餞
これは唯(ただ)の日記。
これで最後になるのかなぁなんて思いながら振り払った手、振り払われたのか
わたしは都合の良い女でいることを辞めた。
わたしの意志ではどうにも辞めることができなかったけれど、環境を変えて法的効力を持たせて、やっと。
分かり易く、わたしが彼の中から必要なくなっていくのが解った。
わたしにとっては本当に宝物で、一世一代の恋で
こんな日が来ることは分かっていたけれど、できるだけ先延ばしにしてきた。
それをやっと、やっと終わらせた。
幸せだった。あなたと出会ってから、この6年間。
6年前はどうしたらもっと会えるかな?次会ったときは何話そう?って、すごくたのしかった。本当はずっと続かないこともわかってて
どれだけ罵ってみても、心は素直だった。
ずっとずっと、大好きだった。
終わらせるためにたくさんまわり道した。
これでもいいやと諦めたりした。
でも、終わってみれば、これでよかった。と
いつか、また、ばったり
あの駅の改札で見つけたりするんだろうね
そのとき、わたしはまるで宝物を見つけたようなキラキラした目をして
話しかけることはせず、同じくキラキラしたそれを宝箱にそっと仕舞うんだ。
わたしが生きていくために必要な、幾つかのキラキラ
苦しくなったときに、たまに開けて、あの頃を思い出して、最期には棺桶にいっしょにはいるんだ。
美しかったその時を、最期のその時まで。
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