宇宙(そら)翔ぶキアの秘密基地112

どんより気怠くなる雨の昼間。眠りに向かう頭にあの子の話を夢現に。

凄い!モースターってば全然ペース落とすことなく最後まで食べて、食卓のものを全て平らげるまで終わらなかった。

「げへへ、俺の胃袋はモンスターなんだぜ?さてと、飯の後はデザートに決まってる!」

と言い出して、ナーブが用意してくれた冷凍フルーツを頬張りながらあたしをお皿に乗せてのっしのっし歩き出す。

「げへへ、今から俺だけのパラダイスへ案内してやるぜ。」

船の地下へと下りて行き、モースターのお部屋へ。

「わあ!これがあなたのお部屋ですか?」

広くてテーブルや椅子が端にまとめられ、中央には低い目の大きな木目模様のテーブル、奥にカウンターまであって大きな冷蔵庫やコンロ、オーブン等あってまるで食堂のよう。

色々な食べ物のような匂いもする!

「げへへ、妖精さんよ驚いたか?そうさ、ここが、室内食堂がいわゆる俺だけのパラダイスさ!みんな野外好きだから食事は外になったんだよ。ただ海が荒れてる時や、敵に追尾されてる時だけここ使うんだがな。俺の食事時間が誰よりも長いから自然とここが俺の部屋になったんだよ。ほら、あのテーブルの上に布団さえ敷けば立派なキングベッドになるんだ!さてさてお楽しみの続きだ、お前も食っていいぞ!俺の話、ちと長くなるかも知れんし。何しろ俺は普段過去のこと振り返れねーからな、思い出すのは大変だし面倒なんだ。ま、サーレント様のご命令だからしゃーなし…ごめんよ。」

大きな袋はカタカタ音を立てて、食べ物以外に硬いものが入ってそう。

さっき見た大きなパンとハムをお皿に出し、小刀で一口大に切ってハーブの葉と一緒にくちゃくちゃ噛みながら袋から大きくて丸みを帯びたギターのような弦楽器を取り出して、低いテーブルに腰掛けて、

「ボロロン。」

って指で弾き始め、

「俺、俺の、あの頃の話を〜おおーう!」

って何か歌い始めたし。

あーあ、きっと長々と続くんだろうな。

どんよりしている反面じっとり熱を冷ましてくれるフレッシュな雨が心の傷を癒してくれる。



自分に出来るお礼はノートを充実させることです(^_^)a