懇願
ついに私はたまらなくあなたに懇願をしました。
会いたいと。会いに来て欲しいと。どうしても今日、あなたに会いたいのだと。
私が考え得る限り合理性や生産性が何も見つからない、現代社会において忌むべき関係で、私があなたを求めてもいつか訪れるその最後には不幸せがもたらされるだけなのに。
終わりが来ることは、そのこと自体は不幸せではないはずです。
人間が生を受けてそれが終るときには何も残らない、その全てには意味が無いと定義しようとするならば、その人間は自ら生きることを放棄しなければいけないはずだから。
私は恐れていた。
あなたが私にとって代え難い存在となることを。
あなたが私にとって安らぎとなることを。
私があなたを愛しく思うことを。
これまであなたを遠ざけて頑なにあなたを見まいとした私の行動は、愚かにもただまわり道をしていただけに過ぎなかったのです。
来てくれてありがとう。
どうして来てしまったの。
あなたも私も互いに何を求めているの。
私はあなたが好きだよ。
どうしようもなく、合理性もなく、そこに何も未来が無かったとしても。
20240624