ワールドエンドヒーローズを今更はじめた話
「ワールドエンドヒーローズがサービス終了する」
という話を聞いた時、脳裏を駆け巡ったのはワールドエンドヒーローズのキャラクターである北村倫理にドハマりしていた友人の生死だった。
私は急いで安否確認し、友人が無事に生きていることに安堵してその話題を終えるはずであった。
ところで私は最近スマートフォンの機種変更をし、空き容量が増え、そしてなんとなく自ジャンルへの熱意が弱火になっているのを感じていた。尚且つ私は、漫画は完結してから揃えたい派の人間である。
深夜のテンション冷めやらぬままに、私はその友人と通話をする片手間、ワールドエンドヒーローズをインストールした。
ここまでは前置きであり、新米指揮官もといワヒロニワカである私がnoteを書いている言い訳である。
ワヒロを始めるにあたり、私が知っていたものは「虚無マラソン」「北村倫理」「メインストーリーは地獄」といった断片的なキーワードである。これは前述の友人から聞いたワードであり、TLに流れてきた3Dモデルがひたすら走っている謎ゲームという予備知識である。
眠たい深夜には長すぎるダウンロードを終え、アプリが起動する。真っ先に始まったのは、メインストーリーの更新予告動画であった。流れるショパンに、私はふと地獄の気配を察した。
しかし、そんな予告動画に反して1章はとても楽しい物だった。
要約すれば、宇宙からやってきた「イーター」から地球を守るために、地球に選ばれて「ヒーロー」をやっている男子高校生たちの話である。自分の分身である「指揮官」は文字通りヒーローを指揮し、作戦を立て統率をとる。
何の変哲もないありきたりな男子高校生だった三津木慎という新米ヒーローを中心に、彼の通う崖縁工業高校が、ライバル校であり名門の白星第一学園に邪魔されつつ「認可校」を目指すのが1章だ。
犬神家よろしく頭から地面に刺さる立ち絵に笑わされ、グッとくるキャラデザや、ダークを匂わせる世界観、CV杉田智和のバケツ、伏線の上手な拾い方、胸が熱くなる展開はまさに物語の幕開けとして申し分ない面白さであり、私は即座に感謝の課金をしようと決めた。
しかし課金はできなかった。なぜならサービス終了が近いからである。私は嘆き、かわいらしいワヒロLINEスタンプを購入して友人にスタ爆し虚しさを埋めた。
2章では、お金持ち高校であるラ・クロワ学苑や、不良高校の風雲児高校、そして例の北村倫理(愛教学院)が登場し話は展開していく。
ネタバレは控えるが、2章は北村倫理がとにかくすごい。北村倫理のようなえげつないキャラクターを私は他に知らない。とにかくものすごい性格のキャラクターに「倫理」と名付けた張本人には小一時間話を聞いた後に美味しいご飯をご馳走したりしたい。
そして3章では、早速世界が終わり始める。章題が「終わる世界」であり、ここまでチラチラと顔をのぞかせていたぐらいだった闇の部分が一気に姿を現してくる。変に間延びせず、アクセル全開で話が進むのでめちゃくちゃ楽しいが休憩を挟まないと狂いそうになる。
できることなら、ここまでの間にイベントやサイドのストーリを読んでキャラクターを掴んでおくと良いだろう。私は4章に勢い良く突っ込んで死ぬ勇気は無かったのでサイドストーリーやカードストーリーを読んで心を休ませた。
情緒のジェットコースターはそのまま4章に続いて行く。詳しくは言えないが4章は地獄そのものと言っても過言ではないだろう。私は世界を憎み、己の無力さを憎み、あまりに辛い展開に幾度も涙した。
「ヒーローなんて、かっこいいもんじゃない。」
これは1章5話に出てくる佐海くんの言葉だ。彼は愚直で、純粋で、本心から弱い人を守るためにヒーローをやっている。彼の言葉通り、ヒーローたちは泥臭く戦う。
いつも勝てるとは限らない。それがこの世界におけるヒーローなのだ。
ワヒロのサイドストーリーにおける彼らの男子高校生らしさはたまらなく愛おしくなる。
例えば、天才を自称し、時に周りを巻き込んで事件を起こすマッドサイエンティストな性格の浅桐真大は、ドラマや特撮に目がなく、またレアな機械の部品で大はしゃぎする年相応な工業高校っ子な面も見せる。
彼らの背負うものはとてつもなく大きいが、それでも彼らは紛れもなく「男子高校生」だ。その事実が更にメインストーリーの地獄に拍車をかけている。
男子高校生に背負わせる業の重さおかしい───
配信されつつある5章を読み、苦しみ悶えながら私は思う。この苦しみを乗り越えた先に一体何があるのか。せめて彼らに希望があって欲しいと願うばかりだ。
──以上、私のワヒロ感想文兼これから配信されるであろう5章というヤバすぎる地獄に立ち向かうための遺書でした。
▼Android
▼iPhone
https://itunes.apple.com/jp/app/id1393909164?mt=8