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金原ひとみさん高瀬隼子さんイベント(開始前)10/8日記③

 (1,099文字)
 2004年芥川賞受賞金原ひとみさん、2022年芥川賞受賞高瀬隼子さんのダブル刊行記念イベントがジュンク堂書店 池袋本店で開催された。
 このために高瀬さんの『おいしいごはんが食べられますように』、金原さんの『パリの砂漠、東京の蜃気楼』、金原さんと高瀬さんたち作家6人がピクニックに行き、その模様をそれぞれが文章にした『文藝 2022年秋号』を読んだ。
 未読だったインタビューを読んで金原さんに手紙を書いた。高瀬さんにも書きたかったが、金原さん宛に時間がかかってできなかった。過不足なく好きだと伝えられるか不安でなかなか書き始められなかったのだ。

 手紙はまずWordに思いを打ち込んで、並べ替え、重く見えたり親しみ過多の言葉をよけていく。わたしが好きになった経緯とかいらなくない?と思ったが、それをやめると話のバランスがおかしくなる。『憂鬱たち』を読んで、わたしも左耳にインダスを開けた話は削除した。
 ある程度まとめたら、それを便箋に清書していく。宛名を書くとき「金原ひとみ」を練習しすぎてゲシュタルト崩壊した。本当に「金」ってこんな字だっけ? そもそも本当に「かねはらひとみ」って名前だっけ? うまく書けないからやりたくない、きっと書けないって気持ちに何度も負けそうになり、そのたびに「渡すことに意味がある」と言い聞かせた。

 一階でお二人の本を購入し、店員さんに、意図的に落ち着いた声で「金原ひとみさんと高瀬隼子さんのイベントで来たんですけど、まだ会場入りはできないんですよね?」と訊く。舞い上がったファンだと思われたくなかったのだ。一人が場所を教えてくれながら、隣の店員さんも頷いていて、もう書店員が全員味方に思える。
 本来なら本棚を眺めていたいが、いちばん前に座りたいのでさっさと会場の9階に向かい、入り口に並んだ。わたしの前は男性一人だけだった。

 金原さん側の右から二つ目に座る。距離は2メートルくらい。
 手紙を取り出し、便箋の裏に住所を書く。住所なんか書いたら返事ほしいって言ってるみたいで躊躇していたが、「返事をするかしないかは向こうの判断だから」という早大生の言葉で書くことにした。

わたしから見た2人の席

 ドキドキのせいで頭痛がしてきた。頭痛薬を飲むか迷っていると、水がないことに気づき、買いに行く。店員さんに「飲み物売ってますか?」と聞くと当たり前に「売ってないです」、「でも一階まで降りたら隣にセブンイレブンがあるので、まだ間に合うと思いますよ」と言ってくれる。やさしい。水と、お腹空いて集中できなくなるのを危惧してブラウニーを買った。

(④イベント開始へ)

↑配信は10/16まで購入できます。

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