学校の宿泊行事サポート、子どもたちと街歩きをしてつくる「子ども安全マップ」の作成など、まちづくりセンターとの連携を中心に、活動は多岐にわたります。

子どもたちと一緒に街歩きをして作成した「子ども安全マップ」
地域の紹介や、交通量の多い道路、注意が必要な交差点などを掲載している

中でも、「鉄西秋まつり」は学生が主催する一大イベント。「年間を通して全道の祭りに参加していますが、その交流は集大成の秋祭りにつながっています。今年の秋祭りには沼田町・標津町・むかわ町の3つの町がブース出展してくれました」(竹内さん) チームが育む交流が、地域と地域の交流にもつながっています。

今年の秋祭りの様子

「年間をとおして活動があるので、小学校のこどもたちと関わる機会が多く、顔見知りになった子も多い。自分の住む地域にそういう子どもたちがいるのは励みになるし、いい意味で変なことはできないなって」(五十嵐さん) 「秋祭りでは自分たちで協賛を集めるのですが、協賛のお願いに行ったお店の方のお子さんがその小学校に通っているそうで、『お祭りを開いてくれてありがとうね』と言われてすごくうれしかったですね。がんばろうと思いました」(竹内さん)

ひろがる活動

 連携が長年続く中で、新しい活動にも取り組んでいます。「今年は小学校のスキー授業のサポートボランティアにも行きました。こども神輿のお手伝いもする予定です」(竹内さん)
 地域との連携は、鉄西地区だけにとどまりません。北海道大学”縁”では2023年の成人式での演舞をきっかけに、北区役所との連携も増えています。2023年11月から区民センターで月1回「まなびの秘密基地with北海道大学”縁”」を開催。チームのメンバー数名が、小学生に学校の勉強の補助や大学について話す活動を行っています。最初は数名だった参加者も、直近の回では約15名が参加するなど、徐々に浸透。「寺子屋に加えて、YOSAKOIソーラン教室も年に2回できることになりました」と五十嵐さん。

北区主催の雪合戦大会(2/18)。縁は開会式での演舞とボランティアに参加。祭人はチームで出場し、優勝した。

祭りの楽しさ・つながりを未来へ

 踊り以外にも広がっていく地域との活動。チームはどんな想いでとりくんでいるのでしょうか。
 「僕らが楽しいと思ってやっているYOSAKOIソーランを、子どもたちにも知ってもらいたいという想いがあります。寺子屋活動を積み重ねることでYOSAKOIソーラン教室ができたりする。やっぱり地域に密着していかないと、そういう活動は増えていかないと思うんですよね。祭りがこの先もつづいてくれればいいなと思っているので、学生はメンバーが入れ替わるけれど、後進をつくっていくというか、楽しいということを伝えていくための地域活動かなと思っています。YOSAKOIソーランのサークルだけど、踊ることだけが目的ではなく、“踊って何をするのか”に本当の楽しさがあるよね、というのはチームメンバーにも伝えるようにしています」(五十嵐さん)
 「子どもたちには、大学生と交流することで憧れてもらえたらいいな、と。大人には、YOSAKOIソーランのチームが地域の縁の下のちからもち的な存在としてがんばっているんだなと少しでも感じてもらえたら。未来の自分たちの活動やYOSAKOIソーラン祭りがやりやすくなったらいいなと思っています」(竹内さん)

 毎年メンバーが入れ替わる学生チームですが、自分たちだけでなく町内会や行政といった地域の人たちと連携して継続的に活動してきたことで、地域から認められ、頼られる存在になっています。踊りだけでなく、自分たちが暮らす地域に根差した活動を続ける若者たちに、これからも注目です。

《インタビューに答えてくれた二人》  
左:竹内浩征さん(テスク&祭人 2024年度代表)
右:五十嵐恒星さん(北海道大学”縁” 2024年度代表)

第34回YOSAKOIソーラン祭り
2025年6月4日(水)~8日(日)開催!

2024年11月・参加要綱発表/12月1日(日) エントリー開始

来年のYOSAKOIソーラン開催日程が決定!
11月初旬にはチーム向けの参加要綱を発表し、道内各所で参加説明会を開催します。また、事務局では参加に関するご相談を随時受付中。たくさんのチームのご参加をお待ちしております。

今年は市外・道外からも参加しやすい チーム向けの宿泊プランを用意!

チームインタビュー:
各地で育んできた交流が地域を盛り上げる力になる(舞灯雄武)

 95年かな、テレビで見ておもしろいなと思ったのが最初。当時商工会の青年部で、「YOSAKOIソーランってあるんだけどどうだべな」っていう話をしたんだけど、まだブームになる前で、「そったらもの」って言われて、一回断念したんだよね。それから2年くらい、すっかりブームになっていて、イベントにYOSAKOIを呼ぶっていう話になったのよ。「呼ぶんだったら自分らでやらないのか」と反対したんだけど。結構金もかかったんだわ。それをチーム立ち上げに使っていれば、って俺はもうぶんむくれよ。それで飲み屋にいったら、ママが「お前がやるんだったら協力するぞ」っていう、おじさんたち3人を紹介してくれて。観光協会や役場の人。その3人と、嫁さんと、俺。それから飲み屋のママと、その友だち2人。8人集まって、一人5000円出して、高知の工房から4万円分鳴子を買った。そこから始まったんだ。
 98年の1月に初練習をしたときには、保育園児から70代まで100人くらい集まった。その年は雄武の産業まつりでお披露目で、支部大会にも出た。で、翌年いざ札幌出ようってなったら、どうやって出たらいいか、何にもわかんないんだよ。で、札幌で飲み屋をやってたママに―

―全部飲み屋じゃないですか!笑
 そうなんだよ(笑)。で、そのママが、たまたまお客さんに新琴似(天舞龍神)の誰かが来てるってなってよ。全部教えてもらった。まずは地方(車)がなきゃならん、って札幌の天舞の事務所に行って地方の作り方を教

えてもらったり、いろいろ紹介してもらったよ。

第8回(1999年)初参加
赤い衣装とうちわがトレードマーク

―それがもうすぐ30年。
 町の人からは「お前らよく頑張って続けてるな」って言われるんだけど。好きだからさ、基本的には。俺はいつも言うんだけど、YOSAKOIソーランは、楽しいんだよ。踊る側だけじゃなくて、観る側も楽しんでもらいたいのさ。だから、祭りらしい雰囲気、楽しさを何よりも大切にしてる。「あんたら見てると楽しそうでいいね」って言ってくれたらいいかなと思ってやっているからさ。

積み重ねた交流が町を盛り上げる

―ずっと続けてきて、地域の人たちの受け止めは?
 俺が感じる限りでは、いま踊っているやつらを認めてくれているな、と。「舞灯雄武」として認知されているなと。例えば、町内のイベントに舞灯雄武が出ることで、ほかのチームも来てくれる。これ、舞灯が無かったら出てくれなかったと思うんだよ。

―舞灯が交流を続けてきたから、雄武に来てくれる。
 そう。ビアパーティー(※写真)も、利益のためでなく、チームがどんなところに踊りに行って、どういう人たちと交流しているのか、というアピールの場なのさ。そこが一番重要かな。ただ行って踊って楽しかった、ではなく交流を持てるのがYOSAKOIのいいところだとおもうんだよね。イベント行きました・踊りました・さようなら、じゃなくて。そこの実行委員会と交流して、「また」っていって帰ってこれるようなチームでありたい。

毎年2月に開催しているビアパーティー。各地からチームが参加し演舞を披露する。
(写真は雄武町観光協会HPより)
産業まつりに参加したチームとの記念撮影

舞灯雄武の“町おこし”

 今までは町のPRのためにYOSAKOIをやるんじゃなくて、自分たちが楽しくて見ている人が楽しんでくれたらいいっていうスタイルでやってたんだけど、今ごろになって、町おこしをもっと真剣にやらなきゃな、って思ってる。
 いま、地元がイベントに関して「舞灯雄武がいないとだめだ」ってなってるからさ。そういう認識になったことで、これから先チームがちょっとでも地元の力になれるんなら、まだまだ頑張っていこうかなって。ビジョンとしては、年に1回2回でもいいから(皆が地元に)帰ってきたくなるような祭りをつくるべ、って。そういうふうに思ってもらえるような“町おこし”をしていきたい。

地域の「文化」へ

 俺はこれから先YOSAKOIソーランはさ、もっと身近な祭りになってもらいたいっていうのがあって。もうちょっと裾野を広げるというか、幅広く集めることを考えた方がいい。地域のチームをいかに参加させるかということ。昔テレビのインタビューを受けたときにさ、「YOSAKOIソーラン祭りは予選のない甲子園だ」って言ったんだよな。予選ないじゃん。あんな大きなステージで踊れることなんてなかなかない。だから参加したほうがいいと思うんだよ。

 この祭りは「伝統と文化」とよく言ってたけど、今のままでは「文化」にはならないだろうな。伝統にはなるかもしれないけど。地元企業や商店街が前面的に応援するような、地域のチームがどんどん出てきてくれると、文化になっていくんじゃないかな。ようは盆踊りだよ。文化ってのは。まだまださ。50年100年やってるわけじゃないから。やり続けることが大事。これな、それが一番大事!まだ30年。「地域をあげて」「町をあげて」がもっと集まったら、もっともっと文化になっていくんじゃないかな。

PROFILE
●チーム:舞灯雄武(まいらいとおうむ)
1997年結成。1999年、よりYOSAKOIソーラン祭りに参加。地元の祭りはもちろん、道内・道外各地の祭りに参加し交流の輪を広げる。2008年に新設された「北海道知事特別賞」の初年度受賞チーム。

●回答者:関岡修さん
1959年、釧路市出身。1984年より雄武町在住。
オホーツク支部では副支部長を務める。


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今年は函館・小樽に寄港した客船で演舞したほか、10月には室蘭でも船内演舞を予定しています。世界を旅する方たちに、YOSAKOIソーランの魅力をお届けしていきます!

9月 小樽に寄港した「カーニバルパノラマ号」での演舞