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【第一の人生】65の章:悲劇のヒロインなりたがり女の修羅場

*登場人物*

  • 萬里→現在主婦だが、しばらくは回想シーン(20代前半の頃の話)

  • K美→萬里中学の時からの友人(男にだらしない、嫌な女の典型)

  • りお君→K美が同棲している彼氏(絶賛浮気中)


萬里としてはもう、
りお君寄りの見解
K美が裏で遊んでることも知ってるし

それを棚に上げて
嫉妬に狂う女とかみっともない

もちろん、
K美が遊んでいることはりお君には言ってない
言わなくてもそれ以外の面で嫌気がさしてるし
こじらせるのも良くないかと思った

K美は相変わらず
浮気された悲劇のヒロイン
被害者の顔をしている

相談の時だけは
マメに萬里に連絡してくる

K美から相談受けてる最中
萬里の頭の中に
記憶にない光景が浮かんだ

暗がりでK美が
この「愛の巣」の扉の前に立ち
必死でチャイムを鳴らしている
りお君が
ドアの隙間から顔だけ出し
K美を追い払う光景を遠巻きに見ている萬里

部屋の中は見えないが
女性が居るのがわかった

この光景からすると、
嫉妬深く重たい女K美より
安らげる他の女性を選んだんだな
という感じに見えた

しつこく重いK美に
りお君は嫌気がさしてる

萬里は色々と考えた
今、りお君は
押せ押せで浮気を罵る
K美との攻防に必死

夜叉と化したK美と比べれば
他の女性は天女のようなはず

今は、この状況が嫌で逃げ出したいから
頑なに他の女性を選択し
大切にするのではないのか?

萬里だって
この状況ならK美より
ブスでも他の人を選ぶと思う

でも、これまで長い時間
一緒に居たK美とりお君
それなりに楽しい時もあったはず
意表をついてK美がすんなり引けば、
りお君は慌てて引き留めるのではないか!?

という構図が萬里に浮かんだ

そのまま
頭に浮かんだ事を参考にして
K美にアドバイスをした

萬里「荷物運ぶの手伝うからさ、
りお君が居ない時にきれいサッパリ消えてん。
そして、最後に話をするときには
かっこよく『あんたなんかあの女にくれてやる!!!』
ってタンカきっておいでよ。

予想外にあっさり引くK美に驚いて
絶対りお君に迷いが出るから!
その後のK美の対応によっては
他の女より、
やっぱり何年も付き合ったK美が良かった
と後悔して戻ってくると思う。」

萬里の提案通り
りお君の居ない隙を狙い
ある程度の荷物を運び出し、
その後の電話で台本通りの言葉を吐き捨てて

ひとまず
愛の巣を出てK美は実家に帰った。

予想外の出来事に戸惑ったりお君は
K美の実家まで話に来て
少し修正がきいたらしく

りお君「女とは別れるから
しばらく待ってほしい。」
と言われたと

K美「すごい!!!
萬里の言うとおりやった!
やっぱり私がりおにとって一番の女だった!」

だそうだ・・・

どんなに嬉しくても
しばらくは実家で過ごして、
会わないようにして
りお君もK美も
冷静になる時間を持ちなさい
と伝えて
萬里は放置しておくことにした。

だって、
りお君も相手の女性とも
話し合う時間は必要だろうしね

数日後
K美が泣きながら電話をしてきた

K美「りおがあの女と付き合うから
もう、残りの荷物持って
俺の前から消えろってぇ〜。」

なんで
そんなことなってんのよっ

なんとなく、
あの時萬里の頭に浮かんだ光景は
K美が萬里の言った段取りを
守らなかったその時の情景だったような気がして
追及した

萬里「あんたもしかして
夜に愛の巣に行ったやろ?」

K美「うん、ごめん。
どうしても会いたくて
抱いてもらいたくて、
我慢できんかった・・・。
だから萬里との約束破って会いに行ったら
やっぱり女が居たっぽかったから
怒鳴って文句言ってしまった。
そしたら私はもう要らんって・・・。」

萬里「だろうね~、
なんで萬里の言うこと聞かずに動いた?
りお君にも時間が必要やろが?
そんなんで
どうしようって言われても
もうこれ以上してあげられることはないよ。
自分の何がいけないのか
よく見つめなおした方がいいんじゃない?」

感情的で動物的・・・

呆れちゃってそれからしばらく
こっちからは連絡もせず放置した

すったもんだあって
また一緒には住んでいた

幸せを感じているときは
K美は連絡してこない

昔からのいつもの事なので
そのうちまた連絡あれば
萬里は
いつでも受け入れる気持ちは持っているから
それはそれで良いかと思う。

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