9月16日の日記「過去、タコ」

素敵な思い出がたくさんある。
言い換えると、未来が過去の思い出を超えない。
僕はずっと思い出に縛られている。

でもその思い出す過去が、2005年、2010年、2017…という風に過ぎた現在で出来上がっていくことも知ってる。
今のこの感じも、思い出せば素敵だと思える。
それを僕は誰よりも理解してる。
だけどやっぱり、都合の良い過去の思い出に浸っている時間が、リアルタイムで動き続ける忙しない現在に勝てるはずがない。
一人称視点で進む現在と三人称視点で観ることのできる過去。

もう一度吸いたい空気がある。
もう一度見たい景色がある。

些細なこと、本当に大したことのないことなんだけど。

実家のすぐそばにあった西友は、
僕が中学生くらいの時に一度、店内の配置がガラッと変わった。
不思議とそれ以前の店内配置というものを思い出せない。
でも僕はその旧店内配置が好きだった。
初めて親と一緒に買物をしたのが多分その西友だ。

他にももう一度行きたい場所がたくさんある。

建て変わってしまう前の小学校の校舎。

イオンになる前、サティだった頃の映画館。

仮面ライダーキバの頃のトイザらス。

拾った当時の猫にも会いたい。

珍しく散歩につれてってくれたおじいちゃんが、
自販機で買ってくれた何らかの炭酸ジュースを何故か振ってから開封して、
ほとんど吹き出てしまったあの瞬間ももう一度見たい。

不謹慎と思われるかもしれないけど、
おじいちゃんの葬式にもう一度立ち会いたい。

僕が体調を崩して、ものすごく焦った父の車で緊急病棟に駆け込んだ夜ももう一度やりたい。

家出するつもりで21:00くらいに家を飛び出して、2:00くらいには自分の部屋に居た、ぷち家出ももう一回やりたい。

でも何一つ、もう一度なんて事は出来ない。

だから今日を覚えていられるように、思い出と呼べる日になるように。
そうやって生きていくしか無い。