【第二回】Grass Roots G-NS-70レビューと改造した話【D-tunaとトレモロユニット交換編】
前回のピックアップ、配線編からの続きになります。
前回の記事は下記へ。
・D-tunaについて
まず、EVH D-tunaを軽く紹介したいと思う。
D-tunaとはフロイドローズのロック式トレモロタイプの6弦Eのチューニングを即座に1音下のDにドロップダウンすることが出来るツールだ。
私は普段半音下げのナイトメアやDIR EN GREYの一部楽曲を演奏する事もままあり、ドロップC♯にする事がある。
このD-tunaはC♯にももちろん有効に働いてくれるので取り付けることにした。
しかし、D-tunaを付けるにあたっていくつかの問題点があった。
①D-tunaをそのまま付けるとアームアップが出来ない。
②そのまま付けて音を下げた場合他の弦の音も狂う。
①についてはボディにザグリの加工をする必要があるのでアルダー製のボディを綺麗に削り上げ、仕上げる自信がなかったので信頼のおけるリペアマンに頼んだ。
②についてはESP ARMING ADJUSTERを取り付けることで解消する事にした。
このアーミングアジャスターはサスティンブロックを押し返す機構を持っていて、例えば弦が切れたりチューニングを緩めたり、チョーキングをしたりした時に補助的に機能してくれるのでフローティングのズレを無くし、チューニングを狂わせないと言う物で、D-tunaの取り付けには必須となる。
・GOTOH GE1996Tの購入、アーミングアジャスター、トレモロスプリングの取り付け
正直デフォルトで付いていたフロイドローズライセンスのトレモロユニットの安定感やアームニュアンスが好みではなく、D-tunaの取り付けに伴いトレモロユニットそのものを交換する事にした。
フロイドローズオリジナルが価格高騰し、気軽に手に入らなくなった昨今、ライセンスではあるが日本製であるGOTOH GE1996Tを取り付ける事にした。
サスティンブロックのサイズは32mmがフロイドローズ では存在するが、GE1996Tは33mmのものを選んだ。
予めGOTOHにD-tunaの取り付けが可能か問い合わせたところ「弊社では検証していないが取り付け事例は多数ある」との事で購入に至った。
しかしGE1996Tを取り付けるにあたって問題があった。
それは元々ついてるスタッドとアンカーが互換性があるかどうかと言う点だ。
フロイドローズライセンスの規格に不安があったので一度アンカーを抜いてGE1996T付属のアンカーに打ち直す必要があると感じたので、こちらも大掛かりな作業になる事が確定していた。下の画像を見て欲しい。
まずアンカーを取り外す道具を所持していなかったのもあったが、一体型のアンカーを見て「これは一筋縄で外れるものではないな」と思い、アンカーの取り外しと打ち直しも信頼できるプロのリペアマンに頼んだのだがリペアマンもこの構造には泣かされたらしく、かなり取るのが大変だったとの声を頂いて同情してしまった。
そして、アーミングアジャスターを取り付けてからESP TREMOLO TONE SPRINGS Type-2も取り付けることにした。
アーミングアジャスターを取り付ける事情上4本掛けとなったが、このスプリングは非常に柔らかく張力も控えめな仕様なので10-52の弦だとスプリングハンガーをかなり締め込まないといけない事になった。
また、スプリングの入ってる場所の木工加工が甘く、4本掛けでセッティングしてアーミングした時にスプリングが軋む音が聞こえてスプリングとボディが接してしまってるのが分かった。
ここはヤスリで削ることで干渉しない様に加工した。
この様にしてスプリングとアーミングアジャスターは取り付けができた。
アーミングアジャスターは最初に下穴を開けて準備をしてからネジで留めると安心だ。取り付け自体はとても簡単で、取り付け後は説明書通りに微調整をしていけば良い。
デメリットとしては物理的にフロイドローズ特有の滑らかなアームフィーリングを完全に消してしまう為、クリケット奏法は出来なくなり、特に激しいアームアップのニュアンスを掛けづらくなるデメリットがある。
なので滑らかなアーミングが出来るのが好きな自分はもう一本持ってるESPのForest-GTにはアーミングアジャスターは付けていない。
しかし、D-tunaはその構造上アーミングアジャスターを取り付けないといけないので妥協している。本当はチューニング別に同じギター用意するのが正しいのかもしれないけどね。
次はGE1996TにD-tunaを取り付けたものを搭載していくが、ここで一手間掛けみる。
ザグリの部分にはスポンジが敷かれており下の画像の様なスポンジが貼り付けてあった。
近くで見た時の見栄えがあまり良くないのでこのスポンジを外してSONIC SP-01 Water-Based Shielding Paint(導電塗料)を塗ってノイズ対策を兼ねて見栄えを良くする事にした。
と言った具合で載せる前に一手間掛けてからGE1996Tのトレモロユニットを取り付けることとなった。
GE1996Tの取り付けはD-tunaのザグリ加工の必要がある為、信頼できるプロのリペアマンに任せる事に。
さらに画像を兼ねて搭載後を見ていこう。
・GE1996Tの取り付け、D-tunaの動作
GE1996TとD-tunaの取り付けはプロのリペアマンにお願いした為あまり写真などが存在しないが取り付け後の写真を見ながら解説していく。
GOTOHのロゴがこれまたFloyd Roseロゴとは違った味がある……
基本構造はフロイドローズを参考にしているが、細かいところはGOTOHのアレンジがされているといった感じ。
個人的にオリジナルのフロイドローズよりブリッジミュートがし易い気がする。
ファインチューナーの動きや精度もオリジナルと変わりない精度で、ライセンスの時より操作感は上がっている。
全体的に高級感が出て印象が変わるし、動作もライセンスよりスムーズだ。
また、GE1996Tのオリジナル機能としてアームロックとスタッドロック機能がある。
特にスタッドロックは一度セッティングしたらスタッドを弄らない人にはとても便利な機能だとは思う。
アームはオリジナルみたいに簡単に取り外しが出来れば良かったかなと。
運搬用のケースに入れる時にストラトのアームみたいにぐるぐる回しながら取るのがちょっと面倒だし、アームロックすると回しても取れなくなっちゃうのでレンチ持ち歩くのもちょっと、ね……
そして下記は本命のD-tuna
D-tunaは問題なく搭載は出来た。
自分の場合チューニングをEからDではなく、D♯からC♯へと下げるが、これが完全に正確か?と言えば正確では無かったりする。
若干のチューニングのズレが起きるのでD-tunaを完全に引っ張ってからファインチューナーでスクリューを押し込んで調整するか、D-tunaを少しファインチューナー側に押し込む様にしてスクリューを押し込むかのどちらかで対応する感じだ。
フロイドローズオリジナルか、ザグリのないEVHのwolfgangの様なフロイドローズでは正確に動作するのかな?自分は検証できてないので有識者がいたらコメントしてくれるとありがたいです。
しかし、曲の転換に瞬時にダウンチューニングにする事はほぼないと思うし(ライブではチューニングが変わる時は大体持ち替えたりチューニングし直す時間がある)自分の様な家でメインで弾いてる様な人にはそこまで精度求めなくても良いかなとは思ってます。
アーミングアジャスターのお陰でC♯に落としても別の弦のチューニングはズレないし、C♯に落としてからファインチューナーで微調整すれば10秒も掛からず問題なくC♯にできるので……
本当に瞬時に出音を変えたい人ならDropとかそう言う足元の機材に投資すると思うので自分は特に不便していないというのが感想です。
フロイドローズのD-tunaってどうなの?って方やGE1996Tの事とか参考になれば幸いです。
次回は最終回のカスタムした感想のまとめとなります。
ここまで読んでくれた方、ありがとうございます。
夜咲縁寿でした!