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株価は予測可能か?株式市場の謎に挑んだ天才たちの物語① ~投資家必読!効率的市場仮説と株価理論の歴史~


はじめに

株価は本当に予測できるのか?
株式市場で利益を上げたい投資家なら誰もが抱く疑問です。

この記事では、株価予測に関する理論とその歴史をわかりやすく解説します。

ルイ・バシリエ、ポール・サミュエルソン、ユージン・ファーマといった歴史的な学者たちの研究を通じて、「効率的市場仮説」や「ランダムウォーク理論」の誕生と発展、そしてそれらが現代ファイナンス理論にどう影響を与えたのかを紐解いていきます。

投資の根本を見直し、これからの投資戦略に新たな視点を加えたい方におすすめの内容です。ぜひ最後までご覧ください!

※この記事についての注意事項
・一部AIの力を借りています。
・事実を元にしていますが、一部筆者の解釈が含まれます。
・内容に誤りが含まれることがあります
以上、ご了承ください。

第一章 株価理論の産声

それは、1900年代前半のこと。大金持ちの家に生まれながら、株価予想屋の甘言に乗せられ、コールズという男は大きな損失を抱えた。彼はその日を境に、ある問いに取り憑かれる。「株価予想屋は、本当に株価を予測できるのか?」この疑問に答えを見つけるため、彼は多額の資金を投入し、コールズ委員会を設立。優秀な頭脳を集め、株価の予測可能性を科学的に解き明かそうとしたのだ。しかし、夢に見た栄光は彼の手の中に舞い降りなかった。設立から20年が経過しても、委員会は大きな成果を上げられず、その存在は忘れられかけていた。

コールズ委員会で中心的な役割を担っていたのは、統計学者のホルブリック・ウォーキングだった。彼は株価の短期的な動きが統計的にランダムであることを発見し、その成果を論文として発表した。しかし、委員会には金融の専門家がほとんどおらず、集められたのは統計に詳しいだけの「門外漢」ばかり。研究は金融業界からは「素人の戯言」として冷笑され、まともに取り合われなかったのだ。

ウォーキング博士は1934年にアメリカ統計学会を通じて発表を試みるも、その反響は冷ややかだった。彼の研究は一部の銘柄や商品市場にしか適用できず、株式市場全体の動きを解明するには程遠いものだった。さらに、株価の動きがランダムである理由を説明する術を持たなかったウォーキングの理論は、経済学そのものを否定するかのように見なされ、受け入れられることはなかった。株価は経済の動きを映す鏡であり、その動きを解明することは経済学の根幹を成す。それを予測不可能と断じたウォーキングの論文は、時代の潮流に逆らう孤独な叫びとなって消えた。

第二章 数学徒の孤独な戦い

その頃、フランスのパリ。若き数学者ルイ・バシリエは、ポアンカレのもとで学びながら、新たな数学の世界を切り開こうとしていた。博士論文のテーマに選んだのは、当時の学界からは冷笑される「株式投資の研究」。貧しい学生だったバシリエは、学費と生活費を稼ぐためにパリ証券取引所で働き、毎日目にする株価の乱高下に疑問を抱く。「この複雑な動き、何か法則があるのではないか?」

バシリエは、株価の動きがランダムであり、その確率分布が正規分布の形を描くこと、またその変動の大きさが時間の平方根に比例することを見抜いた。彼の理論は、後に「ブラウン運動」として知られることになる物理学の分野でも画期的なもので、アインシュタインが1905年に発表する論文を5年も先取りしていた。しかし、当時のフランスで株式市場は賭博同然に扱われており、バシリエの革新的な論文は埋もれてしまった。彼は地方の小さな大学で無名のまま教壇に立ち続けることとなり、その名が広く知られるのは遥か未来の話となる。

第三章 効率的市場仮説の誕生

時は流れ、場所はアメリカ。シカゴ大学の大学院生だったユージン・ファーマもまた、株価予測の困難さに挑んでいた。彼は大学時代、学費を稼ぐために銘柄推奨のレポート作成のバイトに精を出していたが、どんなに優れた手法を考え出しても、市場ではことごとく通用しなかった。その挫折感が彼を動かした。「本当に株価は予測できるのか?」

ファーマは「効率的市場仮説」という新たな理論を提唱した。それは、市場は公開された情報を瞬時に反映するため、株価の動きはランダムになるという大胆な主張だった。この仮説を実証するため、ファーマはコンピュータを駆使して大規模なデータ分析に取り組んだ。そして、株価が一貫して予測できないことを証明することに成功する。彼の研究は金融界に衝撃を与え、1969年の金融学会年次総会ではファーマの理論が特集され、大きな反響を呼んだ。

ファーマの理論は、テクニカル分析を無意味とする「ウィーク型」、ファンダメンタルズ情報も無効とする「セミストロング型」、そしてインサイダー情報ですら無意味とする「ストロング型」に分類された。彼の研究は、ウィーク型とセミストロング型については反論の余地がなく、ストロング型でもわずかな例外しか見つからなかった。効率的市場仮説は「市場はあらゆる公開情報を反映するため、普通の手法では市場平均を超えることはできない」という、現代ファイナンス理論の基盤となる概念を築き上げた。

第四章 現代ファイナンス理論の幕開け

コールズが夢見た「株価の予測は不可能だ」という理念は、バシリエ、サミュエルソン、そしてファーマといった委員会とは無縁の学者たちの手で形作られた。そして皮肉にも、その仮説に最大の挑戦を投げかけたのもまた、コールズ財団から輩出された人々だった。行動ファイナンスの視点からすれば、効率的市場仮説は「人間はすべての情報を完璧に処理できる」という理想に過ぎず、現実の市場にはそぐわないとされる。

効率的市場仮説と行動ファイナンスの激しい対立は、「株価は本当に予測可能か?」という永遠の問いを巡る戦いである。2013年、ファーマと行動ファイナンスの旗手であるロバート・シラーが同時にノーベル経済学賞を受賞したことで、議論は新たな局面を迎えた。

続く…
続き:株価は予測可能か?株式市場の謎に挑んだ天才たちの物語② ~現代ポートフォリオ理論の誕生~
https://note.com/yorozubooks/n/n49fb2fd4f85b

おわりに

いかがでしたでしょうか?
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今回の記事は「株価予測の歴史」と題し、その中で現代ファイナンス理論の核心となる「効率的市場仮説」と「インデックスファンドの有効性」に焦点を当ててみました。現代ファイナンス理論には他にも、企業の財務や資金調達に関するMM理論、オプション価格のブラック-シコールズ方程式などが含まれますが、根底に流れるのは「市場は予測不能であり、投資家が期待すべきは市場全体の動きに乗ることだ」という思想です。

一方で、伝統的なファイナンス理論には、個別銘柄の分析を通じて割安・割高を見極め、銘柄の値動きを予測することに重きを置いたベンジャミン・グレアムの「証券分析」などがあります。しかし、現代ファイナンス理論は分散投資の有効性と株価のランダム性を前提にしており、アプローチそのものが根本的に異なります。

現代ポートフォリオ理論は1952年、ハリー・マルコビッツの「ポートフォリオ選択論」から始まり、その後ランダムウォーク理論と効率的市場仮説へと発展していきました。ランダムウォーク理論は1900年にバシリエが提唱し、サミュエルソンとファーマによって広められ、効率的市場仮説として結実します。効率的市場仮説は、ランダムウォーク理論を市場の情報反映メカニズムに結びつけたものであり、両者は完全に同じものではないが、密接に関連しているとされています。

行動ファイナンスは効率的市場仮説を否定しつつも、ランダムウォーク理論そのものを全否定しているわけではなく、この違いが金融理論を一層複雑にしているといえるでしょう。この記事が、この奥深い金融理論の世界を解き明かす一助となり、読者の皆さんが新たな視点を得ることを願っています。


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