見出し画像

植物のゆんぬふとぅば

①与論町誌のページ数

26(下段)~36(上段)ページ

②要約

・与論に生えている植物をゆんぬふとぅば(方言)で紹介しているよ。

③感想(私的解釈や学び)

今回は要約いらず。というより、辞書的なページです。
眺めて、知っている植物に「へー。新たな発見!」、知らないものに「そんなのがあったんだ!」と感じるページなので、興味のある方はゆっくり読んでみて、島の植物たちを再観察してみると、たくさんの学びが広がって深まって面白いと思います。
この与論町誌のページも別で「植物チャンネル」を作ったら、また違う角度で与論博士が増えそうだな~。と妄想してます。

④本文引用

〈但し、カタカナ羅列の為、記号等の編集有り。〉
三 植物の方言名

 植物の方言名を調べることは、その植物が人々の生活にどのようなかかわりがあったかを知ることであり、植物そのものの由来を考えるうえでも大切なことである。
 しかし、植物の方言名は他の言葉にも言えるように地域によって発音の仕方が異なるものや、植物の利用の仕方の変遷に伴いあいまいになっているものがあり、また五十音による表現が困難なものもあるため、正しく表記することはむつかしい。
 ここには、一般的に使用されていたと考えられるものを記録した。また全島におよぶ詳細な調査ができていないため、 城・朝戸方面の方言名が多くなっている。
〔記録の方法〕 方言名に別名のあるときは連記し、和名と科名を(  )内に記入し、和名の別名は=で示すことにした。用途については次のような略号を使用した。
 食=食用。薬=薬用。飼=飼料。肥=緑肥や堆肥。 材=建築用、家具材、工芸用。繊=繊維。毒=漁用毒または毒性のある植物。防=防風林や砂防林。観=観賞植物。神=神事。玩=玩具。 染=染料。

〔ア〕
アイ(リュウキュウアイ、キツネノマゴ科) 染。
・アカギ (アカギ、トウダイグサ科) 肥、薪。
・アカシュウキ (クサトベラ、クサトベラ科) 
・アーギマ (カンコノキ、トウダイグサ科)
・アーグシュ(シマトウガラシ、ナス科)
・アクチ→アチク
・アサガオ (ノアサガオ、ヒルガオ科)
・アシクタ (クロイゲ、クロウメモドキ科) 飼 (山羊)。
・アダニ、アダミ (シマアザミ、キク科) 飼、食。
・アダニィ、アダニ、アダン (アダン、タコノキ科) 繊、防、飼、食、玩、薪。
・アチク、アクチ (モクタチバナ、ヤブコウジ科) 玩 (果実)。
・アチンタラバー、オーヌジヌマイヌグイムヌ、ウシヌシチャ (サクララン、ガガイモ科)
・アマギ、パークジラ (ギョボク、フウチョウソウ科) 玩 (くり舟)。
・アーママ→ムヌヌチョウチン
・アーマミ (アズキ、マメ科) 食。
・アロエ→イシャイラズ
・アンチャニク→シチャパガ

〔イ〕
・イシグサ(リュウキュウイノモトソウ、ワラビ科)
・イシパルビ→イシュパマギ
・イシマチ(イソマツ、イソマツ科)
・イシャイラズ、アロエ (キダチロカイ、ユリ科) 薬。
・イシャジキ→イニャビキ
・イシュパマギ、イシュパナギ、イシパルビ (テンノウメ、バラ科)
  食 (果実)。イシュは「磯」、パマは「浜」の意。最近は盆栽に利用し
  ている。
・イシュブ (イボタクサギ、クマツヅラ科)
・イチュビ (ホウロクイチゴ、バラ科) 食。
・イチュンビ (ナワシロイチゴ、バラ科) 食、飼。
・イニャジキ、ウマグサ (オヒシバ、イネ科)
・イニャビキ、イシャジキ (ネズミノオ、イネ科) 飼。
  フタシベネズミノオの方言名を含む。
・イニャムギ→ムギ
・イニュギ (コウライシバ、イネ科)
・イラマミ (ヤハズエンドウ、マメ科) 飼。
・インギィン、インゲン (インゲンマメ、マメ科) 食。

〔ウ〕
・ウイ (キュウリ、ウリ科) 食。
・ウィゴ→ヲゥヰゴー
・ウイチョー (ウイキョウ、セリ科) 食。
・ウシヌシチャ→アチンタラバー
・ウスク、ウシク (アコウ、クワ科) 飼、食 (新芽)。
・ウップイ、ウップイグサ (ツルボ、ユリ科)
・ウニンギ、ウンニギ (フクロギ、トウダイグサ科) 毒。
・ウマグサ→イニャジキ
・ウヮーバ、ムヌクニブ (クロヨナ、マメ科)
・ウン (サツマイモ、ヒルガオ科) 食、飼。
・ウンガジマル (ネズミモチ、モクセイ科) 飼。
・ウンザーラキ、ウンサーラキ (ナンテンカズラ、マメ科)
  ウンは「海」、サーラキは「サルカケミカン」の意。
・ウンジャンカジラ、ウンジャングサ→シダカジラ
・ウンチェーバー (ヨウサイ、ヒルガオ科) 食。
・ウンマチギ (イワダイゲキ、トウダイグサ科) 毒。
・ウンマーミ (ハマナタマメ、マメ科)
・ウンマミカジラ、ガラシマミ (タイワンクズ、マメ科)

〔オ〕
・オー (アワ、イネ科) 食。
・オーヌジヌマイヌグイムヌ→アチンタラバー
  ケシ科のキケマンの方言名にもオーヌジヌマイヌグイムヌをあてる。
  オーヌジは「アオダイショウ」、マイは「尻」、ヌグイムヌは「拭くも
  の」の意。
〔カ〕
ガーギニャ (メヒシバ、イネ科) 飼。
  ヘンリーメヒシバ、アキメヒシバの方言名を含む。
・ガジマル (ガジュマル、クワ科) 防、飼、神、薪、玩、樹液は糊代用。
・カジラ (ヘクソカズラ、アカネ科)
  つる性の植物を一般にカジラと言っている。
・カマクラ (ホウセンカ、ツリフネソウ科) 観。
・ガラシマミ、イラマミ (スズメノエンドウ、マメ科) 飼。
  ガラシマミ(→ウンマミカジラ)はタイワンクズの意味に、イラマミは
  ヤハズエンドウの意味にも使われる。
・カラタイ、カラダイ (ホテイチク、イネ科) 門松、釣り竿、庭箒。
・ガラボー、ガラダイ (ダイサンチク、イネ科) 材。
・カンダン (タマナ=キャベツ、アブラナ科) 食。
・カンチミ、シミグサ (ツルソバ、 タデ科) 食(果実)、飼。
・カンチャニ、チャンカニ(グミモドキ、トウダイグサ科)

〔キ〕
・キク (キク、キク科) 観。
・ギシキ、ギャー (トキワススキ、イネ科) 茅ぶき用、飼、薪。
  ハチジョウススキ、ススキの方言名を含む。
・キビャー (ネギ、ユリ科) 食。
・ギマ、クルギマ (ハマヒサカキ、ツバキ科) 飼、食(果実)。
・ギャー→ギシキ
・ギャームトゥ (イトススキ、イネ科) 飼。
・キンカン、クニブ (ヒラミレモン、ミカン科) 食。
  キンカンやクニブは他のみかん類の意味にも使われる。
・ギンドーマミ (エンドウ、マメ科) 食。

〔ク〕
・クサギ (ショウロウクサギ、クマツヅラ科) 食。
・グショウバナ(ムラサキオモト、ツユクサ科)
  グショウは「死後の世界」の意。テンニンギクの方言名を含む。
・グスクビル、グシクビル(サフランモドキ、ヒガンバナ科)
・クニブ→キンカン
・クービ (ツルグミ、グミ科) 食。
  タイワンアキグミの方言名を含む。
・クラハジ (カジノキ、クワ科) 飼。
・クルキ (リュウキュウコクタン、カキノキ科) 材。
・クルギマ→ギマ
・クルジ (ウマゴヤシの類、マメ科) 飼。
・クルチグ (クロツグ、ヤシ科)
・クヮーギ (シマグワ、クワ科) 飼、材、食(果実)。
・グンボー→ゴボー

〔コ〕
コーシギー、ハジギー (ハゼノキ、ウルシ科) 毒。
・コスモス (コスモス、キク科) 観。
・コーピル、コウヒル (ギシギシ、タデ科) 薬。
・ゴボー、グンボー (ゴボウ、キク科) 食。

〔サ〕
・ザクロー (ザクロ、ザクロ科) 食、薬。
・ササンクサ (ツキイゲ、イネ科)
・サシ (ヤブジラミ、セリ科)
・サディク (ハマユウ、ヒガンバナ科)
・サーラキ、サーラギ (サルカケミカン、ミカン科) 飼(山羊)。
・サンキャー (サツマサンキライ、ユリ科)
  ハマサルトリイバラの方言名を含む。
・サンニン、ヤマゴータ (ゲットウ、ショウガ科) 繊。

〔シ〕
シィー、シー (カタバミ、カタバミ科)
・シーシチャビ、ヒーシチャビ (オオイタビ、クワ科) 飼。
・シダカジラ、ウンジャングサ、ウンジャンカジラ(カニクサ、カニクサ科)
  豊年祭り(シニュグ)のとき女の人が頭にかざる。ウンジャンは祭りの名称。
・シダラギ、ヒダラギ (ヤブニッケイ、クスノキ科) 飼、食(果実)。
  果実を練ってろうそく代用にしたり石けん代用にしたりする。
・シチチ、シトゥチ (ソテツ、ソテツ科) 食、肥、薪、玩、薬、毒。
・シチャヌキ、ヒチャヌキ (チシャノキ、ムラサキ科) 材。
・シチャパガ、アンチャニク (ハマイヌビワ、クワ科)
  飼、食(果実)。樹液は糊代用にできる。シチャは「舌」または「下」、
  パガは「禿」の意。
・シブイ (トウガ、ウリ科) 食。
・シマアイ、シミ (ハチジョウイノコズチ、ヒユ科)
・シマダイ (ホウライチク、イネ科) 材、玩。
・シミグサ (コゴメスゲ、カヤツリグサ科)
  ツルソバ(→カンチミ)の方言名としても使われる。
・ジャガイモ、バレイショ (ジャガイモ、ナス科) 食。
・シャーギ (イヌマキ、イヌマキ科) 材、食(果実)。
・シュプヌパー、シュウキ、シュフィ(モンパノキ、ムラサキ科)
  水中メガネのふち。
・シュンギク (シュンギク、キク科) 食。
・ショーガ (ショウガ、ショウガ科) 食。
・シンダンギ、シンダン (センダン、センダン科) 薬。
・ジンマミ (ラッカセイ、マメ科) 食。
  ジンマミは「地下に生ずる豆」の意。

〔セ〕
センネンボク (センネンボク、ユリ科) 観。

〔ソ〕
・ソーシジュー (ソウシジュ、マメ科) 肥、材。
・ソーミナギ、ソーミヌグサ、スミレ (タイワンコスミレ、スミレ科)

〔タ〕
・ダッチョー (ラッキョウ、ユリ科) 食。
・タディ (イヌタデ、タデ科) 毒。
  シマヒデタデ、ケタデの方言名を含む。
・タバク (タバコ、ナス科) 嗜好。
・タビオカ、タピオカ (キャッサバ、トウダイグサ科) 食。
・タームジ (ミズイモ=タイモ、サトイモ科) 食。
・ダーリア (ダリア、キク科) 観。
・タンタタチ (ヒマ、トウダイグサ科) 油。

〔チ〕
チーギ (アカテツ、アカテツ科)
・チキンクサ (シマツユクサ、ツユクサ科) 飼。
・チグ (シュロ、ヤシ料) 繊、材。
・チヂプシチャ (ノボタン、ノボタン科)
・チチャパ→ヤマブキ
・チブル (ヒョウタン、ウリ科) 食、柄杓ヒシャク、水筒。
・チブンクサ (ツボクサ、セリ科)
・チャーマミ、チャマミ (コエビスグサ、マメ科) 薬
  茶代用。ハブソウの方言名を含む。
・チャンカジラ (シイノキカズラ、マメ科)
・チャンカニ→カンチャニ
・チンチブトゥ (イヌビワ、クワ科) 飼。

〔テ〕
・デーク、デーグ (ダンチク、イネ科) 神、飼。
・デークニ (ダイコン、アブラナ科) 食。
・テーニャ、ピーニャ (ツルノゲイトウ、ヒユ科) 飼。
  スベリヒユ (スベリヒユ科)の方言名も同じテーニャやピーニャをあて
  る。 スベリヒユは飼料、食用となる。
・テャーチ、テャーチギ (シャリンバイ、バラ科) 飼。
・デリス (デリス、マメ科) 毒。

〔ト〕
・トーアダニィ、トーアダン (トゲナシアダン、タコノキ科)
・ドゥイギ→ルイギ
・トゥイヌパニブー (ノゲイトウ、ヒユ科)
・トゥイユ (ハルノノゲシ、キク科) 飼、食。
・ドゥクザクラ (キョウチクトウ、キョウチクトウ科) 観。
・トゥクナチ (タイワンウオクサギ、クマツヅラ科) 飼。
・ドゥックイ (マクワウリ、ウリ科) 食。
・トゥビラ (トベラ、 トベラ科) 飼。
・トゥンビャン、トンビャン (アオノリュウゼツラン、ヒガンバナ科) 繊。
・ドゥンブイグサ (セイロンベンケイ、ベンケイソウ科) 玩。
・トーギン (ナミモロコシ=モロコシ、イネ科) 食、箒。
・トージ、トージャ (ソクズ、スイカズラ科) 薬。
・トートゥバナ (ブッソウゲ、アオイ科)
  葉をもんで油ぬき(洗剤代用)に使用。
・トートーギン (トウモロコシ、イネ科) 食。
・トーヌシ、トーナチ (クマノギク、キク科) 薬。
・トーバシャ (バナナ、バショウ科) 食。
・トープマミ (ダイズ、マメ科) 食。
・トマトー (トマト、ナス科) 食。
・トーマミ (ソラマメ、マメ科) 食。
・トラヌヲゥー (チトセラン、ユリ科) 観。

〔ナ〕
・ナガチキドゥイユ (アキノノゲシ、キク科) 飼。
・ナスビ (ナス、ナス科) 食。
・ナブリャー (ヘチマ、ウリ科) 食、たわし代用。
・ナルカン (ニホンカボチャ、ウリ科) 食。
  カボチャ類の方言名を含む。

〔ニ〕
・ニグイ、ニーグサ (ミズガヤツリ、カヤツリグサ科)
  コウキヤガラの方言名を含む。
・ニジャーナ→ヒンジャーナ
・ニーナシカジラ (スナズル、クスノキ科)
  瓦を葺くときのしっくいの材料。
・ニビル、ニィビル (ノビル、ユリ科) 食。
・ニイプジャギー (ギンネム=ギンゴウカン、マメ科) 肥。
・ニブトゥンクサ→ピーパンクサ

〔ノ〕
ノーギーグサ (モエジマシダ、ワラビ科)
  オシダ(オシダ科)の方言名を含む。
・ノーダキ (ハイキビ、イネ科) 飼。

〔ハ〕
・パークジラ→アマギ
・ハジギー→コーシギー
・バシャ(リュウキュウバショウ=イトバショウ、バショウ科) 繊。
・パダームギ (ハダカムギ、イネ科) 食。パダーは「裸」の意。
・パッタイマチギ (トウダイグサ、トウダイグサ科) 毒。
  「パッタイは「畑」の意。
・パッタイムジ→ムジ
・パナバシャ (ダンドク、ダンドク科) 観。
・ハニブ (エビズル、ブドウ科) 食。
・ハバシムヌ (モロコシソウ、サクラソウ科)
・パマイシュギ (イボタクサギ、クマツヅラ科)
・パマカジラ (ハマヒルガオ、ヒルガオ科)
  グンバイヒルガオの方言名を含む。
・パマデークニ、パマギ (ハマボウフウ、セリ科) 食。
・ハマユー (ハマオモト、ヒガンバナ科)
・パルパンダマ (ウスベニニガナ、キク科) 飼。
  パルは「農場」、パンダマは「スイゼンジナ」の意。
・バンシルイ (バンジロウ、フトモモ科) 食、薬。
・バンソーウイ、バンショウウイ (パパイア、パパイア科) 食。
・パンダマ (スイゼンジナ、キク科) 食、薬。
・ハンバライシュマチ (モクビャクコウ、キク科) 薬。

〔ヒ〕
・ビィー (シチトウイ、 カヤツリグサ科) 繊。
・ビーグ (イ、イグサ科)
・ヒーシチャビ→シーシチャビ
・ヒダラギ→シダラギ
・ヒチャヌキ→シチャヌキ
・ピーニャ→テーニャ
・ピーパンクサ、ニブトゥンクサ (オオバコ、オオバコ科) 薬。
・ヒマワリ (ヒマワリ、キク科) 観。
・ビャー (ニラ、ユリ科) 食。
・ピャンカ (タマシダ、シノブ科)
・ピル (ニンニク、ユリ科) 食、薬。
・ヒンジャーナ、ニジャナ、ヰンジャーナ (ホソバワダン、キク) 薬。

〔フ〕
・フィゴー→ヲゥヰゴー
・フキ→ヤマブキ
・プクギ、フクギ (フクギ、オトギリソウ科) 防、材。
・フダンソー (フダンソウ、アカザ科) 食。
・プチ (ヨモギ、キク科) 食、薬。
・プートーカジラ→ポーソーカジラ
・フバ (ビロウ、ヤシ科) つるべ、ひしゃく。

〔ヘ〕
・ペーニギ、マーニギ (テリハノイバラ、バラ科)
  ペーは「う」、ニギは「いばら」の意。
・ペーニャ→テーニャ
・ペーノーダキ (ギョウギシバ、イネ科) 飼。
  ペーは「這う」、ノーダキは「ハイキビ」の意。
・ペームギ (オオムギ、イネ科) 食。

〔ホ〕
ボクソー (ナピアグラス、イネ科) 飼。
・ポーソーカジラ、ホートーカジラ、プートーカジラ
  (フウトウカズラ、コショウ科) 薬。 ポーソーは「痘瘡」の意。
・ポーチ (ハマビワ、クスノキ科) 水中めがね、材。
・ホーブシ (ハマスゲ、カヤツリグサ科)
  クマツヅラ科のハマゴウの方言名を含む。
・ホーレンソー (ホウレンソウ、アカザ科) 食。

〔マ〕
・マイ (イネ、イネ科) 食、葉は茶代用、縄、ぞうり、屋根葺き用、飼。
・マチ、マチギ (リュウキュウマツ、マツ科) 材、薪、門松。
・マッコー (ヒメクマヤナギ、クロウメモドキ科) 飼、食(果実)、染(果実)。
・マーニギ→ペーニギ
・マヒャー (チガヤ、イネ科) 飼。
・ママンギ、マーマンギ (フクマンギ、 ムラサキ科) 食(果実)。
・マンクギ (クスノハカエデ、カエデ科) 材。

〔ミ〕
ミシギ (サンゴジュ、スイカズラ科) 玩。
・ミジンクサ→ミーミジンクサ
・ミーニイサンキャー (サツマサンキライ、ユリ科) 薬。
・ミーミジンクサ、ミジンクサ (ルリハコベ、サクラソウ科) 毒。
・ミンジヌ (ニンジン、セリ科) 食。

〔ム〕
ムギ、イニャムギ (コムギ、イネ科) 食。
・ムジ、パッタイムジィ (サトイモ、サトイモ科) 食。
  パッタイは「畑」の意。
・ムチニ (モチゴメ、イネ科) 食。
・ムヌクニブ、ムヌヌクニブ (ナガミボチョウジ、アカネ科)
  クロヨナ(マメ科)の方言名を含む。
・ムヌヌタバク、ムンヌタバク (ヤンバルナスビ、ナス科)
・ムヌヌチョウチン、ムンヌクニブ、アーママ (キンギンナスビ、ナス科)

〔モ〕
モー、モーヌパ (カラムシ、イラクサ科) 飼、繊、薬。
・モクモー (モクマオウ、モクマオウ科) 防、材。

〔ヤ〕
・ヤギンクスバナ (グラジオラス、アヤメ科) 観。
  ヤギは「山羊」、 クスは「糞」の意。
・ヤチク (マサキ、ニシキギ科) 飼。
・ヤハタソー (ムラサキカタバミ、カタバミ科)
・ヤマイム (ダイジョウ、ヤマノイモ科) 食。
・ヤマグンダイ、ヤマダイ、ヤンバルタイ (リュウキュウチク、イネ科)
  材。機織りで使用するくだ (ニギチミ)に好適。
・ヤマゴータ→サンニン
・ヤマトゥアシクタ (ハリツルマサキ、ニシキギ科)
・ヤマブキ、チチャパ、チチャバ (ツワブキ、キク科) 食。
・ヤマブドウ (テリハノブドウ、ブドウ科)
  エビズルの方言名として使用されることもある。

〔ユ〕
ユーニャ (オオハマボウ、アオイ科) 飼。
・ユネーバナ (オシロイバナ、オシロイバナ科) 観。
  ユネーは「夕方」の意。
・ユミナ (インドヨメナ、キク科)
・ユムドゥイオー (キンエノコロ、イネ科) 飼。
  エノコログサの方言名を含む。
・ユムドゥイマイ (イヌビエ、イネ科) 飼。
  タビエの方言名を含む。
・ユムドゥイママンギ (オオシマコバンノキ、トウダイグサ科)
  オオムラサキシキブ (クマツヅラ科)の方言名を含む。
・ユリ (テッポウユリ、ユリ科) 観。

〔ル〕ルイギ、ドゥイギ (デイゴ、マメ科)
〔ワ〕ワタ (ワタ、アオイ科)
〔ヰ〕ヰンジャーナ→ヒンジャーナ
〔ヲ〕フゥギ、フギ (サトウキビ、イネ科) 食、飼。
  フゥヰゴー、ウィゴー、フイゴー(クワズイモ、サトイモ科)
  フゥヰは「毒性のある」の意。

参考文献
(1)日野厳『奄美群島の植物方言』 宇部短期大学琉球学術調査報告第二集(一九六七)
(2)東四郎・阿部美紀子・緒方信一・飛田洋・横田和登『薩隅諸島におけ
伝承的薬用及び毒性植物調査報告そのⅡ』鹿児島大学理学部紀要(地学・生物学) No9 (一九七六)
(3)天野鉄夫『琉球列島植物方言集』(一九七九)
(4)『鹿児島県植物方言集』 鹿児島県立博物館 (一九八〇)
(5)池田豪憲『与論島採集植物予報』 Leben (鹿児島大学生物研究会) No7(一九六五)
(6)初島住彦『琉球植物誌』 沖縄生物教育研究会 (一九七五)
(7)初島住彦・天野鉄夫『琉球植物目録』(一九七七)
(8)初島住彦『鹿児島県植物目録』 鹿児島植物同好会編 (一九七八)
(9)内藤喬・新敏夫・大野照好 『奄美大島の植物Ⅰ』 鹿児島大学南方産業科学研究所報告第一巻第三号奄美大島調査報告 理科篇(一九五六)
----------
出典:「第一編,第一章 自然環境,第二節 陸の植物,三 植物の方言名」.『与論町誌』.与論町誌編集委員会.与論町教育員会,1988,p.26-36

⑤関連記事・資料

出典:奄美群島生物資源データベース,国土交通省「平成17年度奄美群島生物資源等の産業化・ネットワーク化調査」

これは、与論島の方言で【フバ】というヤシ科の植物【ビロウ】です。 この植物の葉を取って、村長がまた何やら作っています。さて、見てみましょう。 パチンパチンとハサミとカマを使い形を整え、水につけた後、重石をのせて乾燥させたら、フバ扇のでき...

Posted by 与論民俗村 on Wednesday, April 26, 2017

出典:与論民俗村Facebook(フバの葉で扇を作る様子)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?