【第一の人生】61の章:憑いてる時間が長引くと厄介
*登場人物*
萬里→主婦だけど、だいぶ敏感になってる気がする
ダーリン→何か憑いてるなう(萬里の夫)
村さん→鹿児島のゆるキャラサラリーマン(裏の顔は霊対応のスペシャリスト・村さん居ないと萬里は困ります)
我が家の座敷童の効果は一切感じられないまま
半年以上経ったダーリンの抱える気持ちが
後ろの影と同じように
黒く重い思考に変わっている
さすがにもう
引きずってでも鹿児島へ連れて行くしかない
見た目は痩せこけて筋肉もたるんでいる、
食事もほとんどまともに摂らない
まず、やんわりと話し合ってから納得させて
連れて行くよう進めないとダーリンは確実に
鹿児島へ行くことを全力で拒否する
それは
自分の意志ではないのだけれど、
本人は本人の意志だと錯覚する
ダーリンの身体はダーリンの物ではあるが
ダーリン自身の意志は
もう半分しか残っていない
萬里はそう感じる
萬里「ちょっと散歩しながら話そうか?
萬里が見てもひどい状態だと思うし
確実に何かの影響を受けてる、
これまでの間、口に出してない気持ちを吐き出してみて。」
ダーリン「死にたい、
時々ベランダから飛び降りたいと思う
飛び降りたら死ねるかなぁ、
とか
食べんかったら死ねるかなぁとか。
仕事も辞めたい気持ちも身体も
言うこときかんし付いてこん。」
我が家は13階
飛び降りたら確実に死ぬわ・・・
いろんな人に迷惑もかける
仕事はいつでも辞められる。
でも、正気に戻った時に
やっぱりこの仕事をやりたかった・・・
この仕事で目指すべきところまでいきたかった・・・
と後々思った時に簡単に戻れる仕事ではない
これまでの人生で一筋にやってきた仕事を
自分の意思かどうかもわからん状態で辞めてしまって
後悔してしまう事は避けたい
今ならまだ望みはある
一通り説得して村さんの所へ行く決心をさせた
当日気分が悪くなるであろうことも覚悟させた
なにがなんでも行くつもり
行かないと大変なことになる
鹿児島へ行く日の朝
やはりダーリンは起きてこない、
布団から出ようとしない
こんななんだか分からんヤツに
負けちゃいかん!
無理矢理起こして
着替えさせすぐに出発
ダーリン「気分が悪い。頭が痛い。
吐き気がする。行きたくない。」
萬里「そりゃそうでしょうよ。
大丈夫、村さんに会えば楽になるけん!」
鹿児島へ到着して嫌々車を降り、
村さんが待つ御堂へ向かう
村さんは鹿児島の大霊園の中の花屋さん
その霊園のてっぺんに御堂があり、
この手の相談はそこで対応してくれる
その霊園からは桜島が綺麗に見渡せる
ある意味ホットな観光スポット
村さん、
ダーリンの顔を見るなり
村さん「うわぁ〜!身体重かったでしょ~!?」
ダー「はい、日に日に身体が重く
動かなくなってます・・・。」
村さん「そりゃそうでしょう~、
強烈な『落武者』連れてますもん!
それプラス二人!あはは〜!!」
落武者だよっ!!
また笑ってる・・・。
村さん「きついでしょう、
すぐに対応しますので
しばらくお待ちくださいね。」
村さん
目をつぶったまま静まり返る
萬里にも感じた空気の変化
見た感じ
ダーリンはそんなにすぐ
変化を感じている風ではない
ソッコーで色々と質問
萬里「やっぱり落武者でしたか、
それと、気になったんですけど
家の中で、昔の格好した男の子と
女性の姿を見かけるんです。」
村さん「あ、それは中心人物となってる
その落武者があちこちから呼び寄せてたんです、
念が強く、力を持っている霊はそういうことができるんです。」
萬里「なるほど~、
じゃ、その呼び寄せられた男の子は座敷童ではないんですね!?」
村さん「違いますよ~、
座敷童ならうちにも欲しいです~、あはは〜」
笑われた・・・
萬里「そういう噂の場所に
行ったから落武者に遭遇したとは思うんですけど、
なぜ、たくさん人がいる中でダーリンのところに
来たんですかね?」
村さん「ダーリンさんに憑いてきてたのは
平家の落武者でした。
実は私、
源氏の流れの人間なんです。
申し訳ないんですけど、
その私と縁ができてしまったダーリンさんは『源』寄りの人間
と見なされてしまったんですね。
元々、因縁あって恨みを持ってたので、
ダーリンさんを源氏の人間だと思い込んだ結果
この怨み晴らしてやる〜!
って、命取る気で来たんです。
その落武者が呼び寄せて人数が増えてたので
そりゃ重かったはずですよ〜
すごく前かがみに背中丸まってたでしょ。
だから、私は東北三県には足を踏み入れる事は
絶対に無いです。
だって、集団リンチにあうことになるから~、
まだ死にたくないんで~、あはは~」
すごい恐ろしい話を
ふんわりと笑顔で話す
おかげで、恐怖感は中和される
この際、
いつか使えるかもしれない村さん話は全部
しっかり頭に入れておこう!
村さん「その落武者あまりにも強くて
長期間連れていたので、ダーリンさんは
しばらく今の状態が残ると思いますが、
原因は取り除いてるので時間かけて体力ゆっくりと
回復してくださいね。」
これが余韻ってヤツですね
村さん「今回憑いてたのは平家の人間です。
これが、源家の人間なら同じ落武者でも
天に帰すことができるんですが、
敵となるとどうしても
源氏の流れを汲む私には牙を剥き言うことを聞かないんです。
それに、人を殺そうという悪意に満ちたヤツは、
天には帰さず地に落とします
灰にして地を這う、
生まれ変わるというチャンスが絶たれるということなんです。」
そうなんだ・・・
うん、やっぱり人間常に良い念を
持っていないといけない
あれこれ思い出すと村さんとのやり取り全てが
今生かされてる。
人を貶める、
悪意を向けるということは
自分にもそれなりの覚悟、
大きなリスクが伴うということ
幸運を呼び寄せると言われる
『座敷童(うっち先生談)』は幻に終わった
ダーリンもそろそろ
うっち先生の言う事は信じなくなるはずだ
村さんのおかげで一件落着のように思えた
強烈な落武者
これは、生きた人間に対して殺意を抱き、
実際に命を奪おうとしていた者
これは、
怨霊・悪霊と呼べるレベルの不成仏霊
通常の人間なら早くに廃人化
もしくは
死に至っていたと思う
心身への負担はとても大きくて
取り憑かれていた間の余韻はすぐには取れなかった
ダーリンはそれからも
1年仕事に復帰できなかった
これはもう
本人の問題だったんですけどね
長い時間
別のモノに取り入られると
元の自分に戻るのには時間がかかる
氣落ちした時間が長ければ
その分
氣を持ち上げるのも時間がかかる
何事も思い立ったが吉日?
動くにはタイミングや時期というものがあるが
こういうことに関しては早めの対処に限る!
ということを萬里は学んだ
そして
ユカりのタイミングは・・・。
って、事あるごとに彼女を思い出すんだけどね。