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【火災】水素自動車火災が発生!消火してはいけないのはなぜか?

□投稿のきっかけ

こちらの投稿で質問がきましたので回答します。

□【質問】水素自動車の高圧タンクから水素が漏洩し引火した場合、水素火炎を完全に消火せず延焼阻止を主眼とした活動となるのはなぜか?

こちらの質問を回答します。

□【回答】燃やすことによって爆発を防ぐため

どういうことだ?!
これだけだと意味が分からないと思いますので解説していきます。

□水素ガスの特徴

水素の安全データシートから水素ガスの特徴を見ていきましょう

【物質的特徴】

・あらゆるガスの中で最も軽く、最も拡散しやすい
 比重:0.07(空気より軽い)
・爆発延焼範囲がものすごく広い
 4~75%
・発火温度は575度
・引火点については情報なし

【化学的特徴】

・漏洩した場合は静電気で容易に着火する
 (着火エネルギーが低い)
・燃焼時の炎は無色で見分けにくい
 (実験では見える後述します)

【毒性】

・純正な水素には毒性はなし
・窒息の危険はある

□水素ガス自動車

画像はトヨタより

水素は非常に燃焼しやすい燃料です。
水素爆発などの言葉からイメージする通り危険なイメージがあります。
その安全を確保するために安全弁が搭載されています。
ここがポイントになります。

ちなみに安全弁が搭載していないとNTN爆弾2.4㎏~4.2㎏の爆発力がある。
部品が200mまで飛散した。

>水素燃料火災の流れ

車両火災が発生

容器が炎にさらされる

容器が火災の熱により膨張→このままだと爆発

安全弁が起動(約110度付近)
「シューと音が鳴る」

水素ガス噴出(車両の底部から放出することが多い)

放出したガスに引火(空気中の窒素などが燃え可視できる)

数十秒後には火煙が落ち着いてくる

ガスが燃え尽き鎮火へ

□消防の動き

(1)「シュー」と大きな音がしている。

火災の規模が大きく「シュー」と大きな音がしている。
→水素が大量に漏れて燃焼している可能性が高い。
→この場合は水素火災事態は消してはいけない。
→周囲の延焼防止にあたる。
→車室内への消火は可能

【注意点】

・水素火炎自体を消火すると水素が蓄積する。
・再度着火して爆発事故になる可能性がある。

・車両から「シュー」という大きな音がしたら避難へ。
・出来る限り車両から離れること。

(2)「シュー」という大きな音がしない

水素ガスが大量に放出していない可能性が高い。
大量放水、消火剤で鎮火へ向かう。
車両の水素タンクを重点的に冷却すること。

鎮火後
「シュー」という音がしないことを確認する。
水素濃度が300ppm未満であることを確認して次の作業へ。

□まとめ

延焼防止に徹するのは水素ガスが燃えていた場合、消火して水素ガスの滞留からの爆発を防ぐためでした!

水素ガスさえ燃えていなければガッツリ放水と消火剤でタンクの冷却と消火を行いましょう(`・ω・´)b

□参考資料

・SORAレスキュー時の取扱い

・水素を利用した燃料電池自動車の火災安全性

・自動車火災試験や着火試験結果からみた水素の安全性について


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