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星屑を瓶に詰めて

惑星調査を続けてどれくらい時間が経っただろうか最近は困難な事に見舞われることばかりで
なんだか好きなことをしている筈なのに
嫌だななんて思うことがある事に気がついて

そういう気持ちになってるぼくが嫌いだった


お天気も大荒れ今日はもう帰ろう
そう思った時には遅かった
知らないうちに泥沼にハマっていたらしい
抜け出そうともがけばもがくほど
地中に引きずられる

それでも負けじとジタバタしていると
目の前にポッカリと穴が空いた泥人形が流れてきた


なんだかぼくとおそろいで不格好
可哀想に…と思った瞬間
なぜだか分からないけど、胸の奥が痛かった


不格好な穴だらけの君を少しでも…と
周りの泥で埋めてあげた
泥臭いけどさっきよりはましになった気がする
そうやって泥人形を見つめていると

ぼくに纏わりつく泥だらけのモヤモヤたちが少しずつ不思議な引力に引き寄せられ宇宙へと舞い上がる

ぼくの手から溶けていくのを感じた


上空の世界が鏡だとすれば向こうでは
黒い雨粒が降り注いで大雨警報が鳴っているだろういつまたこっちに降ってくるか分からない
雨粒の事を考えていたら


上空に上がったはずの薄暗いもやもやは
いつの間にか濁った色ではなくなった
これはぼくが変わったのか?
世界が変わったのか分からないけれど

ナニかが変わった音がした


ぼんやり見上げていると
小さな星が宇宙から降ってくる
ぼくは、時を止めて小さな瓶に星詰める
1つ2つと数えながら
こぼれたものを掻き集めてを繰り返し


いつの間にかずらりと並ぶ星たちひとつひとつが
ぼくに喋りかけてくるようになった


それが嬉しくて今日の冒険で起こった出来事を
紙に書き留める


今宵はなんのお話しようか
週末には乾杯の音頭を

新たな惑星へと星間飛行はつづく


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