デリヘル開業の基本的なポイントや手順
以下の記事は、一般的な情報提供を目的としたものであり、すべての手続き・要件を網羅しているわけではありません。デリバリーヘルス(以下デリヘル)を開業するには、各自治体や管轄警察署などで定められた厳しい規制・手続きが存在します。実際に開業を検討している方は、必ず行政書士や弁護士などの専門家、もしくは管轄の警察署などへ相談し、最新の法令やガイドラインを確認してください。
1. デリヘル(デリバリーヘルス)とは
デリヘルとは、店舗を構えず、利用者の自宅やホテルなどにスタッフを派遣して性的サービスを提供する業態の「性風俗関連特殊営業」の一種です。日本では、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(通称「風営法」)に基づき営業許可・届出などが必要とされる場合があります。
店舗型風俗:店舗で客を迎えてサービスを提供する業態
無店舗型風俗(デリヘルなど):客のもとへスタッフが出向く業態
どちらも「性風俗関連特殊営業」と呼ばれ、管轄警察署への届出や許可が必要になるケースが多いです。
2. 開業前に確認すべきポイント
2.1 法律・条例の確認
風営法:性風俗関連特殊営業は、主に風営法によって規定されています。無店舗型の場合でも、「無店舗型性風俗特殊営業」の届出が必要です。
自治体独自の条例:地域によっては営業時間や広告規制など、追加の制限や届け出義務が課せられている場合があります。
ホテルとの契約形態・利用規約:デリヘルを利用可能かどうか、ホテル側の規約や提携条件も確認しましょう。
2.2 市場調査
競合の有無:どのエリアでどのような業態のデリヘルがあるか、価格帯や特徴をリサーチします。
需要とターゲット層:どのような客層をターゲットにするのか(ビジネスマン・出張客・地元住民など)。
サービス内容:他店との差別化を図るため、どのようなオプションや特徴的サービスを提供するか検討しましょう。
2.3 資金計画
開業資金:人材採用・広告費・Webサイト制作費・オフィスや待機所の確保などにかかる初期費用を試算します。
運転資金:当面の運営に必要な資金を確保しておくことが重要です。
金融機関とのやり取り:性風俗関連事業は融資を受けづらい場合があります。自社資金の確保や別の手段での資金調達方法も検討します。
3. 開業の手順
3.1 事務所・待機場所の選定
事務所としての所在地:無店舗型とはいえ、スタッフの待機場所や事務作業を行う拠点が必要です。
所在地の制限:自治体によっては事務所や待機所として利用可能な地域に制限がある場合があります。物件契約の際に用途を正直に伝え、規約を確認してください。
3.2 法人設立 or 個人事業主として開業
法人設立:会社を設立し、事業としてデリヘルを運営するケース。社会的信用が高まりやすいメリットがあります。
個人事業主:初期費用や手続きが少なく、開業のハードルが比較的低いですが、信頼面や税制面での不利がある場合もあります。
税務署への届出:個人事業なら「開業届」、法人なら「法人設立届出書」等を提出し、必要な手続きを行います。
3.3 「無店舗型性風俗特殊営業」の届出
管轄警察署での手続き:営業開始の10日前までに、所在地を管轄する警察署の生活安全課などに「無店舗型性風俗特殊営業開始届出書」を提出します。
必要書類例
営業開始届出書
事務所や待機所の平面図
代表者の身分証明書等
管理者の選任届(管理者の住民票や身分証明書など)
事務所の賃貸借契約書や登記簿謄本(法人の場合) など
審査:書類の確認・審査が行われ、問題がなければ届出完了となります。※一部の地域では追加で審査や条件が課せられる場合があります。
3.4 人材採用・スタッフ管理
求人募集:求人サイトやSNS、風俗求人専門サイトなどを利用して募集をかけます。
雇用形態:業務委託やアルバイト、正社員など多様な形態がありますが、スタッフとのトラブルを防ぐために契約内容を明確にしておきましょう。
面接・身分確認:年齢確認や身分証明書のチェックを徹底して行い、未成年や不法就労を防止します。
研修・マニュアル:接客マナーや安全対策、衛生管理に関する研修を行い、従業員の質やサービス品質を高めます。
3.5 サービス内容・料金設定
基本コースの設定:30分、60分、90分などの時間制コースが主流です。
オプション料金:客単価を上げるためのオプション設定を検討しますが、法律上禁止される行為や公序良俗に反する行為は厳禁です。
価格帯:地域相場やターゲット層、提供するサービスの内容に応じて、適正価格を設定します。
3.6 広告・集客方法
Webサイトの作成:ユーザビリティが高く、スマホ対応したサイトを用意します。キャスト(スタッフ)の写真や料金表、利用案内などを掲載。
SNSの活用:TwitterやLINEなどでの情報発信や顧客とのコミュニケーションも有効ですが、社会的イメージ・規約違反にならないよう配慮が必要。
ポータルサイトへの掲載:風俗情報ポータルサイトへの掲載は集客効果が高いですが、掲載料が発生する場合が多いです。
SEO対策:デリヘル関連のキーワードで検索されやすいようにホームページの検索対策を行うことも重要。
チラシ・紙媒体:地域によっては条例により禁止・制限がある場合があるため、広告手法は慎重に検討してください。
4. 運営上の注意点
4.1 法令順守とリスク管理
年齢確認の徹底:未成年を採用しない・サービス提供しないことは厳守。
違法行為の禁止:本番行為(性交)などの違法サービスは処罰対象となります。スタッフ、顧客ともにトラブルを招くため絶対に避けましょう。
営業時間の管理:地域によって営業時間が制限される場合があります(深夜営業禁止など)。
健康診断・衛生管理:スタッフの健康管理や性感染症対策、衛生面でのルール作りを徹底します。
4.2 お客様とのトラブル防止
利用規約・注意事項の明示:サイト上や電話受付時に利用規約を明確に提示し、違反行為や禁止行為を案内します。
スタッフの安全確保:ホテルや自宅派遣時のリスクに備え、連絡手段や緊急時のマニュアルを整備します。
クレーム対応:トラブルが起こった場合には迅速に対処し、スタッフや客への誠実な対応を心がけます。
4.3 キャッシュフローと利益管理
売上管理:現金でのやり取りが多くなるため、売上報告や経理管理システムを整え、不正や紛失を防ぎます。
支出管理:人件費・広告費・サイト維持費など、固定費と変動費をきちんと区分し、利益を見える化します。
確定申告や法人税申告:税理士や会計士を利用し、正確な決算・申告を行いましょう。
5. まとめ
法令・条例の確認:最初に必ず風営法や自治体の条例をチェックし、違法性のない形で営業できるかを確認する。
届け出と許可申請:デリヘル開業には「無店舗型性風俗特殊営業」の届出が必要。必要書類を揃え、管轄警察署に提出。
事務所・待機所の確保:物件探しは慎重に。地域規制や契約書の内容を必ず確認する。
資金繰りと運営計画:開業資金・運転資金を確保し、採用や広告戦略を計画的に行う。
スタッフ採用・教育:スタッフとの契約や教育をしっかり行い、トラブルを未然に防ぐ。
広告・集客:WebサイトやSNS、ポータルサイトを活用して集客を図るが、広告規制には注意。
法令順守とリスク管理:年齢確認・サービス内容・営業時間など、法令を守りながら運営する。
デリヘルを開業する際には、他の業種以上に厳格な法規制や社会的イメージへの配慮が求められます。トラブルを回避しながら長期的に事業を継続するために、行政書士や弁護士、税理士などの専門家と連携し、法的・経営的に万全の体制を整えましょう。