【第一の人生】21の章:引退目前クリスマスイヴの夜
*登場人物*
・アンナ←萬里の源氏名
・ダイ←マネージャー(マスターの実弟)二店舗目と掛け持ちしてる
・りな←二店舗目のレギュラースタッフ(ダイとデキてるぽい)
・謎の女←???
・謎の男←シャラシャラジャージ着用のヤンキー
外は寒い。
ダイとりなは足早に先を歩くが
アンナはケーキ二つと
でかいバッグで小走りもできないっ!
歩くスピードは違うが
人気もないし、割と大声で会話しながら進む。
ダイ「あぁ、ママが辞めるまで
もう一週間切ってしまったねぇ~。
L.Sはこの先どうなるやろか〜。」
アンナが辞めるという噂はすぐに広まってたし、
お世話になった方々には一応連絡を入れている。
それで、
他店のオーナーさん方々からはスカウトが、
馴染みのお客様方々からは、
ママのお店を開いて欲しいとの声も。
いざ辞めるという時に、
そういうお声がけをいただけるとは本当にありがたい。
そんな人達とは
これからも普通の友達としてもやっていける。
だからもうとにかく、
夜の世界からは足を洗う!!!
なんて会話をしながら
ダイ&りなとアンナの
距離が少しづつ開いていく
ふと会話が減った頃、
気が付けばダイを先頭に自然な感じで
縦一列の三人。
その時
通りを挟んだ、ずっと向こうの道路、
ジャージのヤンキー男が
ポケットに両手を突っ込み
建物の壁に向かって立っている姿が視界に入ってきた。
なんて言ったかは分からんが
怒鳴り声が聞こえる・・・。
ヤンキー男が向かう壁際の足元から
スクっと立ち上がる謎の女の姿も見えた
「あらぁ、痴話喧嘩やろか?!」と、
少々、野次馬根性も顔を出しつつ
その光景を遠目にチラ見し足を進める。
すると、
謎の女が一人真っ直ぐ
こっちの方へ歩いてくる姿が見える。
アンナは心の中で
「素通り素通り素通り」
と足を早めた。
でも気になるしね、
チラチラと横目で見ながら歩くよ。
すると、
あれ?どうも私の方へ向かって来ている気がする・・・。
いや、気のせいか?
気のせいと思いたかったが、
謎の女とアンナの距離が徐々に縮まり始める
『あぁ~、もぅめんどくさい~、
もしかして私の方に来てる~?
いや、んなわけないよね〜。』
前を歩くダイ&りな、
謎の女とすれ違い目で追って
こっちを振り返ったが、
何もなかったかのように先へ歩いている。
よし、そのままアンナとも
すれ違ってくれ謎の女!
あ、あれ?え?
知り合いじゃないよね?
謎の女の足はなんの迷いもなく真っ直ぐ
こっちへ向かってくる?!
近づくにつれ、
謎の女の様子が鮮明に
目に飛び込んでくる。
え〜っと、
髪は茶髪でボサボサ
目は完全にイってるぅ
真冬にパジャマ一枚
足元は裸足
不自然な手元・・・
右手に握り締めた
『包丁ぉぉぉぉぉぉ』